[11.12 選手権長崎県予選決勝 長崎総附3-1国見 トラスタ]
22年1月に逝去した小嶺忠敏さんが愛情を注いだ両校による頂上決戦。長崎総合科学大附高のベンチには、小嶺さんが愛用していたという麦わら帽子が飾られていた。
「ここぞという時にベンチに飾ります。相手が国見だった?それもあります。先生に見てもらいたいと思って」
そう話した定方敏和監督は、「高校総体の時(3回戦)もベンチに飾ったけど、小嶺先生と言えばやっぱり選手権。小嶺先生も一緒に行きましょうという思いでした」と続け、柔和な笑みを浮かべていた。
固い試合になると予想されたゲームだったが、早々にスコアが動いた。前半6分、長崎総附のCKからの攻撃は2度クロスバーに跳ね返されたが、ヘッドでクロスバーに当てていたFW福島文輝(3年)が右足で豪快に蹴り込んで先制点を奪った。
その後も長崎総附のロングスローやCKなどセットプレーからの攻撃は、国見に脅威を与える。前半23分にCKをニアで合わせたDF京谷來夢(3年)のヘッドはクロスバーを叩いたが、前半を1-0で折り返すことに成功する。
そして次の得点を奪ったのも長崎総附だった。後半8分、右サイドをドリブルで突破したFW甲斐智也(3年)のマイナスクロスに走り込んだMF金城琉煕(3年)が右足で決めてリードを広げる。
後半18分にミスを突かれてFW山崎夢麗(3年)にゴールネットを揺らされ国見に1点を返されたが、同27分、長崎総附は左サイドをMF尾島栞蓮(3年)が巧みなドリブルで突破。エリア内に入ってクロスを入れると、福島が右足で流し込んで、“小嶺対決”に決着をつけた。
2年ぶりの全国選手権出場を決めた長崎総附だが、主将DF平山零音(3年)がただ一人、1年生の時に全国のピッチを経験している。夏過ぎに小嶺元監督に認められたことでトップチームに帯同。試合で緊張して固くなってしまったところ、ハーフタイムに小嶺元監督に「お前を信用して使っているから」と声をかけられたことで、肩の力が抜けたことを今でも思い出すという。
今夏のインターハイで5試合失点を4強に勝ち上がった堅守・国見を破って出場する全国選手権。当然、上位進出も現実的な目標として掲げていくつもりだ。新チームの立ち上げ当初は「元気がない、まとまりがない」(定方監督)チームだったというが、夏場を過ぎて急成長。プリンスリーグ九州で好成績が続いたこともあって、冬に向けた自信を深めていた。
全国で勝つポイントに定方監督は「決定力の向上」を掲げる。「いかにチャンスをものにするか、相手の隙を突けるか、逆に相手に作らせないかだと思います」。平山も「全国の悔しさは全国でしか晴らせないと思っている。チームではベスト8の目標を立てているので、頑張りたいと思います」と気合を入れ直していた。
(取材・文 児玉幸洋)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
コメント