日本サッカー協会(JFA)は9日に都内で記者会見を行い、静岡県で行う遠征に参加するU-22日本代表メンバー26人を発表した。会見では大岩剛監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが質疑に答えた。
U-22日本代表は今年最後の活動を静岡県内で行う。18日午後2時からIAIスタジアム日本平でU-22アルゼンチン代表と対戦。また、21日には完全非公開でトレーニングマッチも行う。
●山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「今回、アルゼンチンと2試合のトレーニングマッチということで、FIFAランク1位で未来のスターが揃うアルゼンチンを招く。メンバーは発表にはなっていないが、彼らも1月の南米最終予選を控え、海外組も何人か参加するとうかがっている。南米予選の準備としては、最後の詰めの部分に来ている。そういう意味では、レベルの高い試合が期待できると楽しみにしている。会場は日本平だが、大岩監督の故郷でもある。チケットも残りわずかとうかがっている。楽しみに来られるサポーターの皆さん、地元の方がたくさん来られる。熱い応援をU-22日本代表にエネルギーを送ってもらえれば。最終予選、パリの本番に向けて、ここから旅立っていくチームを楽しみに見ていただければと思う。
●大岩剛監督
「U-22日本代表としては初の日本開催の試合になる。そして、相手も非常に強いアルゼンチン代表。レベルの高い試合をしたいと思っているし、観に来る観客の皆さんに楽しんでもらえる、ワクワクしてもらえる試合にしていきたい」
──アジア大会参加の選手が4人招集された。その選手たちに期待したいところはあるか。
「アジア競技大会で準優勝という結果だったが、あの大会を通じて非常に成長した選手も数多くいた。われわれのグループに食い込んでいる選手も数多くいた。今回は4人になったが、彼らがしっかりとアジア大会で示した姿勢をこのチームで見せることで、より高いレベルにチーム自体がなっていくことを期待して招集した」
──鈴木彩艶がA代表に招集された。森保一監督からどういうタイミングで打診があったのか。選手がA代表に行くメリットとデメリットはあるか。
「前回の活動でA代表に招集されているので、引き続き招集したいという打診は早い段階からされていた。彼のパフォーマンスもあるので、都度コミュニケーションを取りながら、今回招集の話を受けた。われわれのグループからは数が少ないという話だが、これはA代表ありき。われわれはA代表のスタンダードを目指すが、それにたどり着けなければ選ばれないということは私も選手たちも理解している。サムライブルーはチームとして非常に完成されているし、個人のレベルも高くなってきている。そのグループに、われわれのグループからも数多く入っていくという話を活動ごとにしている。今回の活動でも、しっかりとしたパフォーマンスを見せることで、森保監督にアピールできればと感じている」
──初招集の福田師王に期待するところはあるか。
「師王だけではなくて、全選手に期待している。師王個人でいえば、現段階でボルシアMGのセカンドだが、得点を決めたり、チームのタスクを非常に高いレベルでやっていると見受けられた。われわれのグループのFW陣で怪我人が多く出ているという事情もある。私がU-18の監督をしていたときも見ているし、現時点での彼のパフォーマンスを見てしっかりと戦える、われわれのグループに入れると期待を持って、今回の参加を要請した」
──招集メンバーは26人でいつもの人数より多い。そのあたりの狙いはあるか。また、半田陸がほぼ一年ぶりの招集となったが期待するところはあるか。
「2つの質問が非常にリンクをしている。半田陸はわれわれのグループにとっては重要な選手。それを踏まえて、この2試合でわれわれのグループのコンセプトを思い出してもらう。彼はコンデイションもまだ万全ではないので、競争力も含めて、山本ダイレクターに無理を言って26名にした。われわれの活動も最終予選まで限られた回数でしか活動はできないので、その中で競争力を高めながらチーム力を上げる。その両方を踏まえた上で、26人という数になった」
──招集外の選手は今後招集される可能性はあるのか。そのために必要なものは何か。
「われわれのグループに対しての扉は、この年代までで制限されている全選手にフルオープンされている。入るには各所属クラブでハイレベルなパフォーマンスをする必要がある。極端に言えば、所属しているチームで認められて、日本代表に来ることができるくらいのパーソナリティと、現時点でのプレーレベルの高さがあれば、われわれの目に入ってくる。高校、大学、どのレベルでもしっかりしたパフォーマンスを出していれば招集したい」
──発足から一年半が経ったが進捗状況はどうか。日本のサッカーファンにアピールをしてほしい。
「もう2年近く経ち、われわれも発足当初から一貫したコンセプト、プレーモデルでやってきた。その中でたくさんの選手が招集され、数多くのレベルの高い対戦国との試合を経て現在に至る。積み重ねと積み上げ、選手のレベルアップができていると実感している。結果に出ている出ていないといった勝敗は、あまり重要視していない。選手の成長を見れば、自ずと何をやってきたということが把握できる。発足当初からピッチの中で攻撃的に振る舞うスタイルでやってきた。前回の活動でアメリカに敗れたが、その中でもスタイルを崩さなかった。アルゼンチンに対しても、日本の皆さんに姿勢を見せたい。その中でより良い結果を出すことができれば、みなさんに向けてのいいアピールになる。その準備をしっかりしていきたい」
──このチームは南米と対戦することが初。南米とやることで学んでほしいところは何か。
「前回はメキシコとアメリカと対戦した。世界の各地域で特色のあるサッカーがある。その中で、南米は俗に言うずる賢さ、局面における駆け引きの上手さがある。U-22アルゼンチン代表も、もれなくそのスタイルでやってきている。個々のレベルの高さはしっかり認識して、サッカーの本質のところは選手に求めて戦っていきたい。その上で、われわれが戦術的にも技術的にも、上回ることができればいい試合ができる」
──発足から2年が経ち、カタールW杯からももうすぐ一年。A代表を経験した選手、海外挑戦をした選手も増えてきた。そういった選手たちが還元してくれている部分はあるか。
「数多くのわれわれの選手がA代表を経験している。われわれの活動のときには姿勢、立ち振る舞いを意識して示そうとしている。彼らも自チームでいいパフォーマンスをしなければ選ばれない。その積み重ねはとても重要。それが常に選ばれるための理由である。A代表を意識するが、感じたところを日常でどう現わしていくか、われわれの活動に示すことができるように。彩艶の話もあったが、もっともっと日常のレベルを上げることがA代表の選手を増やす要因になると思っている」
──10月の遠征からチェイス・アンリ、平河悠や藤尾翔太といった町田組も外れた。その理由は何か。
「今回だけではなくて、各活動においてIW(インターナショナルマッチウィーク)に限って言えば、選手のコンディションが第一であると、そしてクラブとの交渉が第二である。それがなければ招集することができない。今回は彼らのコンディションが、このグループに対してのコンデイションではなかったという判断をして、ほかの選手を招集する判断をした」
──鈴木唯人や藤田譲瑠チマ、山本理仁、小田裕太郎ら海外組の変化は感じているか。
「前回の活動で、唯人は少し怪我をしていた。コンディションが上がらなかったが、映像を見る限りクラブに戻ってからは活躍をしている。ほかの場所で活躍している選手、そして苦労している選手たちも今回の活動で招集はするが、このグループの中で競争した上で、期待を込めて来てもらう。われわれの試合で刺激を得てレベルアップする作業にしてもらいたい。全員に期待している」
──試合を行う清水は、大岩監督の故郷でもある。個人としてどんな気持ちで迎えるか。
「個人的には故郷でもあるので、注目してくれる方がほかの地域と比べれば多い。ただ私が実際にプレーをするわけではない。チームをまとめて、皆さんがワクワクするような、楽しんでもらえるようなサッカーをしっかり表現するところで責任を強く感じている」
──アルゼンチン代表への印象はどうか。
「アルゼンチン代表の選手の情報は集めている。おそらく招集されるであろう選手を把握した中では、非常にレベルの高いクラブでやっている選手もいる。前回の活動で試合をした映像もチェックしている。その中では南米特有の、個人個人の駆け引きの上手さ、個人個人のスピード、技術でレベルの高さを感じられるチーム。しっかりと準備して戦わないと痛い目に遭うと感じている」
──福田師王が成長したところは何か。
「18歳で神村学園にいたころ、粗削りで、得点を取るところでいえば、非常に高校レベルではないと感じていた。いまの映像をみると、その点を取るという特長もありつつ、おそらくチームで求められているトランジションの部分、そういう部分は目に見えて成長している。体つきも一回り大きくなった印象を受けた。今回こういうチャンスを私が頂いたので、目の前でしっかりと彼の評価をして、彼の今後の成長にな何か刺激を与えられたらいいと現在は思っている」
●山本昌邦ナショナルチームダイレクター
──18日の試合後、21日にも非公開で練習試合を組まれている。そこに至った経緯や事情は何か。
「世界のトップ基準のアルゼンチンを呼んでいただくにあたって、両協会でさまざまなことを詰めていただいた。アルゼンチンは直前の1月から厳しい南米予選を控えている。1試合目は皆さんに見ていただくところ。もう1試合は非公開でいろんなことを試す。両協会が詰めた結果がこういう形になった。これは交渉なので、かなり前から現場からも南米の強豪とやるということで準備してきた。ぎりぎりのところで来てもらうようになった」
(取材・文 石川祐介)
Source: サッカー日本代表
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