[10.21 選手権秋田県予選決勝 明桜高 2-0 秋田商高 ソユスタ]
就任6年で3度目の選手権へ導いた原美彦監督が、「第2の監督だと思いますよ」と信頼を寄せるリーダーだ。明桜高GK川村晃生主将(3年=青森FCジュニアユース出身)は、1年時からレギュラー。2年前の準優勝の悔しさ、昨年の優勝の喜びの両方を知る主将は、大雨の影響で難しいピッチコンディションとなった決勝でチームに声を掛け続け、2-0で試合を終えた。
「悪天候で集中切らしていたら絶対に失点すると思ったので、隙を与えないように。アップの時からずっと雨降っていたので、『ボールが伸びたり、止まったりするからアラートにやろう』と言っていた」。完璧ではなかったものの、難しいコンディションで被シュート1の完封勝利。無失点優勝を果たした。
GKとして意識しているのは、11人目のフィールドプレーヤーであるということ。「11人目のフィールドという考えを持って、自分が一番フィールドを広く見えているので、コーチングは武器としていますし、キャプテンとしても締めるところで声を掛けるとか、集中すべきところで声を掛けるとかやっています」。原監督も「大人ですね。僕が言わなくてもパッと動く」という主将は、ピッチでもピッチ外でも状況をいち早く察知し、チームメートに共有する力がある。
川村は、その察知する力や共有する力がチームに広がって来ていることを実感。「原さんの表情とかを見て察するのも大事だと思いますし。それをみんなでやっていければ自然と責任感を持ってやれる。自分だけじゃなくて、みんなで、みんなでやれれば良い。シーズン始めに比べて声出す人も増えたし、どんどんコミュニケーションを取ることも増えたので、そこも勝因にあるのかなと思います」と川村は微笑んだ。
原監督は今年のチームについて「手がかからない」という。「(優勝できたのは、)僕だけでなくて、キャプテンの川村が中心となって自主的にミーティングを重ねてくれた結果だと思います。まとまりが凄くありますね。僕が何も言わなくても察知する力がある。彼らが自主的にコミュニケーションを取って自主的に改善するので、手がかからない」と説明する。
全国で勝つために、“指示待ち”ではなく、自主性を持って取り組んできた。その成果を発揮して新人戦、インターハイ予選、県1部リーグ戦に続いて秋田県を制したが、勝負はここから。川村は、「2年前決勝で秋田商業さんに負けて、自分が誰よりも悔しい思いをしたと思いますし、昨年度全国に出てもなかなか勝たせてくれなかったので、誰よりも経験はしていると思うので、そういうところをみんなに伝えていきながら(全国大会で)絶対に勝ちたいです」と全国1勝を誓った。
主将は、その結果が感謝の思いを伝えることにも繋がるという考えだ。「3年間支えてくれた保護者の方とか、学校関係者の方とか、指導者の方とか、係わってくれた全ての方に感謝の気持ちを伝えられるのは全国大会の舞台で勝つしか無いと思うので、そういう感謝の気持ちを持ちながら自分たちのやってきたことを出せるように、悔いないように、全力で戦いたい」。全国大会開幕まであと2か月強。明桜は“第2の監督”を中心にみんなで察知、共有しながら成長して全国で勝つ。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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