「救えるチャンス」のPK戦でGK高橋恒輝(大成)がビッグセーブ。「もっともっとできる」東京都は鹿児島県戦の後半のような戦いで成長と日本一を目指す

PK戦2人目、東京都GK高橋恒輝(大成高/1年=三鷹CF Jrユース出身)が足でストップ
[10.5 国スポ少年男子の部準々決勝 鹿児島県 1-1(PK3-5)東京都 ビックレイクC]

 首都・東京都が難敵の鹿児島県を乗り越え、7回目の優勝に一歩前進した。相手のフィジカル強度の高さは理解していたが、受け身の立ち上がりに失点。反撃に出るも前半はなかなか攻め切ることができず、守備でもロングボールをバウンドさせてしまうなど、甘さのある35分間だった。

 それでも、後半勝負の東京都は後半開始から大黒柱であるMF梶山蓮翔(FC東京U-18/1年)を投入。抜群のキープ力とボールを受ける上手さも光る梶山をポイントに、東京都はボールをグラウンダーで動かすことにチャレンジした。

 太田匡人監督(FC東京U-15深川)も「ビハインドの状況でも選手たちが勇気を持って動かしてくれたんで。引っかけたらやっぱり怖いじゃないですか。でも、しっかり繋いで、意図的に前進できているシーンもいくつかあったので、非常に彼らが素晴らしかったなっていう風に思います」と評価する後半だった。

 焦れずに攻め続けた東京都は、後半34分に梶山がドリブルからループパス。相手DFに当たってDFライン背後に落下したボールに交代出場FW川村求(川崎F U-18/1年)が飛び込む。そして頭でゴールへ押し込み、同点に追いついた。

 迎えたPK戦では早生まれの2年生守護神、184cmGK高橋恒輝(大成高/三鷹CF Jrユース出身)が躍動した。鹿児島県2人目のシュートをストップ。「PKは別に得意ってわけじゃないですけど、もうここまで来たら……。やっぱり予選とか振り返っても、周りに救ってもらってたんで、(今回はチームを)救えるチャンスがあったので」。データ上、正面の可能性もあったため、意図的にやや遅く跳躍。残した足で弾き返した。

 その瞬間の感想について、高橋は「いやあ、嬉しかったっすね。率直に嬉しかったです。まず、第一にめちゃくちゃ嬉しかったです」と振り返る。高橋は「育成年代応援プロジェクト JFA アディダス DREAM ROAD」の一環として、U-16年代の才能たちととともに「FCバイエルンユースカップU16」出場メンバー10名に選ばれている注目株。太田監督も「(当初は課題、不安もあったが)この(東京都の)活動だけじゃなく、チームの活動を通じながら、凄く成長してくれて、活躍してくれているんで嬉しい限りです」と評した守護神の活躍によって5-3で勝利し、難関を突破した。

 東京都は、関東ブロックの代表決定戦でも試合終了間際の決勝点によって栃木県に逆転勝ち。高橋は「苦しい中でも勝ち切れるっていうのがやっぱ強いチームだと思います。(今日は)前半早い段階で失点して、めちゃくちゃ後半とか苦しかったですけど、全員でまず1点っていうところで意思を揃えられて1点取れたっていうのも大きいですし、こういう試合をしっかり勝ちに持ってこれるチームが強いと思うんで、そういうところでは東京が一番強いと思っています」と自信を口にする。

 この日先発した右SB橋本凜来(FC東京U-18/1年)、CB石村琢人(FC東京U-18/1年)、CB草野陸(横浜FMユース/1年)、左SB原田爽潤(東京Vユース/1年)はいずれも年代別日本代表歴の持ち主。また梶山や川村、FW城秀人(FC東京U-18/1年)、FW伊藤優(三菱養和SCユース/1年)といった注目選手や高橋、MF舘美駿(修徳高/2年)といった成長株の選手たちも擁し、実力は大会屈指だ。指揮官が「もっとできる」という集団は、鹿児島県戦の後半のようなパフォーマンスを続けることができるか。

 太田監督は「本当にこの大会を成長の場にして欲しいので、今日の後半のように勇気を持って戦って欲しいし、今の現状に満足しないで、もっともっとできると思っているから、そういう気持ちを引き出してあげたいなと思って接しています」。そして、高橋は「このチームなら優勝できると思うんで、まず明日、石川に絶対勝ちたいと思います。(個人としては)世代別とか、もっと1個上のステージに乗れるように活躍したいです」。まずは石川県との準決勝に集中。そして、勇気を持って戦い続け、首都・東京に優勝をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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