日本一の10番に、なる――。第102回全国高校サッカー選手権が28日に開幕する。尚志高(福島)はプレミアリーグEAST2位で優勝候補の一角。その10番を背負うMF若林来希(3年=シュートジュニアユースFC出身)は抜群の走力とテクニックを武器とするレフティーだ。中学、高校と強烈なライバルの陰に隠れてきたが、努力を重ねて高校ラストシーズンに輝きを放っている若林に選手権への意気込みなどを聞いた。
―いよいよ選手権が開幕する(尚志の初戦は12月31日の岡山学芸館高戦)。
「3年生でやれるのが残り少ないっていうのはもうずっと言われてて、高い質でやるってことをこだわって練習積み上げてきたんで、不安とかは特にないです」
―1年間10番背負ってきて、その集大成。
「ほんとに成長できたなっていうのは実感していて。特にプレミアの経験が大きかったです。周りがトップレベルなんで、そこで揉まれて、今のプレースタイルを確立して、今年の1年間は本当に成長できたなと思います」
―今の自分に手応えも感じている。トレーニングを見ていても、テクニックなどで違い出せていると思ったが。
「やっぱボール受けた時とかに自分は良さを出せるんで。今日はあまり係われなかったですけど、もっと試合でボールに触れていきたいなと思っています」
―ボールを受けたら相当首を動かして、周りをキョロキョロ見ながらプレーしていた。
「自分はアタッカーなんですけど、相手のディフェンスはやっぱ強く来るんで、周りを確認しないとすぐに詰められちゃうんで、意識的に見るようにしています」
―テクニックと、運動量も他との差を作れるところ。
「運動量はやっぱ今、自分の武器になっていますし、実際、プレミアでも自分が走って防いだり、走って得点に繋がることはあったんで。今、武器として運動量と攻撃のドリブルとか、スルーパスとか、ゲームメークできるところはこれからも成長していきたいと思っています」
―ほんと、残り10分、15分で目立てる選手かなと思うけど。
「そうですね。最後の方になると、みんなバテて来るんですけど、やっぱ自分は最後の方に行けば行くほど良さが出るのかなって思ってます」
―ほんとにその苦しい時間帯に長い距離ドリブルで1人で行き切ったりというのは、身体的な強さも必要。
「はい、ほんと、キツイんすけど、めちゃくちゃキツイっすけど、でも、そのキツイのが楽しいっていうか、自分はそういう風に考えてて、相手がキツそうにしてんのが嬉しいみたいな感覚はあります」
―メンタル的なタフさがデカいのかな。
「そうっすね。しょっちゅう走り込みとかしてきて、ただ走り込みだけじゃなくて、他のやつに負けないっていう気持ちでずっとやってきたので、メンタル面も多分成長してると思います」
―走力はチームでもトップ。
「はい。そういう素走りでも、試合の運動量でも、自分はチームでトップって感じです。(走行距離は)一回測定した時、自分は12、13kmだったと思います」
―選手権は自分にとって、どのような大会?
「今までプレミアとか、そういう色々な大会ありましたけど、やっぱ選手権が1番、その応援してくれてる人が実感できるっていうか、みんな見に来てくれて、 注目度も違いますし、1番恩返しできるのに相応しい舞台だなって思っています」
―なぜ尚志を選んだ。
「尚志を選んだのは、環境の良さが決め手でした」
―地元の神奈川にも強いチームはいっぱいあると思うけれど。
「県外で、寮で自分を自立させたいっていうのは思ってましたし、神奈川でも寮の目の前にグランドってなかなかないんで、そこに惹かれました」
―尚志での3年間は。
「何かもう、あっという間だなって感じで、寮生活もめちゃくちゃ楽しかったですし、サッカーに打ち込めて充実してたなって思っています」
―凄く強い代の中心選手になった。この代でやれたのも良かった。
「去年とかも結構自分の代で出てる人が多くて、ほんと俺らの代は『紅白戦が日本一だ』って(仲村浩二)監督も言っていて、凄いレベル高い環境でやれて良かった」
―周りに注目選手が多い分、若林君の注目度がもっと上がっても良いんじゃないか、その悔しさもあるのではって思ってたけれど。
「いや、それはほんとに思ってて、やっぱサイドで比べられるとしたら(チームメートの京都内定MF)安齋(悠人)で、やっぱ地元帰った時も、どこ行っても『安齋、安齋』と言われてて、サイドは安齋だけみたいになってて、やっぱそこは悔しいなっていうのはずっと思ってて。でも、最近は結果も残せるようになってきて、『尚志には俺もいる』っていうのは伝えられてきたっていうか。今まではもう『安齋、安齋』って言われてたけど、そこは変えれてきてんのかなと思います」
―仲村監督も「4年後、大輝はプロ行けると思っている』て言っていた。
「プロ目指したいですけど、俺らの場合はやっぱ安齋って言われちゃうんで、何か、ほんと悔しいですね、自分は」
―ここで言えば、安齋君だし、中学校で言えば松田(悠世、桐光学園)君がいた。そこも相当エネルギーにしてきたのかなと思うけれど。
「そうですね。中学の時もずっと『悠世、悠世』って言われていました。アイツは高校選抜入ったりとか。常にアイツの方が一個先にいると実感してきて、選手権で当たれたらと思っていたんですけれども(桐光学園は予選敗退)、悠世とはまた大学とか、その先でやれたらなと思っています」
―それこそ、日本一の10番になれば、評価にもなると思うし、そこのこだわりも当然持っていると思うが。
「もう、ほんとその通りで、やっぱ結果出して日本一、全国制覇は尚志高校の目標でもあるんで、全国制覇成し遂げて、 最後のロッカールームを笑って出るっていう、それをやりたいっす」
―見てもらう人にはどういうところを見てもらいたいですか。
「自分にボールが入った時のプレーとか、それと攻守の運動量でチームに貢献するところを見て、成長したなって思ってもらえるように頑張りたいです」
―福島の人たちにも恩返し。
「はい。福島でも、やっぱ県予選があって、負けたチームがいるんで、そのチームのためにベストを尽くしたいです」
―どんな性格ですか。
「結構、人見知りです」
―大学は新潟医療。
「インカレで2位になっているし、凄く楽しみです。めちゃくちゃ」
―目標にしている選手は?
「久保建英選手です。やっぱ自分、プレースタイルが似てて、サイドで開いて1対1でクロス、シュートまで持っていける力を持ってるし、内側でプレーしてゲームメークすることもできて、ほんとどこのチームでも中心選手になれるような選手なんで尊敬しています」
―高校選抜に入ることも目標。
「選抜とか、代表に選ばれるっていうのは、限られた人しかできないんすけど、自分はその力を持ってると思うんで、それを示すために、結果ってところにもっとこだわってやっていきたいです」
(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
Source: 大学高校サッカー
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