[1.29 東北高校新人大会決勝 帝京安積高 2-4 尚志高 Jヴィレッジ]
尚志が選手層の厚さを示し、東北制覇――。29日午後、第23回東北高等学校新人サッカー選手権大会(男子) 決勝が行われ、尚志高(福島1)が2年ぶり4回目の優勝を飾った。尚志は決勝で帝京安積高(福島3)に4-2で勝利。4月開幕のプレミアリーグEASTへ向けて弾みをつけている。
尚志は延長戦の激闘の末に勝利した青森山田高(青森1)との準決勝から先発11人をチェンジ。仲村浩二監督は「今回、B戦をずっと繰り返してたけれど、調子も良かったんで。出せるなら出してあげたいと。それをやることによって、チームの底上げもできる」と今後を見据えたメンバー構成で決勝に臨んだ。
青森山田戦で交代出場して決勝点に絡んだFW千住澪央(2年)を除くと、フレッシュなメンバー。準決勝から1名を変更しただけの帝京安積に対し、尚志はアピールを狙うアタッカーたちが躍動した。
前半はシュート数11-0。5分、左サイドを抜け出した千住が左足シュートを撃ち込むと、7分にその千住が先制点を奪う。左サイドでのインターセプトからFW関口元(2年)がクロス。これを千住が頭でゴールへ沈めた。
初の決勝を戦う帝京安積は立ち上がりから、ボールホルダーが目の前の相手を外しに行く。そして、攻守でボールに係る10番MF藤沼遥斗(2年)やCB平野瑛大主将(2年)のパスからスペースを狙った攻撃も。だが、尚志はシュートまで持ち込まれることなくボールを奪い返すと、左SB木村心貴(1年)と右SB榎本司(1年)も積極的に攻撃参加して相手を押し込む。
18分には、MF阿部大翔(1年)が相手DFの意表を突くラストパスで決定機を創出。MF田上真大(1年)が右足で決めて2-0とすると、26分には千住の巧みなループパスから関口が抜け出し、右足で3点目を決めた。
帝京安積は前半終了間際にもDFラインでパスミス。尚志はこれをカットした田上が縦への仕掛けからクロスを上げる。最後はMF根木翔大(1年)が頭で決めて4-0。一方的な展開となった。
尚志の仲村浩二監督は「(B戦に出ていた選手が、)溜まってたものを出し切ったっていう感じはあると思う。凄く、前半良かった」と振り返る35分間に。「1試合目、山田戦で(先発として)出れなかった分、悔しい気持ちもあったんですけど、決勝でチャンス与えて頂いたんで、しっかり結果残せるように1ゴール、1アシストしっかりできたんで良かったと思います」という千住らが気持ちの込もった戦いで4点リードをもたらした。
一方、帝京安積の小田晃監督はハーフタイムに檄。「『これでいいの?』っていう話ですよね。『もったいなくない?』『次の35分、どうする』っていう。『もっと戦わなきゃいけないし、もっと守備粘り強くやらないとゲームになんねえだろ』『何のためのゲームなんだ』っていうことをちょっと訴えかけました」と振り返る。
準決勝からメンバーを入れ替えた尚志に対し、帝京安積は2試合連続で出場。小田監督は「やる前から彼らの中で逃げ道があったというか、頑張り切れないかもしれない、どうしようみたいなものをごまかしてやってるから、やっぱりそうなるなって思います」と指摘する。それでも、檄に奮起した帝京安積が後半に巻き返す。
後半、2選手を入れ替えた帝京安積は2分、相手の連係ミスを突いたMF滝沢涼介(2年)が追撃ゴール。さらに8分、右サイドを突破したMF阿久津雄大(1年)のラストパスからFW白坂晴人(2年)が2試合連続となるゴールを決めた。
前半のみで千住が交代していた尚志は、後半も決定的なチャンスを作るものの、それを活かすことができない。交代出場FW臼井蒼悟(1年)の決定的なシュートが気迫十分の交代出場CB利根川行雲(1年)やGK村上斗粋(2年)の好守に阻まれてしまう。帝京安積は藤沼やMF仲大和(2年)が運動量を増やし、白坂らが3点目を狙って攻撃。だが、21分、抜け出した尚志FW関口をGK村上がファウルで止めてしまい、退場してしまう。10人になった後も最後まで諦めずに戦ったものの、次の1点を奪うことはできなかった。
尚志にとっては自信なる優勝だ。現1、2年生は攻守に強力な陣容だった3年生たちからポジションを奪うことができなかったが、その悔しさをバネにトレーニングを重ねてきた。新チームの攻撃の柱を担うMF大内完介(2年)は「自分たちは反骨心みたいなものを持ってやってるから、ここの東北新人も取れたと思うし、しかも、その前評判みたいなのがない分、やっぱ自分たちは浮かれたりもしないと思うんで、しっかりチャレンジャー精神っていうか、そういうのを忘れないチームでこのまま行けたら良い」。また、10番MF高橋響希(2年)も「(目標は周囲の低評価を)上回って、全国優勝ですね。まずはプレミアリーグでしっかり勝てるように、このあと2か月しっかりトレーニングしたいです」と力を込めた。目標達成のためには課題の守備面をはじめ、まだまだ強化が必要。地元・福島開催のインターハイ、選手権での日本一やプレミアリーグで活躍するために、トレーニングから切磋琢磨して力を磨く。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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