[1.4 選手権準々決勝 神村学園3-4近江 浦和駒場]
アクシデントにも動じなかった。1-2と逆転を許した直後の前半22分、近江高はFW荒砂洋仁(3年)が負傷退場。そこでMF山本諒(2年)が急きょ投入されることになった。ただ「常に準備してはいたし、気持ちの準備も万全だった」。そしてその山本が大熱戦を演出することになる。
まずは1-2で折り返した後半、圧力を務めた近江は、13分に右CKの流れからMF川上隼輔(3年)が入れ直したボールをゴール前に入り込んだ山本が頭で押し込む。直後に勝ち越しを許したが、同26分、再び川上の右CKから山本が頭で飛び込み、2度目の同点弾が決まる。MF鵜戸瑛士(3年)が決めた後半アディショナルタイムの劇的弾に繋げた。
「(ゴールの場面は)あまり覚えていないけど、練習からクロスボールとかに入ることは意識しています。特にヘディングが得意なわけじゃないけど、最後に頭を出してゴールに繋がったらいいなという気持ちで入りました。追いかける形になったけど、リスクを冒していくしかないし、打ち合いになることは予想出来ていたので、勢いづけることはできたかなと思います」
得点以外の守備面でも、山本は存在感があった。卒業後にベルギー1部のゲンク入りを決めるDF吉永夢希(3年)との1対1を止めた際に、元日本代表DF槙野智章氏ばりの“雄叫びガッツポーズ”を披露。「あまり覚えていないけど、興奮していたので。でも相手が有名だということは分かっていた。気持ちの高ぶりを表現するのは自分の特徴。チームを鼓舞して試合に入っていけたらなという思いでした」としてやったりだ。
新チームを立ち上げたときに掲げた「選手権ベスト4」の目標を達成することになった。近江としては史上初、滋賀県勢としても2005年度に優勝した野洲高以来、18年ぶりの準決勝進出となった。現3年生が生まれたばかりの年。2年生の山本にとっては、この世に生を受ける前の出来事だ。
ただ国立競技場のピッチはいつの時代も特別であることに変わりはない。山本にも負傷交代した荒砂の状態次第では先発のチャンスも巡ってきそうだが、「全然あると思いますけど、どの立場になっても自分のやるべきことは変わらない。頂点を取りに行くしかないので、すべてをぶつけるだけだと思っています」と力強く話していた。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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