森保Jに問われる“修正力”のキーマン守田英正、アジア杯で挑む「簡単じゃない」舵取り

MF守田英正(スポルティング)
 アジアカップ初戦のベトナム戦(○4-2)では前線からのプレッシングが機能せず、先制点を奪いながらも何度も自陣侵入を許し、セットプレーの2失点で苦戦を強いられた日本代表。後半は4-2-3-1から4-1-4-1に布陣を変えて布陣を噛み合わせ、ゲームをコントロールできるようにはなったものの、前半の戦いぶりには大きな課題が残った。

 そうした中、後半に向けた修正のキーマンとなったのはMF守田英正(スポルティング)だった。前半はダブルボランチの一角だったが、後半はインサイドハーフの一角としての役割を強めつつ細かいポジション調整を行い、周囲のリアクションも踏まえながらチーム全体の舵取りを進めていった。

 それでもグループリーグ第2節のイラク戦を翌日に控えた18日の練習後、守田は報道陣の取材に応じ、ベトナム戦からの改善点を次のように語った。

「試合の中で即興的な形になる部分も多いと思うので、そこでフリーズせず、初戦のように自分たちで中で解決することができれば。初戦は前半の45分間を使い切って初めてハーフタイムで修正できたというのが自分たちの課題。なるべく早く最初の15分くらいで様子を見ながら、どこがウィークかを見つけて修正できればと思う」

 ベトナム戦では修正に時間がかかったという捉え方をしている守田だが、自身の微調整によって局面を改善していくのはこれまでもおなじみの光景。好調を続けてきたカタールW杯後のチームにおいて、前半途中に修正を施しているケースも多く、この日も解決策が見えていなかったわけではなさそうだ。そこにはシステム変更に踏み切るにあたっての葛藤があったという。

「システムで良い部分と悪い部分はあって、ポジショニングで難しいシステムの相手と出会った時、最初からこっちがシステムごと変更して良いのかという難しさもある。たとえば高い位置でボールを受けたほうが活きる選手が、システム的に少し下がりめで受ける形が多くなってしまうと、僕たちの長所は消える。相手に合わせて守備をするかも考えないといけないわけで、はっきりこっちのほうがいいでしょというのは僕的には言いたくないし、言えない。そういう躊躇がある中で実行するのに時間がかかるというのが正直な意見になる」

 チームの修正スピードを上げるためのポイントを問われた守田が「自分次第かな」と笑みを見せたように、ピッチ上全体に目を配る能力に長けているという自負はある。それでも自身がピッチ上での振る舞いを変えていく上では、周囲のリアクションにも気を配る必要も出てくる中、意思の伝達には時間や負担がかかっているようだ。

「例えば前回(ベトナム戦)のように4-2-3-1から4-1-4-1にするには、ポジショニングで言うと僕が上下するだけ。でも相方の(遠藤)航を真ん中で構えさせたりとか、守備の行き方も必然的に変わる。自分が決めていることが多いけど、決めた後にチームにこうしてほしい、ああしてほしいということをいかに話せるか」。その過程では選手の個性、チームコンセプトも考慮しなければならないため慎重な仕事になりそうだ。

 また試合ごとに相手との噛み合わせも違えば、想定していた戦い方と実際に起きる事象も異なる。守田はベトナム戦について「相手がビルドアップを低くて深い位置からやってきた時、どこまで追って、どこまでエリアを守りながらプレーするかはまだまだ課題。初戦であれだけいいチームといい戦いができた。課題をもらえた」と前向きに受け止めつつも、イラク戦に向けては「ただ、それに引っ張られすぎないようにしないといけない。イラクは縦ポンや速い攻撃で大胆なサッカーをしてくるので、人を意識しすぎてもスペースをさらけ出してしまうだけ。バランスをコントロールしたい」と異なる展望も語っていた。

 それでもチーム全体の舵取りを問われる守田にとって、最大1か月間の活動期間が与えられ、異なる相手と最大7試合の対戦ができるという経験はポジティブに働くはずだ。

 現段階では「起きた現象に対してもっとバリエーションを柔軟に考える必要があるのかなと思う。選手がしたいこともそれぞれ違うし、チームがやらないといけないこともあるので簡単じゃない」と語った守田。それでもこの試行錯誤は紛れもなく、森保ジャパンをもう一段上のステージに導いていくための価値あるチャレンジになりそうだ。

(取材・文 竹内達也)


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Source: サッカー日本代表

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