[1.6 選手権準決勝 近江 3-1 堀越 国立]
自らのゴールで高校サッカーの頂点に一歩近づいた。近江高(滋賀)のMF鵜戸瑛士(3年)は前半11分に先制ゴール。チームに大きな勢いをもたらした。名だたる強豪校から勝利し続け、初の決勝進出。「自信はある。負ける感じもしない。自分たちがすべきことをしたら勝てると思っているので、ここまで来れた」と力を込めた。
快進撃が続く近江だが、接戦をモノにしてきた形が多かった。準々決勝では優勝候補・神村学園高(鹿児島)に4-3で勝利。激しい点の取り合いの末、後半に3得点を奪った。スロースタートはチームの課題。早い時間帯からゴールを狙うべく、前田高孝監督からは前半から勝負を仕掛けることを指示されていた。「いつも前半から行けないので、今回は前半からと言われていた」(鵜戸)。その狙いは早々に結実する。
前半11分、近江はMF山門立侑(3年)が中盤をドリブル突破。そのままPA手前から右足シュートを放つ。相手のブロックに遭うが、こぼれ球はPA右に転がった。待ち構えていたのは鵜戸だ。「あそこの角度は練習からずっとやっていた」。落ち着いてボールを止め、右足を振り抜く。高めの弾道は189cmのGK吉富柊人(3年)の頭上を越えながら、クロスバーに当たってゴールラインを割った。
近江は先制から2分後に追加点を奪う。DF金山耀太(3年)のドリブルから敵陣に入り込むと、つながったボールは再びPA右にいた鵜戸のもとへ。シュートはブロックに遭うが、先制点と似たような形で、こぼれ球を山門が仕留めた。9分後には3点目。鵜戸はゴールから距離のある場所にいたが、またしても細かいパスワークから金山がダメを押した。
似たような波状攻撃からの得点パターンは練習の賜物。「パスだけだと相手が来たときにハマったりする。だから、ドリブルとパスを混ぜながらというのは、ずっと練習から意識してやっている」(鵜戸)。初の国立競技場という環境にも緊張は見せない。「ゴール前でいつも力が入りすぎていた。監督から力を抜けと言われたことがいい感じに行って点が取れている」。チームの好調ぶりに胸を張った。
鵜戸は今大会3ゴール目。全国制覇の道を歩き続けてきたことによる成長の自覚がある。指揮官から学んだ言葉で印象的なものは「気持ちの部分で相手に負けないというのが強い」。残り一勝を懸けた死闘は望むところだ。「チームで戦うっていうところはどこにも負けないんじゃないかなと思います」。最後の敵は青森山田高(青森)。持っているすべての力を出し尽くすつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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Source: 大学高校サッカー
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