[MOM5237]静岡県MF小柳希碧(常葉大橘/1年)_チームが求める「自分の武器を出せ」。交代出場のMFが得意の切り返しからの決勝ゴール

後半26分、静岡県MF小柳希碧(常葉大橘高/1年=SALFUS oRs出身)が決勝ゴール
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.6 国スポ少年男子の部準決勝 愛媛県 0-1 静岡県 ビックレイクC]

 国スポ決勝進出をかけた準決勝は、0-0で試合終盤へ。主役になったのは、過去2試合で出場時間9分のアタッカーだった。後半18分に投入されたMF小柳希碧(常葉大橘高/1年=SALFUS oRs出身)が緊迫した展開の中で自分の武器を表現し、鮮やかな決勝ゴール。静岡県を6年ぶりの決勝へ導いた。

 静岡県は35分ハーフの後半26分、左SB大橋大洋(藤枝東高/2年)のパスでFW森田一颯(藤枝東高/1年)が左ハイサイドを突く。そしてPAへ横パス。これを受けた小柳が切り返しを交えたドリブルでDFを抜き去り、右足シュートをニアのネットに突き刺した。

「パス受けた時に、頭で考えるよりはもう身体が先に動いていた感じで、気づいたらああやって抜いていました。シュートコースはGKを見ながら自分がファーへ蹴るフリをして、ニアで決めたんで、もうGKも騙せてシュート打てたんで良かったなと思います」。このゴールが勝敗を分ける1点になった。

 小柳は今大会初戦が後半アディショナルタイムからの出場。前日の準々決勝は後半26分に投入され、アディショナルタイムにピッチから退いていた。雨中の悪コンディションで出せていなかった自分の強み。その小柳は前夜、新山真悟コーチから「自信を持ってプレーしろ」「絶対、希碧が決める時は来る」と声を掛けられていたのだという。

 だからこそ、この日は「点を奪えなくてもいいから、とにかく自分の得意なプレーをしようって考えました。『早く出してくれ』とかも思うんじゃなくて、(岡本)監督が采配してくれた時に、自分の力を発揮できればいいなと思っていました」。そして、出番が訪れると
、フットサル出身の自分が得意とする切り返しを交えたドリブルからシュート。自分の形で決めたゴールを小柳も、コーチ陣も喜んでいた。

 岡本淳一監督(浜松開誠館中)は選手たちに「自分の良さをどんどん出して欲しい」と求めてきた。この日は、小柳が思い切りよく自分の特長を表現し、決勝点。勝利をもたらす活躍に「(小柳はここまで苦しんでいたが)やっぱりいいものがあって選んでいるんで。『自分の武器を出せ』っていうのをずっと言わせてもらっているんで、『エゴを出せ』っていうか、『得意なところを思って出して欲しいな』っていう思いで出場させたんで。そういう意味では、おそらく彼自身が自分を信じてゴールに向かったんじゃないかなと。良かったです。また自信つけてもらえれば」と目を細めていた。
 
 小柳は中学時代、サッカーについて悩んでいた時期があったというが、3年時の秋に静岡県選抜として臨んだ「静岡ゴールデンサッカーアカデミー」でフェイエノールトや仁川ユナイテッドなどと対戦。強度の高い試合を経験したことでサッカーへの情熱がまた強くなり、その1年後に磨いてきた武器を全国舞台で発揮した。

 そのMFは決勝へ向けて「後半の途中から出ると思うんで。その短い中で今日みたいな点を取って優勝できたらないいなと思います」と力を込めた。目標は昨年度の選手権で活躍したMF亀田歩夢(流通経済大柏高→富山)。「オレはドリブルする時に焦ってしまうことが多くて。そういう面で、選手権の前回大会とかで活躍した亀田歩夢選手みたいな遊び心を持った選手を目標としています」。亀田もフットサル出身のテクニシャン。小柳は決勝でも遊び心を持ちながらプレーし、自分の武器でチャレンジしてまたゴールを決める。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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