[11.12 選手権茨城県予選決勝 明秀日立高 4-0 霞ヶ浦高 カシマ]
今できることを全力でやり切った。明秀日立高のゲーム主将、CB山本凌(3年=FC.フェルボール愛知出身)は決勝で空中戦の強さを発揮。霞ヶ浦高のキーマン、FW吉沢友慶(2年)との競り合いで上回り、ハイボールを幾度も跳ね返していた。
「インターハイくらいの力は出せた」と山本は笑顔。状況に応じたビルドアップができなかったことを反省していたものの、チームメートを活用しながら守り、自身もトレーニング以上のプレーで4-0の勝利に貢献した。
インターハイではMVP級の活躍で日本一に貢献。的確なカバーリング、球際での強度、ヘディングの強さ、そしてビルドアップの中心としても存在感を放った。早生まれの3年生DFに対しては、U-17日本代表スタッフもプレーを直接チェックしていたほどだ。
だが、8月のフェスティバルで右足第5中足骨を骨折。当初から選手権予選準決勝、決勝を目指してリハビリを行ってきた。一時右足の筋力が落ちていたというが、バイクやスクワットで筋力強化を果たして10月半ばに練習復帰。10月29日の選手権予選準々決勝で20分ほどプレーした。
復帰戦は競り合いで全く勝つことができず、それはチームトレーニングでも変わらなかったという。だが、試合ではスイッチが入る部分もあったか、準決勝、決勝と健闘。「最初は不安とかあったんですけれども、(監督の)萬場先生からも『インターハイのようなプレーはやらなくて良いから、今できることを最低限出せ、もっと周りを頼って良い』と言われて気持ちが少し楽になって。周りを上手く使いながらやれたので決勝は不安なくやれた」と頷いた。
リハビリ期間中も自分にできることに全力で取り組んだ。トレーニングでは、DFラインの後方から声がけ。チームの一員として、成長するためのことを続けた。「怪我しても関係なく今できることを最大限還元しようというのがあったので。自分が帰って来た時に(コンビを組むCB飯田)朝陽もだいぶ成長していたので、怪我はしない方が良いんですけれども、良い怪我だったと思います」。チームメートも山本の不在を成長の機会に変えた。
目標は夏冬全国2冠。自身とチームのコンディションはこれから貪欲に高めていく。「インターハイ以上に持っていくためにはここかから自分ももっと努力が必要だと思いますし、サイズが(180cmと)CBにしてはないのでもっと身体的なところをつけたいと思いますし、ビルドアップも両足でキックの質をもっと上げたいと思います。インターハイで日本一になっているので、全国でも日本一以外で満足することはないので、もう一度日本一になれるように練習からもう一段階上げていけるようにしたい」。これからの日々も自分ができることに全力で取り組み、選手権でインターハイ以上のプレーを。そして、全国決勝まで最大6試合を勝ち抜く。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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