前回全国3位の神村学園が鹿児島7連覇に王手。初戦の準決勝を3-1で勝利

後半32分、神村学園高はMF新垣陽盛がヘディングシュートを決めて3-1
[12.15 選手権鹿児島県予選準決勝 神村学園高 3-1 出水中央高 白波スタ]

 第102回全国高校サッカー選手権鹿児島県予選準決勝が15日に鹿児島市の白波スタジアムで開催され、神村学園高が7連覇に王手をかけた。出水中央高と対戦した神村学園は、交代出場のMF高橋修斗(3年)の勝ち越しゴールなど3-1で勝利。16日の決勝で鹿児島城西高と戦う。

 神村学園の左SB吉永夢希(3年)とMF名和田我空(2年)がともにU-17日本代表としてU-17ワールドカップに出場。その関係によって、鹿児島県予選は11月11日の準々決勝から約1か月間中断し、この日再開した。

 プレミアリーグ勢でスーパーシードの神村学園にとっては、この準決勝が初戦。右SB有馬康汰(3年)や仙台内定FW西丸道人主将(3年)のラストパス、またセットプレーからシュートを打ち込むなど、序盤から相手ゴールをこじ開けに行く。

 だが、出水中央は全国屈指の攻撃力を持つ相手に良く食らいついた。前線へのボールをCB立石悠真(3年)とCB平喜一郎(2年)が弾き返すと、ドリブルや抜け出し、シュートにも最後まで体を寄せて守備。わずかにその精度を乱した。

 そして、MF木場玲(3年)らがセカンドボールで健闘。奪ったボールを前線へ繋ぎ、FW野村一颯(3年)が攻め切って見せる。神村学園は24分、U-16日本代表MF福島和毅(1年)の縦パスから西丸が連続シュート。だが、出水中央は左SB前田健太郎(3年)とMF豊島孔涼(3年)が連続でブロックするなど高い集中力で守り続ける。

 神村学園の西丸は「形としては悪くなかったんですけど、最後のやっぱり質だったりとかが欠けていた」と振り返る。また、イージーミスがあったほか、押し返されることもしばしば。だが、西丸が中盤に落ちてビルドアップに係わったほか、吉永の積極的な攻め上がりや福島の中央からのドリブル、名和田の前方のスペースを活用した配球など多彩な攻撃でゴールを目指し続け、西丸、吉永、名和田の連係からシュートを打ち込むシーンもあった。

 そして29分、神村学園は右サイドのMF大成健人(2年)がサイドチェンジ。左サイドの名和田が逆サイドでフリーの大成へグラウンダーのパスを通すと、これを大成が右足で決めて先制した。

 神村学園はこの後、吉永がワンツーからフィニッシュするなど畳み掛けようとする。だが、出水中央は凌いでセットプレー、カウンターなどから反撃。そして、同点に追いついて会場を沸かせる。40+3分、左中間のFKからキッカーの前田が右足を振り抜くと、ライナー性の一撃がゴール右隅へ突き刺さった。

 前半ラストプレーのゴールに出水中央スタンドは大盛りあがり。後半も勇気を持って戦い、GK桃原常榛(2年)が相手のクロスやセットプレーを跳ね返し、素早く前線へボールを入れて攻め返そうとする。

 だが、吉永が「1-1になった時、(例えリードされても)跳ね返す力が、自分たちあったんで慌てずに行こうっていうのは、みんなで話していた」と説明したように、神村学園は崩れない。中盤でMF新垣陽盛(2年)が高さを発揮していたほか、CB難波大和(3年)らDFラインも浮き球、背後へのボールに対応。2点目を許さずに試合を進め、20分に投入された高橋が大仕事をしてのけた。

 23分、神村学園は大成が左サイドからロングスロー。このクリアをファーサイドの高橋が左足ダイレクトで撃ち抜く。コントロールされた一撃がゴール左隅へ決まって2-1。長期離脱から復帰してきたレフティーは、会心のゴールを全校応援のスタンドとともに喜ぶ。さらに神村学園は33分、左サイドの名和田が西丸とのパス交換からクロスを上げる。これをファーの新垣が頭で合わせて3点目。神村学園が3-1で決勝進出を決めた。

 神村学園は、U-17日本代表組がU-17ワールドカップから帰国後のプレミアリーグWEST3試合で2勝1敗。敗れた1試合も優勝した広島ユースと2-3の接戦を演じたものだった。西丸は「中心選手が今まで以上に走ったり、こう戦うってというところを見て、やっぱり他の選手もついてきたくれた部分もあるので、その3試合はスイッチが入ったと思います」と振り返る。

 有村圭一郎監督も認めたように、良い流れのまま選手権予選へ。主軸中心に各選手が戦う姿勢を見せ、神村学園らしくボールを保持しながら個の力と連係した崩しで相手の守りをこじ開ける。それを鹿児島城西との決勝でも示すだけだ。西丸は、「やっぱり神村らしく違いを見せていきたいと思っている。そこは明日も怖れずにトライしたいところであります。7連覇がかかってるので、しっかり王者としてそこは勝って、自分は国立に戻るっていう大きな目標があるので、そこに向かって明日しっかり勝ちたいと思います」と力を込めた。激戦区・鹿児島で必ず連覇を達成し、今冬は国立で勝つ。
 
(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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