最後の1人がついに合流し、アジアカップに臨む森保ジャパン26人が全員揃った。日本代表DF板倉滉(ボルシアMG)は7日夜、一時滞在していたドイツからカタールに到着。元日のタイ戦を終えた後、いったんドイツに戻って状態を確認するという異例の行程を過ごしたが、14日のグループリーグ第1節・ベトナム戦に向けて「初戦から行く気持ちです」と意気込んだ。
板倉は昨年10月、日本代表のキリンチャレンジカップ・チュニジア戦(○2-0)で72分間プレーした後、左足の痛みが強くなり、通称「ネズミ」と呼ばれる関節遊離体の除去手術を受けた。その後、ブンデスリーガでは実戦復帰に至らず、日本代表の元日タイ戦で帯同したが出場なし。試合後はボルシアMGの要望でドイツに戻り、チームのトレーニングマッチで状態を確認していた。
今月6日のトレーニングマッチでは60分間の出場。「足も問題なく最後までやれた。それも含めてチームからOKが出たと思うので良かった」と好感触を口にし、立て続けの長距離移動にも「チームが代表ともコミュニケーションを取った上で、チームのコントロールのもとでやりたいという主張で、代表もそれを汲み取ってくれたことに感謝。いまここに来られているのが全てだと思う」と周囲への感謝を述べた。
トレーニングマッチではセカンドチームに所属するFW福田師王とも共演し、ゴールの瞬間にピッチ上で立ち会った。板倉は「師王はすごいですね。毎試合のようにトップチームに来た時は点取ってるから、トップチームでやれる実力を持っていると思うし、彼のメンタリティーは海外でやっていく上で素晴らしいものを持っていると近くにいて感じる。早くトップチームで一緒にやれればと思う」と素直な期待を語ったが、その後輩の活躍があるのも、板倉がボルシアMGで築いてきた信頼が寄与しているはずだ。
「怪我をしていないときは試合に出させてもらっているけど、控えにいい選手がいるので、常に緊張感を持つというのは今も変わっていない。その積み重ねでチームメートにも認められたり、ファンやスタッフにも認められるものだと思う。ただ、いまはチームでも立場が変わってきた。前回の夏に多くの選手が移籍したので立ち位置も変わっているので、自覚を持って普段からやれていると思う」。自身の現状を見つめる言葉には大きな責任感がにじむ。
ここからはいったんチームを離れ、日本代表としての戦いが始まるが、その責任感に変わりはない。昨年末のカタールW杯では当初は控えCBという立場から出番を掴み、絶大な存在感を発揮したが、1年ぶりの凱旋に「空港に着いた時に帰ってきたなというのがあるし、しっかりとここで結果を残す準備をしていきたい」と熱い決意表明。アジア王座奪還に向けて「本当に優勝しかないし、ここで日本代表の価値を示せれば。全勝で優勝しかないかなと思う」と力強く宣言した。
各国から優勝候補として見られる中での大会だが、油断はない。「素直にそうやって見てもらえる、言ってもらえるのは自分たちがやってきたことがつながっていると思うし、それはもちろん嬉しいことだけど、ただ結果で示していかないといけない。ここから日本代表が強くなっていくため、アジア杯優勝は通過点に過ぎないと思っているので、しっかり結果で示せたらなと思う」。自信は確かに、それでも驕らず。堂々とアジアタイトルをかけた7試合に臨む。
(取材・文 竹内達也)
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Source: サッカー日本代表
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