日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は19日、東京都内で理事会を行い、現行2〜3月開幕のリーグ戦を8月開幕とするシーズン移行案を可決した。理事会後、野々村芳和チェアマンが記者会見を行い、降雪地帯を中心とした施設整備に100億円の財源を確保していることを明かした。
Jリーグによると、移行期は北中米ワールドカップ後の2026-27シーズンから。現行シーズンを25年まで行い、26年前半は0.5シーズンの大会を行う方向で調整している。移行後の26-27シーズンは26年8月1週ごろに開幕。12月2週ごろから27年2月3週ごろまでウインターブレイクを設け、27年5月最終週に閉幕する。
Jリーグは今年度からシーズン移行の検討を開始。AFCチャンピオンズリーグやクラブW杯スケジュールへの適応、夏場の試合期間の短縮、コンディションのピークをシーズン半ばの冬場にするなどのメリットを掲げ、各クラブと議論を進めてきた。
一方、シーズン途中に冬を迎えるため、降雪地域への影響は大きい。今月14日に行われたJリーグ実行委員会ではアルビレックス新潟が移行に反対し、「現段階では移行を決めない」という意見も複数クラブから出ていた。
Jリーグ側は降雪地域への影響を踏まえ、約2か月間のウインターブレイクを設置。現状のリーグ戦開催時期と比較し、新たに開催されるのは12月2週の1試合のみとなった。ウインターブレイク明けの2月3週以降は現行シーズンの開幕直後と同様、アウェー連戦で対応するという。
Jリーグは降雪地域クラブにアンケートを実施。各クラブから申し出があったアウェー連戦の想定は以下のとおりとなっている。
▼J1リーグ
北海道コンサドーレ札幌:12月2週、2月3週〜4週
アルビレックス新潟:12月2週、2月3週〜3月1週
▼J2リーグ
ベガルタ仙台:12月2週、2月3週〜4週
ブラウブリッツ秋田:12月2週、2月3週〜3月1週
モンテディオ山形:12月2週、2月3週〜3月2週
▼J3リーグ
ヴァンラーレ八戸:2月3週〜3月2週
いわてグルージャ盛岡:12月2週、2月3週〜3月3週
福島ユナイテッドFC:2月3週〜3月3週
松本山雅FC:12月2週、2月3週〜3月3週
AC長野パルセイロ:2月3週〜4週
ツエーゲン金沢:12月2週、2月3週〜4週
カターレ富山:2月3週〜3月2週
ガイナーレ鳥取:2月3週〜4週
こうした状況についてJリーグの樋口順也フットボール本部長は「アウェー連戦でいいだろうとは全く思っていない。12月2週が増えることにより、ホームタウンでは練習できないクラブもある」と受け止め、Jリーグ財源からキャンプ費用増額分の支援を表明。また「少しでもホームでできるように10年、20年、30年かけて施設整備もしたい。冬でもスポーツができる環境を一緒に作っていきたい」とし、施設整備の支援も行う方針を示した。
野々村チェアマンは支援にかかる財源について、Jリーグ単独で「100億円くらいは用意できている」と説明。その上で「Jリーグが全てやるというわけではなく、世界市場での挑戦をするために必要なものという点で考えれば、サッカーファミリー全員のためのものでもあるので、JFAも含めて環境も整備していきましょうという話ができている」と語った。
また寒冷地からの反対意見については「大きな変革をしようと思う時、100:0はない。地域の背景があって、いろんな意見があって当然だと思っている。そういう意見があったからこそ、みんなで議論を深められたところもある。諸手を挙げて賛成とならなかったかもしれないが、日本サッカーをよくしていきたい思い、そこに対する熱量はすごく大事な部分だったと思うので、そういう意見があったからこそ前に進んだ部分があったり、新しく考えが進んだ部分も間違いなくあった」と前向きに受け止めつつ、クラブとの今後の関係性については「基本的にはそういう決断に至ったのであれば一緒にサッカーを作っていく、いいサッカー界を作っていくという意思表示もいただいている。ここから一つ一つ課題を乗り越えながら一緒に進んでいけるんじゃないかと思っている」と述べた。
(取材・文 竹内達也)
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