[1.23 練習試合 日本高校選抜候補 4-2 U-17日本高校選抜候補]
2冠王者の“ピッチ上の監督”は、高校選抜でも影響力を発揮していた。青森山田高(青森)の10番を背負ったMF芝田玲(3年=青森山田中出身)は、3-4-1-2システムを組んだ日本高校選抜候補のトップ下で先発。プレーが止まるたびにその声がピッチに響き渡っていた。
青森山田はU-17日本代表でもあるCB山本虎(3年)が主将を務めていたが、芝田は正木昌宣監督から「ピッチの監督」と評されていた存在だ。23年度にプレミアリーグと選手権の2冠を獲得した青森山田は、山本主将以外にもリーダーシップを取れる選手が複数いたが、中でも芝田は厳しさを持ってチームメートに接してきた。
テクニカルなチームでも中心選手になったであろう技術力と、献身性の持ち主。選手権優勝後に「自分のリーダーシップも強みですけれども、テクニカルな面でも高校選抜に行っても一番目立ってやりたいと思っています」と語っていた芝田は、日本高校選抜選考合宿(20~23日)で初日からボールタッチ、ドリブル、パス、逆を取る動きと積極的に自分の技術力を発揮しようとしていた。加えて、大学生との練習試合では正確なクロスでアシストするシーンも。そして、リーダーシップも健在だった。
試合では選手権のヒーローたちに細かなコーチングと鼓舞する声。「ここでも結構リーダー的にやっています。山田の時と同じように、やっぱり自分が弱さを見せずにやることが、チームへのいい影響を与えるっていうのは間違いないので、私生活でも、サッカーでも、凄く自分が先頭に立ってやれた合宿でした」と振り返る。
口にしたからには、責任感を持ってプレーをしなければならないという考え。“高校サッカー部の日本代表”日本高校選抜でもその責任のある立場で行動できることを前向きに捉えている。この日は交代した後、「みんなをやる気にさせるようなコーチングも必要だったかもしれないです」と反省。そして、「ほんとに山田と同じように、このチームを強くするために行動しようっていう風にやっていくべきだと思うんで、そこはより強い気持ちで、ブレずにやりたいなと思います」と決意を新たにしていた。
雪の青森で十分なトレーニングができていなかったため、コンディション向上はこれからだ。「次、選ばれたら、ここに来る時にはもう一皮二皮剥けて、選手権終わった時に言いましたけど、『あっと驚かせれるような選手』になって、次は(2月の)NEXT GENERATION MATCHですけど、そういう舞台で戦いたいなと思います」。日本高校選抜に選出された際にはプレーでもより違いを見せる意気込みだ。
青森山田では主にボランチとしてプレー。この日本高校選抜ではトップ下での起用が有力だ。「ヨネさん(米澤一成監督)なんかも、自分のことをトップ下で考えてくれてるっていう風に言われたんで。実際、自分はどこがいいのかって言われたら、トップ下がやっぱりいいのかなっていうのは思いながら、高校生活もやっていました」。まだまだボランチの癖が抜けないところがあることも確かだ。それでも、調整し、「トップ下の芝田玲っていう新しいカタチで、本当にゴールに向かってアシスト、ゴールっていうところにこだわって、試合を決められる選手目指していきたい」と誓った。
イメージしているのは、青森山田の2学年先輩であるMF松木玖生(現FC東京)だ。FC東京でのボランチからU-20日本代表ではトップ下に入り、U20アジアカップのサウジアラビア戦で2ゴールを決めている。
「玖生さんみたいに、トップ下に入るからにはゴールやアシストっていうところで、なおかつハードワークっていうところも多分、ピッチ上で自分が一番に、犠牲心持ってやれるかなっていうところもある。だから、もっともっと体力面も上げていかなきゃいけないですし、フィジカルも上げていかなきゃいけないし、でも、技術力を持って、ゴール前で仕事ができるっていう選手を目指してやりたいなと思います」
日本高校選抜は2月のNEXT GENERATION MATCH後、大学の地域選抜チームが日本一を争うデンソーカップチャレンジに参加。「自分の実力を100パーセント出せる素晴らしい環境があるので、そこで臆することなく、ミスしても、チャレンジして、チャレンジしてっていう風にやって、その中で、自分の価値っていうのを大学入学前に少しでも高めて、 大学のサッカーの生活に入っていきたいなと思います」。将来のために、日本高校選抜でも向上心を持って活動。そして、青森山田と同じようにチームを勝たせる。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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