頂点を目指す一員として、日本女子代表(なでしこジャパン)にさらなる勢いをもたらしていく。20歳MF松窪真心(ノースカロライナ・カレッジ)は2月のシービリーブスカップでデビューを飾ると、4月の国際親善試合・コロンビア戦でも躍動。25日のオンライン取材で「前回でやっとスタート地点に立てた」とここまでの戦いを振り返った。
昨年9月にはU-20日本女子代表として挑んだU-20女子ワールドカップで惜しくも準優勝。22年大会から2連続で頂点に届かず「一番悔しかった」と思い返す。雪辱を果たせなかったことで「本当にあと少しのところまで行けたのに、そのあと少しが足りなかった。結局あまり成長できていなかったのかなと色々考えさせられたW杯だった」とひとつの挫折を経験した。
その1か月後の昨年10月、松窪は佐々木則夫女子委員長が暫定指揮を執ったなでしこジャパンに初招集となった。韓国戦でのデビューはなかったが、その後ニルス・ニールセン監督体制の初陣となった今年2月のシービリーブスカップでも追加招集で再びメンバー入り。初戦・オーストラリア戦では後半26分の途中交代でデビューを飾ると、3試合途中出場で初優勝に貢献した。
4月に大阪で行われたコロンビアとの国際親善試合2試合では、公式試合となった初戦で途中出場。終盤のPK奪取で1-1のドローに持ち込む起点となった。中1日で行われた非公式の練習試合では初先発を飾り、さらに初ゴールも記録。「結果を狙いながらも自分の課題に向き合って、少しずつステップアップできたら」と今後の活動にも意欲をのぞかせた。
アメリカ帰国後、松窪は女子サッカープロリーグNWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)の直近2試合に出場。開幕5試合で連続出場(先発3試合)を続けている。代表戦を経て「ゴールに向かう姿勢をもっと増やして決定力を上げたい。そこまで自分で持っていける形を増やしたいと思ったので、そこに取り組んでいる」とさらなる成長を目指している。
得点能力以外にも、コロンビア戦では最前線からの献身的なプレスが目立った。「前でとにかく早くボールを奪って攻撃したいから」。攻撃面では高い身体能力を持つ外国人に対抗するために「よりタイミングとポジショニングに気を使うようになった」と工夫を明かす。
相手の背後に「少しでもボールに早く追いつけるような」タイミング、そしてパスを受けるための「相手と相手の間、本当の中間、1mでも2mでも気を使う」ポジショニングを、より繊細に意識するようになったという。すべてはゴールに向かうため。「最初の立ち位置が悪かったら、自分の武器すら出せずに潰されて終わっちゃう。前を向いたときに自分の武器が生きる。いかに前を向けるかの立ち位置を気をつけるようにしている」とポイントを挙げた。
3月からリーグ戦が始まり、23年夏の渡米から3シーズン目を迎えた。昨シーズンは公式戦3得点だったこともあり、クラブでは「今年は5ゴール」と目標を掲げる。代表では2年前に現役を退いた岩渕真奈さんの背中を追う。「小柄だけど世界で活躍していて、日本を引っ張っていた。そういうプレーヤーに自分もなりたい」。世界の頂点に立つために、日の丸の未来を背負う決意を口にした。
(取材・文 石川祐介)
Source: サッカー日本代表
コメント