[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.22 関東大学L1部第18節 明治大2-1法政大 AGFフィールド]
電光石火の先制劇となった。明治大は前半2分、左サイドに流れたボールを拾ったMF熊取谷一星(3年=浜松開誠館高)が入れ直すと、FW真鍋隼虎(2年=名古屋U-18)が頭で合わせる。関東1部初ゴールを決めて、チームに流れを呼び込んだ。
「右で藤森(颯太)がボールを持った時に、自分がマイナスのポジションを取って。そこで藤森もいいボールを上げたけど、流れた。でも熊取谷さんが左にいたので、いいボールがもう一回来ると思った。相手も足が止まっていたので、予測してうまく動き出せたと思います」
昨年の開幕戦で抜擢されて以来のスタメン出場だった。連勝を継続させて2位に浮上した明大だが、この日は守備の要として成長しているMF木内達也(3年=鹿島ユース)が体調不良で不在。そして何より、チーム得点王のFW中村草太(3年=前橋育英高)も腰を痛めたために欠場となっていた。
そこで先発に抜擢されたのが、新人戦で結果を残していた真鍋だった。昨年は期待の1年生としてスタートを切ったが、6月に右ひざ前十字靭帯を断裂。長期のリハビリに入り、今年の4月にようやく戦線に復帰していた。
しかし明大でポジションを奪うことは簡単ではない。今季は中村草太がFWとして飛躍。夏にFW佐藤恵允がブレーメンに加入したことで抜けたが、リーグ再開後はFW太田龍之介(4年=岡山U-18/岡山内定)が得点を量産しており、なかなかトップチームでの出場が難しい状況が続いていた。
だからこそ、絶対にものにしたいチャンスだった。「1年生の時は怪我をしてしまって本当に悔しい思いばかりしてきた」と話した真鍋は、「今日は絶対に結果を残そうという気持ちで入った。ゴールへのこだわりは強いので、初ゴールを決められてホッとしています」と胸を撫でおろした。
もっとも、本人は誇るように得点力は何よりの武器だ。背番号10を背負った名古屋U-18時代も、高3時のプレミアリーグWESTでランキング2位の12得点を記録。日本クラブユース選手権(U-18)では得点王を獲得する活躍で、日本一へと導いた。トップ昇格こそ逃したが、大学で力を証明して、プロの舞台に飛び込みたい思いで過ごしている。
同期でトップ昇格したMF吉田温紀、MF豊田晃大(長野)、MF甲田英將(東京V)のプレーは当然チェックしている。特に甲田とは頻繁に連絡を取りあっているという。また同じ関東大学リーグでは、首位の筑波大でMF加藤玄(2年=名古屋U-18)がレギュラーとして活躍。「自分も負けていられない」と大いに刺激を受けている。
ここがスタートライン。来週からはまた、ポジション争いを勝ち抜かないといけないことも分かっている。「太田さんも中村さんも素晴らしいFWがいる中で、自分もスタメンの座を狙っている。与えられたチャンスの中で、結果を残すことでスタメン争いに入っていけると思う。与えられた時間で結果を残すことにこだわって、スタメンを奪っていけるような選手になりたいです」。ただ出れば結果を残せる。その証明が出来たことは、大きな一歩となったはずだ。
(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集
Source: 大学高校サッカー
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