[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.7 インカレ1回戦 東洋大 3-0 東海学園大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]
全国大会初戦で躍動した。FW梅津凜太郎(3年=鹿島ユース)は東洋大の勝利に大きく貢献。「少しは緊張していた」と明かしながらも東海学園大から2ゴールを奪う。初戦突破に「とりあえずひと安心できてよかった」と笑顔を見せた。
試合の流れを変える序盤の先制ゴールとなった。東洋大は前半7分、FW小野田龍剛(4年=常葉大橘高)がボールを収めて右足でクロス。その瞬間、梅津は敵陣PA内で待ち構えていた。「自分が得意な形からクロスが来そうだった。そこを狙っていたらちょうどいいボールが龍剛から来た」。ゴールから少し距離がある位置だったが、梅津のヘディングシュートはゴール右隅をピンポイントで捉える。「けっこう練習でも決めていた」と自信の一発となった。
さらに、梅津が点差を広げる。前半42分に東園大の攻撃をしのぐと、東洋大はカウンター。DF田頭亮太(4年=東福岡高/群馬内定)が右サイドでボールを運び、最前線にスルーパスを出す。相手守備陣の裏を疾走したのは梅津だ。「スピードには自信がある。あとはGKの位置をよく見て触って決めた」。相手GKのタイミングをずらすように右足で押し込んだ。
今シーズンのリーグ戦では17試合1得点と結果は振るわず。梅津自身も「関東リーグとかで点は取ってこれなかった」と振り返り、ふがいなさをにじませた。ひとつのきっかけに挙げたのは10月末に行われた関東大学選抜の活動だという。大学で初となった選抜招集で感じたことは、手応えではなく課題。「自分の技術の足りなさを理解した。その後、悔しい気持ちを練習でぶつけたり、練習で意識することも増えた。前より質の高い練習をして、今回結果が出た」。悔しさが成長の要因となったようだ。
関東大学選抜の活動では、U-17ワールドカップに臨むU-17日本代表とも対戦。若き代表チームにはDF松本遥翔(鹿島ユース)やFW徳田誉(鹿島ユース)といった“後輩”もいた。「(鹿島ユースは)ちょくちょくチェックはしている。でも、年上だから頑張るとかではなく、一人の対戦相手として頑張ろうとは思った」と刺激も受けていた。
茨城県の流通経済大学龍ケ崎フィールドで行われたこともあり、東洋大の井上卓也監督は「“地元”茨城に戻ると、ちょっと調子が出たようで」と目を細める。「練習ではチャンスはたくさん作っても決め切れないという場面が多かった。この試合では来たチャンスで確実に点を取っていたので、ストライカーらしかった」と高く評価していた。梅津自身も「ひさびさの茨城。いい雰囲気でできた」と意識はしていたようだ。
鹿島ユース時代の同期ではMF舩橋佑がトップ昇格を果たした。梅津も話を聞くこともあり、プロへの意識は高まる。ただ、いまはまだ飛躍のスタート地点。「いまの自分では行けるとは思っていない」とさらなる成長を誓う。「今回もっと点を取れたシーンもあった。もっと決定力を上げてチャンスメイクできたら」。大きな注目を浴びる全国大会。さらに得点を挙げて真価をアピールするつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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Source: 大学高校サッカー
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