日本代表 EAFF E-1選手権メンバー発表、森保一監督会見要旨

日本代表 EAFF E-1選手権メンバー発表、森保一監督会見要旨
 日本サッカー協会(JFA)は3日、千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドで記者会見を行い、韓国で行われるEAFF E-1選手権に臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが登壇し、約45分間にわたって質疑応答を行った。

●山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「東アジア選手権は歴史もあり、僕の印象だが、激しく感情がぶつかり合う熱い大会ということを過去から見てきてそう思っている。我々を成長させてくれてきた大きな大会だと思っている。厳しい日程を調整していただいたJFA幹部、Jリーグ幹部の皆さんに感謝している。また厳しい日程になるなか、ご協力いただいているJ1のクラブの皆さんにありがとうございます。今回はいろんなトライをしていて、メディカルスタッフとしてガンバ大阪のトレーナーの鍜治(亮輔)さんに参加していただいて、Jリーグの知見もお借りしながら、我々のピッチの外の育成やバックアップ体制も含めてクラブのご協力を得ながら様々なトライをしている。4月、5月にJリーグ選抜の活動ということで大学生とのさまざまなトライ(ポストユースマッチ)をさせてもらったなか、4月の活動に来ていただいたピサノ選手がその後に名古屋グランパスでポジションを奪い、いま試合に出続けているなか、数か月でここに辿り着いてくれたことを非常に嬉しく思っている。Jリーグ選抜で準備をしていただいた皆さんに改めて感謝したい。E-1選手権は公式戦で、さまざまなポイントを取っていかないといけないので、全てのゲームを勝ちに行くということで絶大なご支援をいただければと思っている」

●森保一監督
「E-1選手権の目標として我々は日本代表として優勝、連覇を目指して大会に挑みたい。選手たちには結果にこだわることはもちろん、Jリーグを代表してプレーしてもらうので、Jリーグ、国内の選手の誇りを持って戦いに挑んでもらいたい。日本代表は応援してくださる方々に日本人としての誇りを持っていただけるように、Jリーグの選手、国内組の選手と日本代表として戦いに挑みたい。日本代表としてもチーム力を上げるためにこれまで招集したくてもなかなか招集できなかった素晴らしい選手を招集させていただくことができている。選手と共にこれから短期間の日程の厳しい戦いになるが、個々の成長とチームの成長が得られるように、日本代表の底上げが得られるようにチーム一丸となって頑張っていきたい」

―勝利を目指す前提はあると思うが、来年のW杯を見据えた上での意義をどう考えているか。W杯本大会まで1年間あるが、選手にはどういった大会にしてほしいか。
森保監督「まずは目の前の一戦に勝利を目指す、大会で優勝することを目指すというのがあった上で、この大会の活動がこれまでなかなか招集できなかった選手たちに来てもらい、活動させてもらい、この活動を通して選手個々の成長と刺激になるというにと考えている。日本代表として来年のW杯に向けてチーム全体の選手層の厚みを増したり、底上げになるよう、この活動をきっかけにさらなる成長をこの1年間見守りながら、最後にW杯メンバーとしても大きな戦力として成長してもらえればと思っている。日本代表だけではなく、Jリーグの代表として、この大会で選手個々が『自分たちはできるんだ』『日本の選手層は厚いんだ』というところをプレーでもって、結果でもって示してもらい、Jリーグの魅力を多くの方に伝えてもらい、Jリーグが盛り上げるように刺激してもらえる大会になればと思っている」

―海外組を含めたメンバーでDFにけが人が相次いでいるなか、DF6人だけにした理由は。
森保監督「発表の仕方を工夫しないといけない。DFとして6人ということで発表させていただいているが、DFとして起用できる選手もこの中に入る。CBではないかもしれないが、サイドとしてDFをできる人も入ってもらっている。見方の問題であって、バランスとしては3バックも4バックも3試合可能ということで構成している」

ピサノアレックス幸冬堀尾を抜擢した理由は。
森保監督「まずは名古屋でレギュラーとして試合に出続けているということが基本にある。その中でのパフォーマンスを見ても、毎試合毎試合、我々が見ている試合の中でも彼の成長を感じさせてもらえるパフォーマンスをしていて、連続してチームの守護神として試合に出られているところがある。経験値としては他のGKにも選ばれてもおかしくない選手はいるが、彼が連続してレギュラーとして試合に出ている、連続して試合に出ているところから、さらにこの大会を通して成長してもらえる、成長を見越せるということで伸び代も含めて招集した」

―試合までに準備期間が少ないなか、前回の2022年大会は横浜FM、広島の選手を多く呼んで彼らを軸に3試合を戦っていたが、今回はチーム数にばらつきがある。どういった準備をしていこうと考えているか
森保監督「試合での軸というよりも、招集の考え方として、我々がJリーグを視察するなかで、チームではなく個々の特徴のある選手、力のある選手ということで選考をしている。その結果、どこかのチームが多くなるか少なくなるかということになっていると思う。まずは選考の基準としてはチームとしてではなく個人を見て、候補選手をピックアップしたなかで、最終的に絞り込んでいると理解していただければ。試合に関してはこれまでのE-1だけではなく、代表活動の中でも、選手たちの日常の試合を見て、集合から2日、3日で試合をしないといけないのはずっとやってきたなかで、彼らがどういうパフォーマンスをしているか、どういう役割でプレーしているかを想像して、初戦にはその組み合わせの中で選手たちのコンディションも見極める中で起用し、2戦目以降はまた考えていくということで3試合をモノにできるように戦っていければと思う」

―これまでの取材で「経験値の少ない選手を招集したい」という話をしていたなか、カタールW杯予選の経験を持つ植田直通稲垣祥、海外経験を持つ川辺駿相馬勇紀らを招集している。彼らを招集した意図や期待したいものは。
「我々がこの前、平均年齢を見た時は25歳代だったと思う。その上でチームということでJリーグを視察し、まずは高いレベルでパフォーマンスを発揮できている選手たちをピックアップする、その中でできれば経験値の浅い選手たちにE-1の経験をしてもらって、さらに選手として成長してもらう、Jリーグの所属チームのレベルアップに貢献してもらう、Jリーグの盛り上げに貢献してもらえるようにということで成長を見越してということ、代表としても来年のW杯、その後の日本サッカーの勝利と発展に貢献してもらえるようにということで、少し経験の浅い選手たちを招集させてもらえればと思っていた。ただチームづくりを考えた中、やはり勝つということが大きな目的、第一の目的でなければいけないと思う。その中で必要だと思われるベテランの選手は選んで、チームづくりとして勝利の可能性を上げられるように、そこからベテランの選手たちが色んな経験を若い選手たちにプレーをもって伝えてもらって、コミュニケーションの中から日本代表、日本の誇り、Jリーグや海外で経験したことを伝えてもらうということを全体の成長の中でやってもらえればということで招集させてもらっている」

―Jリーグのメンバーが9月以降の活動、W杯メンバーに生き残るために必要なことは。
森保監督「今の現実の日本代表をフリーの条件で選ぶとなった時、世界のトップレベルから日本代表を選ぶというくらい、世界トップ基準の中から代表を選ぶような時代になってきているし、国内組の選手たちにそこに選ばれるために必要なことはJリーグの中で突出した結果を出すということと、突出した存在感を発揮するというところだと思っている」

―初招集された宇野禅斗大関友翔中村草太の評価は。またW杯を経験している長友佑都、植田直通、相馬勇紀を招集した理由と彼らに期待したいことは。
▽宇野禅斗
森保監督「清水ではダブルボランチの一人として6番も8番でもプレーでき、攻撃的にも守備的にもプレーできるということは、一緒に組む選手との兼ね合いで臨機応変に、中盤で攻守にわたってプレーに関われると思っている。そこでより運動量多く、中盤の奪取能力を活かしながら前線のチャンスに絡んでいくところはこの代表チームの中で活かしてもらいたい。さらに中盤でアグレッシブに広範囲にボールを奪い取る、狩り取るところはこの国際試合の中で上げてもらいたい」

▽大関友翔
森保監督「川崎Fではレギュラーだと言えるような起用のされ方ではないかもしれないが、試合に出た時の存在感であったり、ボールを受けてそこから前線のチャンスメイクに絡んでいくところ、出し手にもなれれば自分もフィニッシュに絡んでいけるところは代表のレベルでも戦力として十分にできると思っている。さらに五輪世代ということもあって若いし、伸び代があるということで今後の期待値としても考えている。実際にレギュラーで出ていない選手を代表に選ぶのはどうかというご意見もあるとは思うが、彼はレギュラーと同等の力を持っているし、ACLEでの川崎Fの素晴らしい戦いの中でレギュラーの一人として高いパフォーマンスを発揮していたところを見れば、代表の戦力としてさらに今後の成長を見込めるということで、招集させてもらうことが今の日本にとって、将来の日本にとってプラスになると考えて選んだ」

▽中村草太
森保監督「非常に局面局面でのスピード感、アジリティ能力を活かして局面を剥がしていくところ、ボールにプレーできるところをこの国際試合の厳しい戦いの中でも発揮してもらいたい。その強みをさらに磨いてもらえるようにこのE-1で経験を積んでもらえればと思う。また我々の戦いの中では全員守備全員攻撃というところを選手に求める中、攻撃に良い特徴を持っていると思うが、前線から激しく厳しく相手にプレッシャーをかける、ボールを奪いに行くところを前線から献身的にやれる選手だと思っているので今回選んだ」

▽長友佑都
森保監督「彼もレギュラーの一角だとは思いながらも常にフルで出ているかというとそうではないが、2節前のマリノスとFC東京の試合を見に行った時、守備の部分で彼ほど間合いがタイトな選手はまだまだJリーグでもそう多くない中、国際レベル、世界で戦う相手に対するプレッシャーの激しさ、厳しさは健在だったと確認できた。彼が見せてくれる練習、オフ・ザ・ピッチでの姿勢と態度は全ての選手にとって、さらなる成長につながるものであり、日本代表として大和魂と日本人の誇りを示してくれながら、みんなの成長につなげてくれると思っている」

▽植田直通
森保監督「Jリーグでトップを走る鹿島で守備からチームを支える、高さと局面では必ず弾き返せるところ。そこから現代サッカーでも必要な守備の選手が攻撃の起点にもなるという部分。彼の特徴は守備だと思うが、攻撃の部分で自分の能力を上げていけるように、これまでの代表活動もそうだったし、チームの活動でもできることを少しずつ伸ばしていくというチャレンジをするところを感じているので、今回の代表活動の中でも世界基準の中で、世界トップ基準の中で自分の能力を発揮するところ、さらに培わないといけないところをチャレンジするところに期待して招集している」

▽相馬勇紀
森保監督「直近の試合で素晴らしい2ゴールを決めていて、あるメディアの中では“戦術相馬”というくらい攻撃のところで突出したものをチームで発揮していると思っている。W杯経験者として海外で厳しい中、自分のポジションを掴み取らないといけないという経験をしてきた中、またこの国内組で戦うにあたって、世界で勝ち抜いていく基準というものを示してくれる選手だと思っている」

佐藤龍之介を引き続き招集した理由は。
森保監督「6月の選出後に自チームに戻っていて、実は代表に選ばれた後、非常に厳しい戦いが選手の中ではあると思っている。それは何かというと、まずはチーム内で『代表に行ったからどれだけのものを見せてくれるのか』という目がある。短期間でそんなに多くのものが変わらない中でも、期待されるプレッシャーがあるが、練習からチーム内で受けるプレッシャーを乗り越えて、そこでポジションを掴むところができている。実際に試合になった時には、対峙する選手がこれまでと違った警戒心を持って、そしてパワーをかけて対峙してくる中、彼はその相手のプレッシャーもしっかりと受け止めながら、自分がチャレンジしていくというところを出せている。自然体の自分を出すだけでも難しい状況のなかで、いま経験値が浅い中でも思い切って前向きに挑んでいけているというところはさらに今後の成長に期待できるということで選ばせていただいた。今回のE-1でも思い切ってチャレンジする姿勢を見せてもらえればと思っている」

―東京大と筑波大の学生に依頼している分析体制についての現状をどう捉えているか。またE-1でも使おうと考えているか。
森保監督「我々のテクニカルスタッフと、東大生と筑波大の大学生の分析チームとチームとして仕事をしていただき、後方支援をご依頼している。その中でこれまでと今回の活動の中で、主には対戦相手の個々の特徴をチームスタッフ、選手に伝えられるようにサポートしてもらえればと思っている」

山本ダイレクター「アジア杯でのトライを行った後、W杯のニューヨークの決勝から逆算して、大学のチームそれぞれの研修も行いながらチームの4人のスタッフを中心に育成も含めてやっている。今回は3試合なのでそれにしっかり役割分担をしてやってもらっている。いまクラブW杯が行われているが、今回は浦和レッズが参加していただいていて、来年我々もアメリカを中心に大会があるので、テクニカルでもさまざまなトライをしている。なかなか詳細を申し上げるタイミングではないが、しっかりと準備は進んでいる」

安藤智哉の選出理由、評価は。
森保監督「誰にも負けないと思えるような武器がある選手だと思っている。守備で言えば、予測しながらの守備が非常に高いレベルにあるし、高さという部分でもJリーグの試合を見ていて、対峙する相手が高さで勝負を仕掛けてきた時に打ち勝っていける能力、国際レベルでも十分に戦えるだけの能力があると思っている。攻撃においても足元の技術があり、DFラインからのビルドアップのパスだけでなく、後方から前線の攻撃に厚みをもたらすことができる持ち出しの技術も非常に高く、素晴らしいものを持っているということで今回の代表に選ばせていただいた。私の記憶の中では育成年代の代表(2018年のU-18日本代表)に選ばれたことがあって、そこから代表という舞台になかなか招集されない中でも、地道に努力を重ねて、プロとしてもステップアップを着実にしてきて、J1というトップレベル、日本代表という日本のサッカーの中でのトップのチームに戦力として期待できるだけの力を培ってきたという部分において、多くの選手に地道に努力をしていくことでさらなるステップアップを夢見ることができるということを示してくれると期待している」

―現在想定しているスタメン11人を教えてほしい。
森保監督「私が聞きたいくらいです(笑)。まだ今週の試合を見て決めてもいいですか。ただシステムとしては3バックで、最終予選を戦ったシステムをスタートとして考えながら、可変も含めて試合の中で別のプランを持っていけるようにしたい。ちょっと11人を挙げろと言われると難しいので、システムだけということで、またその後は期待してください」

―キャプテンは決まっていたら教えてほしい。
「まずキャプテンということに関して言うと、この26人全ての選手が自分がキャプテンだと、キャプテンをやらせてくれというくらい、それぞれのリーダーシップを発揮してもらい、自分がチームに貢献するという思いを持って姿勢と態度を見せてもらえればと思っている。チームキャプテンはまだもう1節あるので、最終的にもしかしたら何が起きるかわからないが、チームキャプテンとしては長友を指名したいと思っている。ゲームキャプテンに関してはこの3試合でできるだけ多くの選手を起用し、各試合に勝ち、タイトルを取りたいと思っているので、メンバーが1試合1試合はっきりしていないが、その時のメンバーで決めていきたい」

(取材・文 竹内達也)


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Source: サッカー日本代表

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