
[11.24 プリンスリーグ関東1部第16節 RB大宮U18 2-2 矢板中央高 NACK]
24日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2025 関東1部は第16節2日目を行なった。さいたま市のNACK5スタジアム大宮で開催された2位・RB大宮アルディージャU18(埼玉)と8位・矢板中央高(栃木)との一戦は、2-2で引き分け。RB大宮U18は次節、引き分け以上で自力での3位以内とプレミアリーグプレーオフ進出が決まる。
ホームのRB大宮U18はここまで9勝3分3敗。この試合で勝てば首位に浮上するとともに3位以内が確定し、プレミアリーグプレーオフ進出が決まる状況だった。先発はGK岡村泰志(2年)、DF酒井舜哉(3年/U-18日本代表)、藤原朝日(3年)、遠藤柊眞(2年)、熊田佳斗(1年/U-17日本代表)、MF斎藤滉生(3年)、田中奏良(3年)、神田泰斗(2年/U-17日本代表)、小坂真聖(2年)、FW野口蒼流(3年)、中島大翔(2年/U-17日本代表)の11人。U-17ワールドカップカタール2025から前日帰国したばかりのMF小林柚希(2年/U-17日本代表)もベンチ入りした。


一方の矢板中央はここまで6勝9敗。プレミアリーグEASTから関東勢2チームが降格してくるだけに、残留争いを勝ち抜くためには一つでも順位を上げておきたいところだ。今月15日に選手権栃木県予選で優勝。そこからリーグ戦へ向けて切り替えてきたチームは、GK金沢楓(3年/U-17日本高校選抜候補)、DF石井琉偉(2年)、永井健慎(3年)、皆川北斗(3年)、MF金子海聖(2年)、平野巧(3年/U-17日本高校選抜候補)、浜谷玲玖(3年)、山本翔聖(2年)、金井大翔(3年)、福田玲大(3年)、FW為我井遼太郎(3年)の11人でスタートした。


矢板中央は選手権へ向けた腕試しでもある90分間。簡単に前線へボールを入れるのではなく、この日ひと際存在感を放っていた平野や渋谷、福田、金子がドリブルを交えてボールを運ぼうとする。練習での取り組みもあり、例年に比べてボールを持てる選手が多い印象。だが、前半は強度の高い相手に攻撃を止められるなど、なかなか攻め切ることができなかった。


RB大宮U18はクロス、ロングスローなどのセットプレーにも落ち着いて対応。ボールを奪うと神田らが相手の状況を見ながら正確にビルドアップし、サイド、DF背後のスペースを的確に狙った攻撃でチャンスを作り出す。13分、中島のスルーパスから野口が右足を振り抜いたが、これは矢板中央GK金沢が立ちはだかる。


24分にも熊田がDFラインから持ち上がってロングパスを送り、左の中島がラストパス。矢板中央も攻守で印象的な動きを見せていた永井の右クロスから、為我井がヘッドを放つなど攻め返した。
だが、29分、RB大宮U18が先制する。神田と左SB藤原がサイドチェンジで揺さぶると、右の小坂がカットインから左足シュート。これがニアのネットを揺らし、先制した。RB大宮U18はさらに遠藤の右クロスから田中が右足シュート。矢板中央も永井のクロスなどからゴール前のシーンを作り出し、山本や平野がミドルシュートを狙う。だが、RB大宮U18は相手の背後を突くボールやロングボールを酒井や熊田、遠藤が対応したほか、野口や田中らが献身的なプレスバックを見せるなど1-0で前半を終えた。




RB大宮U18は後半開始から皆川をMF大関駿(3年)へ交代。矢板中央も為我井をFW古田弥祿(3年)と入れ替えた。その立ち上がりから矢板中央がプッシュする。高橋健二監督が「夏場のトレーニングが良かったかなと思うんですけど、走り込みをしてきてるんで、やっぱり運動量はだいぶ上がっている」というチームは後半にギアを上げて前から制限をかけにいき、高い位置で奪い返す回数を増加。対するRB大宮U18は9分、高い回収力を見せていた斎藤の奪い返しから野口がネットを揺らすも、オフサイドの判定で突き放すことができない。


その直後、矢板中央が同点に追いつく。古田が右サイドを抜け出すと、DFを振り切る形で仕掛け、そのまま右足シュートをねじ込んだ。RB大宮U18は12分に中島とFW平家璃久斗(3年)を交代する。20分には左へ開いた神田が左足パスを中央へ差し込み、野口が右足シュート。さらに遠藤が右足で狙う。だが、矢板中央は永井、石井、皆川の3バックや右WB金井、左WB山本が身体を張り、GK金沢もファインセーブを見せてゴールを許さない。




相手の攻勢を凌いだ矢板中央は24分、カウンターから平野がボールを運び、山本の左クロスから渋谷がフィニッシュ。26分にも古田がPAでチャンスを迎え、28分には1タッチを交えたパス交換から平野がDF2人を剥がして左足シュートを放つ。
そして29分、矢板中央は古田が中央から左前方へボールを運んで強引に左足を振り抜く。ファーへの一撃は相手GK岡村に止められたが、こぼれを金井が右足で押し込み、逆転した。


矢板中央の永井は「選手権がスイッチになって、チームとして良い状況が続いていて、みんなが自信持ってプレーできている場面が多いので、全然100で良いわけじゃないですけど、良くなってきてると思います」。その自信がプレーにも表れて試合をひっくり返した。
RB大宮U18は相手の勢いにやや呑まれていた時間帯に再び失点。さらにゴール前のシーンを作られたが、ここで酒井らが粘って守り、反撃に出る。36分、田中と大関を小林とMF久良木慶斗(2年)へスイッチ。すると、39分、右サイドの小林が中へのドリブルからスルーパスを通す。遠藤のクロスに野口が飛び込み、最後はこぼれ球を久良木がゴールへ押し込んだ。






2-2。ここからはオープンな攻め合いとなった。RB大宮U18は神田の折り返しから平家が狙い、MF岡琉生(3年)を投入した矢板中央も平野がDFをズラしてからの右足ミドルで会場をどよめかせる。さらに岡、渋谷と繋いで山本がチャンスを迎えるも枠を捉えることができない。RB大宮U18も45+4分に右クロスを久良木が落とし、神田がグラウンダーの左足ミドルを放ったが、ボールは左ポストのわずかに左外へ外れた。そのまま試合終了。2-2で勝ち点1を分け合った。
RB大宮U18の酒井は、「ここを0で終わるか、勝ち点1を取って終わるのかっていうのは大きな違いだと思うんですけども、試合終わった後、みんな悔しがってたように、欲しいのは1じゃなくて3なんで。でも、この1を取れたっていうのは自信ではないですけど、自信に近いものを得れたっていうのはあると思います」と前を向く。負けずにドローに持ち込んだことを次に繋げ、次節でプレミアリーグプレーオフ進出を決める。
一方、矢板中央の高橋監督は「ウチはどんどん積極的に。もう去年から守備ベースじゃなくて攻撃ベースにシフトチェンジしている。ハードワークで厳しい守備から人数かけた攻撃っていうのをやっているんで、それが出せた部分と、あとはやっぱり3点目、4点目行きたかったですね。手応えは感じたんで、あとはやっぱり決定力。やっぱり後半に2つは取れたけど、やっぱり3つめ行けるように」と語った。
残留をかけたプリンスリーグ関東1部、そして選手権へ向けて手応えの90分間に。「(今年の前半は)全くチームできてなくて、インターハイも落としているし、プリンス(リーグ)も結果出なかったんですけど、やっぱり矢板は(シーズン)後半に強いなっていうように、徐々に上がってきているかな」(高橋監督)という矢板中央が、ここからの戦いで3点目を決めること、勝ち切ることにこだわって強さを示す。


(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー

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