[12.13 インカレ3回戦 福岡大1-2京都産業大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]
守り切った。試合終了のホイッスルが鳴ると、京都産業大(関西1)のイレブンは拳を突き上げた。前半を2点リードで折り返したゲームだったが、後半4分にDF西村翔(4年=G大阪ユース)がエリア内のハンドを取られて退場。数的不利を強いられた残り時間は、防戦一方の展開となった。
そんな状況でチームに勇気を与えたのが、GK山本透衣(4年=札幌U-18/FC大阪内定)だった。西村のハンドで与えたPKを右に飛んで見事にストップ。最終盤にはCKの流れから1失点は喫したが、相手の応援スタンドからも「ゾーンに入ってる」と驚嘆の声が上がるほどの好守を連発してチームを勝利に導いた。
「一人少なくなるという状況でPKを決められたら1点差、絶対に止めないといけないと思っていたし、逆に止めれば勝利に近づくなと思っていた。キッカーは前の関大戦でも蹴っているのを知っていた。うまく残り足で対応できた。チーム練習でもいつも止められない側なので、今まで出来なかった分をここで持ってきたという感じです」
生まれも育ちも北海道札幌市。18歳で北国からやってきて4年だが、すでにスムーズな関西弁を操る。「周りがコテコテの関西人しかいないので」と笑うが、馴染みやすい環境を作ってくれた仲間には常に感謝がある。「大学に来て驚いたのは同期の選手の意識の高さだった。その高さをスタンダードにして4年間練習を詰めたことが自分の成長、チームに成長に繋がったと思います」。
今季の課題の一つだった試合終盤の戦い方。この日も逃げ切りはしたものの、1点を返されてしまった。修正点を見直して、次の流通経済大戦には臨みたいところだ。ただ頂点が見えてきたことも事実。山本も「ここまで来たからには当初僕たちが掲げた日本一を掴みたい」と意識を強めると、「流経戦に勝つために1週間準備をして、決勝に進みたいと思います」と気を引き締めた。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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