JFAメディカルセンターで診療報酬の不正請求発覚…行政から「戒告」通知、今後自主返還へ

JFAメディカルセンターで診療報酬の不正請求発覚…行政から「戒告」通知、今後自主返還へ
 日本サッカー協会(JFA)は17日、同協会が経営するJFAメディカルセンター整形外科クリニック(JMC、福島県楢葉町Jヴィレッジ内)で診療報酬の不正請求・不当請求があったとして、東北厚生局から「戒告」の行政措置の通知を受けていたと発表した。通知は今月8日付。JFAは現在、不正・不当請求額を調査しており、総額が判明次第、速やかに自主返還を行うという。

 JFAメディカルセンター整形外科クリニックは2009年に設立。11年3月11日の東日本大震災後は10年間にわたって診療を休止していたが、21年3月20日に診療を再開し、スポーツ選手だけでなく近隣住民に地域医療を提供する場となっていた。

 23年4月、近隣の南相馬市立総合病院で無診察でのリハビリテーションを行っていたことを理由に、同病院が診療報酬を自主返還したという旨の報道がなされたのを受け、JMCでも同様の違反があったことが判明。同年9月から無診察リハビリの実施を中止していた。健康保険法に基づくと、医師の診察を行わずにリハビリテーションを行った場合、基本診療料を請求することは認められていない。

 JMCでは23年12月上旬から昨年2月上旬にかけて、東北厚生局が個別指導を実施。また昨年5月下旬から同年11月27日までの間、計10回にわたって監査が行われていた。

 監査の結果、JMCでは「実際には医師が診察を行っていないにもかかわらず、医師が診察を行ったものとして、再診料、運動器リハビリテーション料及び消炎鎮痛等処置に係る診療報酬を請求していた事実」に関する不正請求が判明。また「①機能訓練の開始時刻及び終了時刻を診療録等に記載していない事案、②リハビリテーション総合実施計画書が定められた様式に準じていない事案」において「算定要件を満たさないリハビリテーションの診療報酬を請求していた事実」に伴う不当請求が行われていたことも認められた。

 17日、JFAの湯川和之専務理事が記者会見を実施。「調査結果では、クリニックの運営責任者である院長を始めとする医師や従業員が法令に関する知識を欠いていたこと、法令遵守に対する意識が低かったことが本件につながる大きな要因としてあったと判断されており、結論として法的な第一義的責任はクリニックにおいて保険請求を行った院長をはじめとする医師にあると示された」と説明した。

 その一方で「保険医療機関の開設者である我々日本サッカー協会が、法令を遵守するための適正なガバナンス体制の構築や、必要かつ適切な人員配置が不足していたことが否めないという判断も調査結果において示された。公益財団法人である日本サッカー協会として、真摯にそのような判断を受け止めている」とJFA側の責任にも言及した。

 JFAによると、すでに再発防止措置として「関連法令に通じた弁護士を含む外部法律事務所による自主調査」「JFA役職員を対象とする法令遵守研修の計画立案とその実施」「クリニック医師・職員を対象とする法令遵守研修の計画立案とその実施」「自主内部監査の計画立案とその実施」を実施中。今後はさらに「クリニックの適法性確保のためのJFA内の組織・運営体制の整備」を進めていくという。

 JFAは同日、「今回、患者様や保険者様をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことを心から反省し、法令を遵守したクリニックの運営を監督し、信頼回復に努めるとともに、今後も引き続き、スポーツ医学の発展と地域医療の充実に向けて取り組んでいきたいと考えております。改めまして、クリニックの開設者として、患者様やご家族、保険者様、全国のサッカー関係者の皆様、パートナー企業の皆様をはじめ、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしたことについて、深くお詫び申し上げます」とお詫びの文書を発表した。

 JFAでは現在、一部の患者を対象とした同局による監査と並行し、全患者を対象とする自主点検を行っており、不正請求・不当請求の総額を調査中。同局からの最終的な通知内容を踏まえて総額が確定し次第、診療報酬の自主返還を行うとしている。返還対象者には改めて案内があるという。

(取材・文 竹内達也)
Source: サッカー日本代表

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