[11.18 国際親善試合 U-22日本 5-2 U-22アルゼンチン アイスタ]
試合終了の瞬間、ピッチに膝をついて笑顔を浮かべた。強豪のU-22アルゼンチン代表に対して90分間、真っ向勝負を挑んで5-2の勝利。U-22日本代表MF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)は、「なかなかきつい90分間だった」と言いながらも、「レベルの高いサッカーが90分間続いていたので楽しい時間だったし、自分自身も何かやってやろうという気持ちでポジティブにやれた」とすがすがしい表情を見せた。
大岩ジャパンにとって初めての国内開催試合で勝利を収めたことで、安堵の気持ちも浮かんでいた。「自分たちのプレーを見たことがない方々もいたので、自分たちもできるんだぞというところを見せられたと思う」と胸を張った。
キャプテンマークを巻き、「リーダーシップを出そうと思った」という90分間でもあった。
日本は立ち上がりからプレスがはまり、ボールを奪ってからの攻撃という、狙い通りの試合を見せていたが、先制から4分後に守備の連携ミスで1-1に追いつかれたり、相手のポジショニングが変化した後半はプレスがはまらないうえに、各所で凡ミスが散見する時間帯があった。
良くないムードが漂ったが、その時に何度も仲間を鼓舞していたのが藤田だ。
「自分自身もミスが続いてしまって苦しい時間だったので、声がけをやめないことや、プレスのはめ方を近くの人たちと共有しながらやった」
じれずに闘い続けているうちに攻撃がうまくからむようになって終わってみれば大量得点。後半44分のとどめの5点目は藤田が自陣深くからDFラインの背後を狙って出したロングフィードを途中出場のFW福田師王が決めた。
大岩剛監督はキャプテンを固定しない方針だが、藤田は9月のパリ五輪アジア1次予選(バーレーン)から2か月ぶりにゲームキャプテンを担当。強度と技術力の高いアルゼンチンを相手に冷静さと統率力で存在感を示した。
ただ、試合全体を通してみればアルゼンチンに押された時間帯が少なくなかった。藤田は、「スコアとは違う印象。今回は自分たちの攻撃がうまく噛み合わさったし、得点のタイミングも良かったけど、90分間圧倒できたわけではない」と振り返る。
「90分間、楽しかったですけど、まだまだ改善できるところもある。満足せずに今後つなげていければと思う」と言葉に力を込める。
今夏、ベルギーのシントトロイデンに移籍して約3か月が過ぎた。プレータイムの確保には苦労しているが、強度の高いプレーをする中で体がひとまわり大きくなった。体重増は1キロほどだと言うが、見た目の逞しさが増した。
来年のパリ五輪に向けて、どの相手にでも勝てるという自信につながるアルゼンチン戦勝利。「次の試合もしっかり勝てるように準備したい」と、21日に組まれているU-22アルゼンチン代表とのトレーニングマッチ(非公開)に目を向けた。
(取材・文 矢内由美子)
Source: サッカー日本代表
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