先発出場した試合は、6月に行われた欧州遠征のU-22イングランド代表戦(完全非公開)のみだった。しかしアピールに成功したMF平河悠(町田)はパリオリンピック一次予選を兼ねるU23アジアカップ予選のU-22日本代表メンバーに選出される。「自分の特徴を出しながらチームのやりたいことを合わせたら一番いい」と意気込みを語った。
山梨学院大に所属していた昨シーズンも特別指定選手としてFC町田ゼルビアでプレー。J2リーグ16試合2得点と立派な数字を残した。黒田剛監督体制となった今シーズンでは、さらに代えの利かない存在へ。29試合5得点とさらなる活躍を続けている。
2022年3月に発足した大岩剛監督体制で、これまで候補メンバーも含めて招集がかかった選手は合計74名。今回U23アジア杯予選に集められたメンバーはほとんどが発足当初のメンバーで、今年初めて招集されたメンバーは平河のみ。6月の欧州遠征でメンバー入りのアピールに見事成功した。
初招集となった6月の欧州遠征のメンバー発表会見で、大岩監督は「平河は開幕当初から立ち位置を獲得し、印象的なプレーを全試合でしている。得点という攻撃の部分だけでなく、チームで求められているであろう守備の部分でもしっかりとしたパフォーマンスを見せていることを評価している」と語っていた。
その欧州遠征では完全非公開のU-22イングランド代表戦(○2-0)でさっそく先発出場。左サイドハーフで持ち味のスピードを見せ、後半16分までプレーした。初めての代表戦を「日本人ではない人との対戦が初めて。プレミアリーグの人もいて、そういう個の力は勉強になった」と振り返る。それでも自信はあったようで「逆に気負わず、自分の力を出すだけだった」と手応え。そして今回、パリ五輪一次予選も兼ねるU23アジア杯予選という負けられない戦いに戦力として加わることになった。
6月の欧州遠征では出発10日前にパスポートを申請し、ぎりぎり間に合った。海外に不慣れな様子で、初の中東にも「気温も湿度も高くて、汗が出やすい感覚は今まで感じたことがないくらい」と驚きを隠せない。だが、代表活動の日々は大きな刺激を受けているようだ。
2001年1月3日早生まれの平河はこれまで代表経験はなし。昨年までは大学生だったが、町田でのルーキーイヤーでたしかな自信を掴む。「試合に出て活躍すれば、チャンスは少ないかもしれないけど、(招集は)あると思って頑張っていた。その結果、6月に一度呼んでもらったので(五輪への)意識はそこから増えました」。一年後の晴れ舞台に懸ける思いは急速に大きくなった。
そのためにも、まずは目の前のU23アジア杯予選でグループリーグ首位を勝ち取りたい。大岩監督からは「サイドではポジショニングが一番言われている。こういうときにこういう配球を、など細かい部分も」と短期間でしっかりと指導を受けている。「ゼルビアとは違いますけど、代表のコンセプトと合わせながら自分の良さを出せたら」。今季躍進の新戦力はパリ五輪行きのキーパーソンになるつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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