1部復帰を目指す法政大が開幕ダッシュを決めている。降格組の関東学院大との開幕節を1-0でものにすると、第2節の國學院大戦を3-1、第3節の立正大戦を4-1で快勝し、開幕3連勝で堂々首位に立っている。
昨年から大きな変化があったのが、監督交代だ。22年から監督を務めていた井上平氏(現相模原U-18監督)が昨季限りで退任。後任に元JリーガーでOBの柳沢将之氏が就いた。
柳沢新監督は1979年8月27日生まれ、神奈川県出身の45歳。法政大から2002年に下部組織を過ごした東京ヴェルディに入団。セレッソ大阪、サガン鳥栖、横浜FCに在籍し、2011年限りで現役を引退した。
引退後はサッカー界を離れ、食品大手プリマハムの関連企業であるプライムデリカ株式会社に入社。「1年目は製造部、2年目からは総務部。セブンイレブンのパスタやサラダ、総菜、デザートを製造している」業者に5年間勤務した。ただ2017年に古巣である東京Vの誘いを受けてサッカー界に復帰。正社員として入社し、普及部に配属され、今はスクールコーチのシフトなどを管理するフロントスタッフを任されている。
そんな柳沢氏に白羽の矢が立った。母校の法政大は上田綺世(フェイエノールト)や紺野和也(福岡)らを擁した2020年前後に大学選手権や総理大臣杯を優勝。天皇杯では東京VやG大阪を破る快進撃をみせた年もあった。
しかし近年は歯車がかみ合わず、23年に関東1部で最下位に低迷。1年での1部復帰を目指した昨季も関東2部で4位に終わり、1部昇格とはならなかった。照井博康総監督からの監督指名に「まったく想像していなかった」という柳沢氏だが、東京Vの理解を得たことで、母校の再建に着手することになった。
ただ柳沢氏の籍は東京Vに残ったままで、法政大へは監督派遣という形が取られた。そのため法政大と東京Vの提携も発表になった。今のところは監督派遣のみのようだが、「自分がいることによって、例えばユースの選手が来たり、ここからヴェルディに行くだったり。もちろん実力の世界ですから、そんなに甘い話ではないけど、情報は共有していきたい」。今後の展開に注目していきたいところだ。
これまでスクールコーチしかしてこなかったため、監督業は初になる。「スクールコーチをやっていた自分に声を掛けてくれるとは思わなかった」と繰り返した柳沢氏だが、「栗田さん(副社長、前明治大監督)も頑張れと言ってくれたし、中村(考昭)社長にも頑張れと言ってもらっている。法政と明治で活躍できればいいねという話をしている。そういった意味でも一歩一歩ですけど、頑張っていきたい」と責任を理解して取り組むつもりでいる。
とはいえ今年のチームは主将DF日高華杜と副将MF大畑凜生が清水入りを内定。3年生MF松村晃助が横浜FM内定、FW小湊絆がFC東京内定と、メンバーが大学屈指のレベルにあることは明らかだ。「これだけのメンバーがいて上がれないのは何かしらの原因がある。意識のところから変えてあげることを一緒にやっていくのが一番なの中と思っています」。
ただリーグはもちろん、天皇杯予選も勝ち上がるなど、結果が出ていることで選手たちとともに新体制に手ごたえを感じている様子だ。「もともとは1部で結果を出していたチーム。本来の場所というか、ただ戻るだけじゃなくて、継続して戦える基盤を作っていければいいかなと思います」。“柳沢元年”の法政が、生まれ変わった姿をみせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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