[6.29 プリンスリーグ関西1部第10節 近江高 2-1 阪南大高 近江高校第二グランド]
近江高(滋賀)はプリンスリーグ関西1部首位の阪南大高(大阪)に逆転勝ち。ヒーローは2得点の10番FW松山大納(3年)だったが、チームに流れをもたらしたのは背番号7のインサイドハーフだった。
試合序盤、近江は阪南大高のコンパクトな攻守に押し込まれ、前半13分に先制点を献上。だが、MF村山慎波(3年=FC湖東出身)がドリブルでの中央突破から大きく前進し、相手のDFラインを押し下げる。
村山は「近江っていうのは1人誰かドリブルで入っていったり、1人抜いたりした時に、近江らしさっていうのが出るんで、それを自分でやりたいっていうのがあって、それでチームにいい流れを持っていったり、自分がいるからチームが助かっているっていう、その確たる選手にっていうのを今目指していて、それをずっと思い続けています」という。
その言葉通り、チームに流れをもたらした村山は前半28分に右中間からDFの前に出る形でドリブル。ペナルティアークまで運んだところで潰されたが、このこぼれ球を松山が右足で決め、同点に追いついた。
その後も村山は中央、サイドからファーストDFをかわして前進。PAまでボールを運んでラストパスを試みた。背番号7に引っ張られるように森新(3年)、中江大我(3年)の両WBやMF川上尚馬(2年)のドリブルも効果を発揮。特に中盤の攻防で優位に立った近江は、後半7分に松山のこの日2点目となるゴールで逆転した。
村山はドリブルで流れを変えて勝利に大きく貢献。だが、「まだまだできます。自分は」と満足はしていない。「(今日のパフォーマンスは)全然。ちょっと抜いて終わってっていう感じで。極端に言うと、2人抜きたいです。あと、最後のパスだったり、シュートのところまで持っていって、それを成功させるために、もう1個、ドリで入っていくっていうのを求めていきたいなって思っています」と語った。
時にDF2人を振り切るようなシーンあったが、目指しているのはそれを毎回できるようになることだ。伝えられているのは「最後、消極的になって遠慮している」「もっと積極的に行って良い」の言葉。だからこそ、必ず2人を抜いてシュート、ラストパスまで行き切ることを自身に求めている。
村山は中学時代、「スタメンで出てはいたんですけど、1タッチとかで繋ぐ役みたいな感じで、全然目立てていなかった」という。テレビで見た近江のサッカーに憧れて進学し、ドリブルを特長とするMFへ進化。昨年のインターハイで登録メンバー入りしているが、今年、先発に定着したのはインターハイ予選からだ。
それまでのプリンスリーグ関西1部での先発は1度だけだった。だが、サブの時期に攻守における細部まで、また「みんなよりもずっと走り続ける」ことを意識してトレーニング。それが、前田高孝監督も「インターハイ終わって、凄く良くなりました」という活躍に繋がっているようだ。
家族が美容室を営んでいることもあり、高校卒業後は美容師を目指すことを決断していたが、プリンスリーグでも一際目立つようなパフォーマンス。周囲の強い勧めもあり、本格的にサッカーを続けるかどうか、もう一度熟考することになった。
“上手くなろう”“上手くなろう”と努力を重ねて台頭してきた村山には、もっと上手くなれるという確信がある。「もっと自分を高めて中心選手になりたいです。自分がいるから近江が成り立ってるっていうか、そういう選手になって注目されたいです」。まずは目の前の一日一日に全力。意識しているという2023年度準優勝世代のエースMF山門立侑(現甲南大)のように近江の中心選手になって、プリンスリーグ後半戦や選手権で輝く。




(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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