「この学校に入って本当に良かった」。京都橘FW西川桂太主将は選手権で「人の心を動かす」戦いと全国制覇を目指す

京都橘高FW西川桂太主将(3年=vervento京都FC出身)は交代出場で先制点を決めた
[12.2 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第18節 東山高 0-2 京都橘高 J-GREEN堺]

 復帰したチームリーダーが先制点を決めた。0-0で前半を折り返した京都橘高は、後半開始からFW西川桂太主将(3年=vervento京都FC出身)を投入。その2分後に「抜け出してGKが見えていたので、あとは流し込むだけでした」というゴールでスコアを動かした。

 フィニッシャーとしての期待に応えたほか、前線でボールの落ち着きどころに。守備でもチームを引っ張った。「(怪我の影響で)プリンス2試合ベンチ外で、チームに迷惑をかけたんですけども、今日は点取って勝利に貢献できたので良かったです」。勝利でリーグ戦を終えたことを素直に喜んでいた。

 西川は入学直後のプリンスリーグ関西でいきなり決勝点。2年時にはエースとして期待されたが、怪我に苦しむなど、昨年までは一度も全国舞台に立つことができなかった。最終学年は主将に就任。だが、インターハイ予選決勝で敗れ、プリンスリーグ関西でも勝ち切れない時期があった。

 それでも、最後の選手権予選で優勝。「(主将に)最初なった時もまだまだ発信もできないし、チームに良い影響を与えられていなかった。でも、チームのことを考え続けて一つ一つの練習、ミーティングでやってきたことが少しずつ形になったと思います」と頷く。

 12年度選手権準優勝や13年度選手権3位、19年インターハイ3位などを経験している京都橘だが、20年度選手権を最後に夏冬ともに全国出場なし。今後の京都橘のためにも、この選手権は必ず全国大会に出なければならないと考えていた。

 予選決勝の前には「橘の歴史のためにも勝たないといけない」とチーム全体で共有。米澤一成監督は「こいつらに、そういう気持ちがあるというのは本当に驚いたと言うか、嬉しかったですね」と振り返る。決勝ではその思いをぶつけ、後半32分からの2得点で宿敵・東山高に逆転勝ち。全国切符をもぎ取った。

 西川は言う。「この2年間は選手もスタッフ、応援してくれる人みんな悔しい思いをしてきましたし、今年こそという思いは強くありましたし、自分たちの代で行けると信じていたので、最初から疑うことはなかったですし、信じてやったことが結果に繋がったと思います」と胸を張る。

 ただし、本当の勝負はこれから。選手権開幕までの1か月弱で少しでも成長しなければならないと考えている。目指しているのは全国制覇。そして、「人の心を動かす」ような戦いだ。「チーム一つになってやってこれたので、最後の最後のところなので結果を出したいし、僕らのベースである『人の心を動かす』というのがあるので、それをしっかりと表現して、見ている人に元気とかパワーを与えられるような試合をしたいです」と力を込めた。

 西川はチームの大黒柱であり、まとまりの良いチームを引っ張るリーダー。「僕一人がやったという感覚は全然なくて、みんなでまとまれるチームを作りたい、そのきっかけをボクが作りたいと思っていたので、みんなの力だと思います」と仲間たちの支えに感謝する。

 全国大会では成長させてくれた京都橘への恩返しの思いも込めて、全力を尽くす。「人としてたくさん教えてもらって成長できたし、このチームに入って、この学校に入って本当に良かったと思います。チームの目標のためにも、ボクがチームを勝たせるという気持ちは強く持っていますし、ゴールを奪うこともそうですし、戦う姿勢をボクが一番見せてチームを引っ張っていけたらなと思っています。ゴールは必ず求められるので、選手権でもしっかりと取ってチームを勝たせたい」。一戦一戦、「人の心を動かす」戦いと勝利を。そして、12年度大会の全国2位を超える。

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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