日本サッカー協会(JFA)は31日、千葉市内の高円宮記念JFA夢フィールドで記者会見を行い、9月の欧州遠征2試合に臨む日本代表メンバー26人を発表した。森保一監督が約20分間にわたって質疑に答えた。
●山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「2026年のW杯を目指すチームとして初めての海外遠征になる。素晴らしい強豪と2試合できることを成長に繋げていければと思う。W杯予選が年内に控え、アジア杯も年明けに控えている。いい準備をして、大会をいい形で乗り越えられるようにしていきたい。ヨーロッパのシーズンが開幕したばかりでコンディションが難しいタイミングだが、スタッフが準備をしっかりと進めて、2試合をいい状態で迎えられる。この2試合、すごく期待していただいていると思うので、期待に応えられるワクワクする遠征にしたい。テレビで見ている皆さんも是非応援よろしくお願いします」
●森保一監督
「今回の9月の代表戦はヨーロッパでドイツとトルコと対戦するが、非常にいい相手、強い相手と試合をさせて頂けることをありがたく思う。マッチメイクしてくれた方々に感謝したい。2試合とも日本での戦いではなく、ドイツとベルギーでの試合で、アウェーの中で戦うことになるが、難しいアウェーの戦いで個のレベルアップ、チームのレベルアップ、そしてこれから始まるW杯アジア2次予選、そしてアジア杯に向けて、チームとしての戦術の共有と幅を広げていけるように戦いに臨みたい。2試合とも個のレベルアップ、チームのレベルアップを目指すのはもちろんだが、まずその前に我々を応援してくださるサポーターの皆さん、日本で応援してくださる皆さん、現地で応援してくださる皆さんが喜び、笑顔を作ってもらうために勝利を目指して、ベストを尽くして戦いたい」
―前線で小川航基や南野拓実、日本では大迫勇也といった好調な選手がいるが、その中でも継続して呼ばれている選手が多い。選考で重視した部分は。
「良いプレーをしているということは選考の段階でも確認しているので、その判断の中でということ。名前をおっしゃられた選手も含めて見ている中で、それぞれの選手の調子も把握している。判断基準として一つではないが、これまでの活動とそして今回と、またアジア2次予選、アジア杯に向けてという未来に向けて、この先に向けてという部分を総合的に考えて決めた」
―ドイツ代表とドイツで対戦できる。W杯では相手にボールを持たれる場面が多かった。どういうチャレンジをするか。
「我々がボールを握ってゲームをコントロールすることは目指していかないといけないが、W杯での戦いを踏まえて、ドイツが間違いなく強いチームであるということは再確認できたいうことを選手たちもW杯での戦いを終えて話していた。今度対戦するドイツ代表も間違いなく強い相手だということで我々のレベルアップに向けて、攻撃も守備も、個人もチームもチャレンジしていかないといけない。もちろんボールを握るところを上げていきたいと思うが、これが全てひっくり返って、完全支配して戦えることにはならないと思う。W杯でも良い守備から良い攻撃にということで、粘り強く戦った上で、最後に試合をモノにできた。我々の強みであったり、その試合で良かったことを忘れず、攻撃のパーセンテージや、チャンスの回数を増やしていけるようにしっかりとベース作りをして、少しずつ積み上げていくことを考えながらチャレンジしたい」
―今回の遠征で試したいテーマがあるか。W杯のドイツ戦では3バックにしていい流れに変わったが、どういう形で挑むか決まっているか。
「試したいことはたくさんあり、答えとしてはアバウトに抽象的になるが、個においてもチームにおいてもドイツ代表という世界のトップ基準を持っている力のあるチームとの対戦で、いまの我々の力を把握することと、個においてもチームにおいてもよりレベルアップできるようにチャレンジしていきたい。システムのことも、W杯での戦いにおいて質問されたと思うが、今回も状況によって4バックであったり、3バックであったり、局面としてはマンマークのようなことも考えていきたい。いまはその選択肢を持っているが、何をどう試すかは選手が集まってから決めたい。ただシステムはチャレンジしていきたいと思う」
―毎熊晟矢が初招集されたが、決め手となったのは。
「チームでのパフォーマンスが良いことと我々のチーム作りの中ですべてのポジションでポジション争いがあると思うし、レベルアップもしないといけないが、サイドバックのところにおいてはそのポジションで日本代表としての戦力となり得る選手の幅はより作っていきたい、広げていきたいと思っている中、Jリーグで活躍している存在感を示している選手として毎熊選手を今回選んだ。Jリーグの選手はいまの所属では少ないが、日本代表の選手は全員がJリーグ経由で世界に羽ばたいている選手なので、Jリーグ、日本の育成を経ていることは皆さんと共有したい」
―テクニカルスタッフに若林大智さんが新たに加わっているが。
山本「若林さんが今回の遠征からテクニカルスタッフに加わってもらうことになった。ボリュームと質が上がってくる。彼はご存知のようにセビージャでヨーロッパのチャンピオンに何度も輝いた。さまざまな監督と一緒にヨーロッパのトップレベルの戦いを経験してきた実績ある方。今までのテクニカルスタッフに加えて、さらに世界のトップ基準で意識改革をして、見方だったりの層を厚くして、今後は彼だけでなく、W杯のこれまで以上の成績を目指すことを考えれば、決勝トーナメントの先の分析の分厚さもすごく重要になる。これからもそこのレベルアップは引き続き図っていきたい。その中のスタートが今回になる。我々も楽しみにしている存在なので、監督にも何度も会ってもらっていて、チームにすごくいい影響を与えてくれると確信している」
森保「山本さんがおっしゃったことが私も思っていることだが(笑)、彼がスペインで経験したこと、セビージャでELを取っているという世界トップ基準、そして世界のサッカーの情報を持っているテクニカルスタッフとして我々に加わってくれるということは我々にとって非常に戦力アップになる。基本的にはスタッフは日本からということで世界を見て、世界で勝っていこうということで日々準備して、戦いをしているが、世界の舞台で戦ってきたスタッフが入ってくれることで、その情報をもらいながら、そして自分たちとは違ういろんなノウハウを持っているかもしれないので、お互いにやりとりしながら活かしてチームに加えていければと思っている。日本には優秀なテクニカルスタッフがたくさんいて、協会内にもたくさんいるが、彼が来てくれることによって、また彼がやっていることをチームで発信することにより、テクニカルスタッフとして日々レベルアップする人たちのためにもなると思ってチームに加わっていただくことにした」
―ソシエダでトレーニングを欠席している久保建英のコンディションに問題はないか。
「我々も情報を取っていて、ソシエダのメディカルスタッフとも連絡を取っている中、代表戦ということに関してはプレーするのは問題ないという報告を受けているので招集した。人間の体なので今週末の試合や、代表戦に向けてコンディションが良くなければそれはまた判断していこうと思う」
―第2次体制では吉田麻也、長友佑都という経験のある選手がいないが、どういったチャレンジになると考えているか。
「大きなチャレンジをする貴重な試合をさせてもらえると思っている。カタールW杯が終わって、選手たちも一様に『ドイツが一番強かった』と口を揃えていたし、世界トップ基準を持つドイツと、ドイツの地で戦えることはすべてにおいて経験値が上がるし、レベルアップにつながる。もちろん難しい戦いにはなると思うが、その中でも厳しい戦いをレベルアップしながら勝つという目標を持ちながら戦いたい」
(取材・文 竹内達也)
●北中米W杯アジア2次予選特集ページ
Source: サッカー日本代表
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