[5.6 プレミアリーグEAST第6節 市立船橋高 0-1 鹿島ユース 船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]
鹿島ユースが雨中で市船に快勝――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2025 EASTは6日に第6節2日目を行い、千葉県船橋市の船橋市法典公園(グラスポ) 球技場(人工芝)で市立船橋高(千葉)と鹿島アントラーズユース(茨城)が対戦。鹿島ユースがU-17日本代表FW吉田湊海(2年)の決勝点によって1-0で勝ち、順位を2位に上げている。
ホームの市立船橋はJクラブユース勢相手にも接戦を演じているものの、勝ち切ることができておらず、ここまで2分3敗。この日の先発はGK辰侑樹(3年)、DF篠崎健人(2年/U-17日本代表)、森本陽太(3年)、斉藤健吾(2年)の3バック。右WB左近作怜(3年)、左WB野地透生(3年)、森露羽安主将(3年)と孫本晟馬(2年)のダブルボランチ、2列目に小川夢成(3年)と秋陽凪(3年)、最前線に佐々木瑛汰(2年)が構えた。
一方の鹿島ユースはここまで3勝2敗。この日はGK菊田修斗(3年)、右から朝比奈叶和(3年)、元砂晏翔仁ウデンバ(2年/U-17日本代表)、大川佑梧主将(3年/U-18日本代表)、岩土そら(1年/U-16日本代表)の4バック。大貫琉偉(2年)と福岡勇和(2年)のダブルボランチ、右SH長疾風(3年)、左SH小笠原央(1年)、そしてFW高木瑛人(1年/U-16日本代表)と4月29日にJ1デビューを果たしたFW吉田の11人が先発した。
大川が「今シーズンでも1番良かったんじゃないかなっていうぐらいの前半でした」と振り返ったように、鹿島ユースは前半、市立船橋を圧倒した。前節、チームがややバラバラになってしまい、東京Vユースに0-3で完敗。大川は「(前節の反省から)ポジティブな声かけだったりっていうのはみんなで話していて、それは全員意識できた。凄くいい前半だったかなって思います」と頷く。
中野洋司監督も「本当に出足も良かったし、選手の特長が出たかなと思います」というように各選手のアプローチが非常に速く、市立船橋はボールを持った選手が常にプレッシャーを受けているような状況。鹿島ユースは前半、相手をシュートゼロに封じ込んだ。
攻めては吉田や小笠原が相手3バックの前でボールを受けて起点に。11分には吉田がハーフウェーライン付近で前を向いてから超ロングシュートを放ち、18分にも吉田が右足ミドルを撃ち込む。また、ボランチの大貫が縦横無尽の動きでスペースへの飛び出しやドリブル突破を見せていた。
鹿島ユースは大川のサイドチェンジから長が右クロスを上げ、左SB岩土が小笠原とのコンビから左クロスに持ち込む。そして21分、中央の吉田が右へ展開し、長がクロス。小笠原のシュートのこぼれを吉田が左足でねじ込み、先制した。




対する市立船橋は22分、佐々木が相手DF元砂のミスパスを奪ってゴールに迫るが、元砂に奪い返されてシュートを打つことはできず。前半は相手選手に寄せに行くと1タッチで剥がされ、出足が遅れるとボールを運ばれてしまうなど、攻守とも後手になってしまっていた。
一方の鹿島ユースは大貫とともに攻守に効いていた福岡が崩しに係わり、高木が左足シュート。また、朝比奈が攻め上がりからクロスを上げ切る。雨の中で2点目を狙い続けたが、市立船橋もゴール前で踏ん張り、1点差で前半を終えた。


ハーフタイム、市立船橋の波多秀吾監督が指示したことは、「システムどうこうじゃなくて。そこはメンタリティの部分とか、そういうところで色々反応が遅れているとっていうことですね」。メンタリティの部分に加え、ラインコントロールについても指摘された選手たちは後半に改善。前半とは異なる姿を見せた。
明らかにボールに対する執着心が変わり、奪い返しや攻撃の回数を増やした。10分、左近作、孫本、秋と繋いで野地が左クロス。12分には秋の折り返しに森が走り込み、直後にも小川の左CKから斉藤がヘディングシュートを放った。前半に比べて強度の上がった市立船橋が押し返したが、鹿島ユースの守りは堅い。中央からのドリブル突破も披露していた元砂がスライディングタックルを決め、大川は空中戦で相手を圧倒して見せる。




市立船橋も斉藤がアグレッシブに前へ出て相手の攻撃を次々とストップ。森本、篠崎の両DFも前半に比べて奪い切る回数が増え、GK辰も安定したキャッチングを継続する。22分に孫本、小川をMF高山大世(2年)、FW仲野真翔(3年)へ入れ替えた市立船橋は34分に決定機を迎える。


左サイドへの展開から野地がクロス。鹿島ユースGK菊田が飛び出して対応するが、こぼれ球を市立船橋FW佐々木が右足で狙う。GK菊田が身体に当てたが、ボールはゴール方向へ。それでも、大川がゴールカバーし、味方に当たって弾んだボールを岩土が懸命にクリアした。




市立船橋はこの後、秋と佐々木をFW山本一誓(3年)とFW勝又悠月(2年)へ交代。鹿島ユースも小笠原とMF平島大悟(2年)を入れ替えた。市立船橋はミスが出ても諦めずに繰り返し攻撃していたものの、鹿島ユースは中野監督が「自分たちはやっぱり守備からリズムを作っていくチームだと選手にも言ってるし、思うので、その部分っていうのはやっぱり人に強くプレッシングに行くだったり、ハードワークするっていうところは1試合通して、特に後半キツイ時間もできたのかなと思います」と評価したように、大貫、福岡を筆頭に90分間ハードワークを全うして守り切った。


後半ラストプレー、鹿島ユースは福岡の右クロスをニアの高木が頭でフリック。大外の吉田が左足ダイレクトで合わせたが、ボールは左ポストを叩いた。2点目を奪うことはできなかったものの、1-0で勝利。堅守に加え、特に前半は速い攻撃、サイドでのコンビネーションを表現するなど、取り組んできたことが形になってきている。
また、吉田のJ1デビューは鹿島ユースの選手たちの刺激に。中野監督は「今、トップの方にも毎回4人とか5人とか、トレーニングに参加させてもらって見てもらってるっていうのもあるし、身近でトップのスピード感を体験させてもらってるんで、(吉田)湊海の存在もそうだし、他のトレーニングに行ってる選手もそうだし、まだそれに入れてなくてそこに行きたいっていう選手もいるので、そういった面では本当、湊海に代表されるように、ギラギラした感じっていうのは全体的にあるかなと思います」と説明する。
ユースチームのトレーニングも日常から激しいものに。大川は「トレーニングで強度とかはやっぱ求められてるんでバチバチやっていますし、そういうのがアントラーズの良さでもあるんで、それも続けていかなきゃいかないかなっていう風には思います」と語る。各選手がポジション奪取、個人昇格へ向けてギラギラした日常を続け、チームとしても結果にこだわる考えだ。


「(今後は)全部、優勝するために大事な試合になってくるんで、もう1つも落とせないですし、そのために1人1人がチームのために何ができるかっていうのを考えながらやることが1番必要かなっていう風には思います」と大川。また、元砂は「クラブユースとかも頑張って優勝して、プレミアも優勝して2冠できるように頑張りたい」と誓った。鹿島ユースはどのライバルにも負けない日常を過ごし、勝ちながら進化を続ける。


(取材・文 吉田太郎)
●高円宮杯プレミアリーグ2025特集
▶ゲキサカでは高校サッカーの最新情報を伝えるポッドキャスト番組も配信中
Source: 大学高校サッカー
コメント