「もう悔し涙は流しません」決意から3年、託した仲間と日本一!! 神戸U-15MF花元誉絆がメニコンカップでも躍動してMVP

MVPを受賞
[9.15 メニコンカップ EAST 0-4 WEST メドウ]

 優勝を託した仲間が頂点に立ち、日本一のキャプテンとしてメニコンカップに出場した。この日も腕章を巻いたMF花元誉絆(神戸U-15)がWESTを牽引し、ダメ押しの4点目もゲット。MVPに選出されて「今後注目されることにもなると思うので、相手を圧倒できるようなプレーがもっと必要かなと思います」と決意を新たにした。

 ヴィッセル神戸U-15でキャプテンを務める花元は、8月の日本クラブユース選手権(U-15)大会で勝ち上がるチームをまとめてきた。ただ準々決勝を累積警告による出場停止で欠場すると、準決勝以降はU-15日本代表のウェールズ遠征に参加するためチームを離脱。日本一への挑戦は仲間に託す形となっていた。

 それでも神戸U-15の安定した強さは揺らぐことなく、16年ぶりにクラセンU-15優勝を達成。花元らU-12出身の現中学3年生は小学6年生のときにU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジとバーモントカップ(U-12フットサル全国大会)で揃って準優勝に終わる悔しい経験をしており、選手たちにとっても悲願の日本一だった。

 クラセンU-15優勝後、一部の神戸サポーターの間では花元が小学6年生のときに語っていた言葉が再び脚光を浴びていた。神戸U-12でもキャプテンを務めていた花元は当時、神戸のJ1ホームゲームで両大会準優勝を受けての挨拶を担当。好成績を収めつつも頂点には一歩届かなかった結果に対して「もう悔し涙は流しません」などと力強く決意し、サポーターから大きな拍手を受けていた。

 花元は「あそこでスピーチさせてもらったことは貴重な経験だったと思う」と当時を振り返りつつ、その後行われた全日本U-12選手権では「僕がPKを外して負けてしまった」と苦い思い出も告白。その上で「アカデミーを応援してもらうためにはアカデミーの結果が必要だと思っていた」と当時の心境を明かし、3年越しの日本一に「チームのみんなが(結果を)出してくれたのは今後にも大きく繋がる」と頷いた。

 そうした考えは神戸への強い愛着からもきていそうだ。花元は神戸U-12に加入するまでクラブチームには所属せず、サッカースクールに通うのみだったという。セレクション合格を経て神戸の一員となり「感謝です」。そこからU-12、U-15とキャプテンを務めてきた日々を経て「アカデミーの選手がもっともっと引っ張っていかないといけない」と強い責任感を抱いている。

 クラセンU-15では日本一の瞬間をピッチで味わうことはできなかったが、花元は「結果が気になりすぎて決勝とかは(ウェールズ時間の)朝3時から見ちゃっていた」という。「優勝した瞬間から、みんなから『お前いらねーよ』みたいな煽りのLINEがたくさんきていた(笑)」。そう仲の良さを示しながら異国の地で優勝の喜びを感じていた。

 代表活動を終えて帰国すると、日本一になったチームの変化を実感。「練習の強度も全然違うと感じているので、冬(高円宮杯)も2冠を取るところで全員が同じ方向を向けている」と話し、さらなる高みをチームメイトと目指していく構えだ。

 そうした中で迎えたメニコンカップでもキャプテンを担当。最終的には4-0の快勝を収めたものの序盤はゴールに迫られる時間帯もあり、花元がチームに喝を入れる声掛けをする場面もあった。

 花元は「リーダーシップのところを意識しているわけではないですけど、自分の体が(チームを鼓舞するように)そうなっちゃう、なんか鼻息が荒くなっちゃう」と内なる闘志をのぞかせ、普段から国内外問わずよくサッカーを見ているというなかで「チームがどう強くなるか」を考えた振る舞いを意識していたようだ。

 チームを強くする、勝たせる意識はプレーでも表現した。前半、U-16日本代表に飛び級招集されている相手FW三井寺眞(フォーリクラッセ仙台)に対し、後方からスライディングタックルを仕掛けて華麗にボールを奪取。スタンドがどよめく好プレーだった。

「得意なプレーではあるので。ちょっと三井寺選手がミスしたかなという感覚があったので、いっとかないと僕自身としても“ただいるだけ”になっちゃうと、ファウルでもいいから止めておきたいなと思いました。ああいう飛び級している選手にもガツガツいかないと僕も成長できないと、ああいう選手を目指すためにもいかないといけないと思っていたので、あそこはいけてよかったかなと思います」

 さらに花元は3点リードで迎えた後半アディショナルタイム、MF笠井直樹(G大阪Jrユース)が放った強烈なシュートのこぼれ球に反応。「来たらラッキーというくらいで位置していたんですけど本当にきてくれた」と振り返りながら「僕はシュートがとても苦手」と明かしたが、しっかりとゴールネットを揺らして試合を締めくくった。

ダメ押しゴールを決めた

 そうした活躍で選出されたMVPに「驚きもありながら嬉しさもあった」と花元。加えて優勝チームのキャプテンとしてトロフィーアップも経験し、「クラブユースで上げられていなかったので代わりに上げられてよかった」とはにかんだ。

 残る中学年代の大会は、先週末に再開した関西サンライズリーグと冬の全国大会にあたる高円宮杯。花元は現状に満足するそぶりはなく、代表活動で課題と感じた身体能力やゴール前でのクオリティも高めていく考えだ。

「どこのチームもヴィッセルを倒す勢いで来ると思うので、あまり日本一を取ったことは意識せずチャレンジャーの姿勢で、僕はいつも通りのプレーを発揮することが大切だと思う。チームでの競争も激しい中で絶対的な位置を確保しないといけないと思うので、プレーでも結果でも応えられるような選手になる」と花元。中学サッカーを最高の形で終えるべく、「チームとしてはもう一度日本一の舞台を味わえるように、次は僕がトロフィーを上げられるように頑張りたいです」と意気込んだ。

(取材・文 加藤直岐)
Source: 大学高校サッカー

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