[5.10 茨城県サッカー選手権決勝 筑波大1-0流通経済大 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]
準備は万端にしていた。「PK戦になれば可能性があるから準備しておけと言われていた。ベンチでPKのイメージをしながらやっていました」。しかし筑波大は後半24分にMF廣井蘭人(3年=帝京長岡高)が均衡を破るゴールを決めて1-0で勝利し、GK佐藤瑠星(4年=大津高/浦和内定)に“今季公式戦初出場”となる出番が訪れることはなかった。
大学最終学年シーズンは、浦和レッズ入団内定選手として迎えている。発表は今年1月だったが、獲得オファーは昨年夏には届いていたという。「4年になって先延ばししていろいろなクラブからのオファーを待ったとしても浦和に決めていたと思う。GKの状況とか、レッズでやっているトレーニングもフィットしていると感じました」。
しかしキャンプ中に思わぬアクシデントに見舞われた。「シュート練習でクロスが上がってきて、目線が切り替わった瞬間にシュートがテンポよく飛んできた。そこで出した手を膝に強打してしまいました」。当初は軽症だと思ったというが、検査の結果は「親指と薬指が剥離骨折。人差し指が骨挫傷」。幸い手術の必要はなかったが、サッカー人生で初だという長期離脱を余儀なくされた。


当然大学リーグの開幕には間に合わなかったが、5月6日の日本大戦からベンチメンバーに復帰している。しかし代わりに出ているGK入江倫平(3年=桐蔭学園高)もハイパフォーマンスをみせており、この日の流経大戦でも、後半42分に相手の決定的なシュートを弾き出してチームの窮地を救っていた。「非常に難しい状況ではあるんですけど、我慢強くひたすら準備し続けるしかないのかなと思います」。佐藤も入江を“ライバル”と認めたうえで、正々堂々とレギュラーの座を奪い返すつもりだ。
そして今年も天皇杯で快進撃に貢献したい思いを強くする。昨年度の2回戦・町田戦で、佐藤は延長後半にあったPKをストップ。PK戦でも2人を失敗に導いて、ジャイアントキリングの立役者になった。また天皇杯での活躍でJクラブの関心を引き寄せ、浦和入りに繋げた実体験を何よりの誇りに感じている。
天皇杯1回戦でRB大宮アルディージャと対戦が決まったことでも、「個人的には“さいたまダービー”だと思っている」と闘志を燃やしている。「天皇杯は夢のある舞台。筑波大学、浦和の選手として、自分の実力を見せつけたいと思っています」。怪我の出遅れも必ず取り戻す。J内定守護神が浦和魂をたぎらせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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