[12.21 インカレ準決勝 流通経済大2-2(PK3-4)京都産業大 流通経済大学龍ケ崎フィールド]
3回戦に続き、再び左足が唸った。京都産業大MF福井和樹(4年=G大阪ユース/相模原内定)は2試合連続ゴール。「大学で得点力に磨きをかけてやってきた。自信はすごくある」と手応えのある得点となった。
快進撃が続く京産大は、初優勝に向けて勢いが止まらない。準決勝で流通経済大と対戦すると、序盤から攻勢を強めていく。福井が「(吉川拓也)監督からは敵陣でサッカーをするしか勝利はないと言われていた。思い切って全員が敵陣でやれた」と振り返るように、決定機は徐々に増加。そして前半33分にMF伊藤翼(1年=C大阪U-18)の先制ゴールで均衡を破った。
だが、先制から3分後には同点に追いつかれる。前半を1-1で折り返すと、後半も拮抗状態は続いた。
後半20分、再び均衡を破ったのは京産大だった。敵陣PA内の混戦からボールを奪ったMF川上陽星(4年=作陽高)が左横にパス。MF食野壮磨(4年=G大阪ユース/東京V内定)がPAライン上でボールを収めた。
食野が関与すれば何かが起きる。そう信じて待ち構えたのは福井だ。「壮磨がやっぱりあそこで溜めてくれた。あそこでボールを持ったら落としてくれる。それはもうずっと7年間やってきたこと」。ガンバ大阪ユースから大学まで合わせて7年間で培った好連係。食野のポストプレーから福井が左足ダイレクトで合わせる。ボールは綺麗な放物線を描き、ゴール左隅に突き刺さった。
3回戦ではエリア手前30mのところから左足でロングシュートを沈めた。今度はより近いPA手前からのシュートだったが、「あそこの位置から自主練を何回もやってきた。それがゴールという形で実って、やってきてよかったと思っている」と力を込めた。
大学2年次には関西学生リーグ1部で15得点を挙げ、リーグ得点王に輝いた。関西ではその名を轟かせ、ゴールへの期待の声も耳に届くという。だからこそ得点への意識は高い。「そういうのは自分が結果を残してからこそ」。九州王者の福岡大や関東の強豪・流経大から得点を挙げたことで、今大会でも実力を証明した。
来シーズンからSC相模原でプロキャリアをスタートさせる。1か月の帯同では色々なことを学んだようだ。「筋トレを教えてもらって、帰ってきてもずっとやっている。あとは(戸田和幸)監督の要求。味方の選手がこう思ったらここに走る、と戸田さんにたくさん言われたので、知識として増やして、やるやらないを決めながらプレーしたらすごくいい感じでもらえるようになった。そういう風な成長はあった」。すでにJ3リーグで4試合に出場。4試合目では初スタメンでJリーグ初ゴールも決めた。
プロの舞台に立ったことはメンタル面での効果もあった。流通経済大学龍ケ崎フィールドで行われた準決勝は、流経大の応援団が大勢押し寄せる“どアウェー”。しかし福井は「Jの舞台に立つならプレッシャーは感じる。そういうなかでも結果を出してこその選手になっていかないといけない」と重圧から目を背けない。いつも通りのパフォーマンスを発揮した。
試合は2-2から延長戦の末にPK戦で決着した。4人目のキッカーを務めた福井は、ゴール右上隅の際どいポイントを突いた。「自分のプレーはこの一年間すごく自信を持ってやってきた」と胸を張る。「あんまり取られる気もしない。自信があふれるプレーはそういう風に出る」。試合開始から勝利の瞬間まで成長を示した試合となった。
頂点まで残り一勝。試合を最後の舞台につなげたことで、3回戦で退場していたDF西村翔(4年=G大阪ユース)も最後まで一緒に戦うことができるようになった。
西村も食野と同じくユース時代からともに過ごした仲間の一人。「翔も7年間一緒にやってきた。決勝の舞台で最後は一緒にしたいという気持ちはあった」(福井)。24日に行われる決勝の相手は関東の強豪・明治大だ。「強いのはわかっている。でもここまで来たら日本一を絶対に取る。全員で喜んで大学サッカーを締めくくりたい」。仲間とともに有終の美を飾ることを誓っていた。
(取材・文 石川祐介)
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Source: 大学高校サッカー
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