[2.29 デンチャレグループB 関東選抜A7-0東北選抜]
ノルマの7得点を決めても決勝には届かなかった。関東大学選抜Aは東北選抜に7-0で大勝。しかし裏の試合でプレーオフ選抜が日本高校選抜に3-1で逆転勝利したため、勝ち点で上回られた。
前半19分にチーム4点目となる1得点を決めていたDF沖田空(筑波大3年=鹿島ユース/水戸内定)は「優勝を掲げていたのでショックな部分はあるけど、最後は関東Aとしてプライドを見せないといけない。(3位決定戦を戦う)関西選抜も意地を見せてくると思うので、それを上回るようにしたい」と頭を切り替えた。
高校時代まで鹿島アントラーズのアカデミーで過ごした沖田にとって、水戸ホーリーホックの一員として出場した2月10日のいばらきサッカーフェスティバルは、当然特別な一戦になっていた。「一年前は想像していなかったですし、鹿島を相手にするとは想像していなかった。でも鹿島とやれる幸せを感じましたし、そこでデビューできたのは特別なものがありました」。
4年間で力をつけて鹿島に戻る。少なくとも昨年春までは揺るがない目標だった。筑波大に進学してからも何度か鹿島の練習に参加。最初に水戸から関心が伝えられたのはその昨春だったが、「お断りさせてもらった」という。
「正直なところ4年間大学でやって、鹿島で活躍したいというのを一番に考えていて、それ以外は考えていなかった。でも去年の大学3年のシーズンでなかなか思うように出れない中で、守備だったり攻撃でもチームの形とはっきり言えるような武器を身につけられていないと感じました。鹿島ですぐにできるかというと自信が持てませんでした」
そんな沖田に再び水戸が声をかける。「秋にもう一回話をもらって、練習にも2回ほど行きました。だけど1回は自分のプレーが出せたんですけど、もう一回はなかなか出せなかった。でも西村(卓朗)GMはいい時も悪い時も見たけど、それでも評価している、チームの力になってほしいと言ってくださった。選手としての成長を考えたときに一番ベストな選択かなと思って11月くらいに決めました」。
そして24シーズンはチームの始動から参加すると、キャンプでもアピールを続けて、プレシーズンマッチ鹿島戦の先発の座を掴んだ。主戦場の右SBではなく、「今までやったことがない」左SBでの出場になったが、後半14分まで出場。カシマサッカースタジアムで鹿島の勝利を見届ける“悔しさ”を始めて体感した。
「大学とは全然違う環境で、ファンの期待を鹿島戦は感じた。鹿島戦は左SBで今までやったことがないポジションだったけど刺激があった。守備のところでは課題を感じたので、そのポジションでも対応できる能力をつけていかないといけないと思いました」
当初はデンソーカップチャレンジを選抜メンバーを外れていたためにそのままJリーグ開幕を迎える水戸に帯同する予定でいたが、関東選抜Aに怪我人が多く出たことで急きょの招集がかかった。ただ大会後には再び水戸に戻る予定で、大学のシーズンが始まるまでにJリーグデビューを済ませたいという青写真も描いている。
Jリーグ内定選手として過ごすことになる沖田だが、筑波大で出場するためには昨年台頭したDF池谷銀姿郎(1年)からポジションを奪い返さないといけない。ただ筑波大のために戦いたい思いは強い。「筑波は日本一が取れないよねという周りの声も聞こえる。これからの歴史を変えるためにも日本一を目標にしたいと思っています」。水戸でも筑波でも選抜でも。与えられた場所で全力を尽くす。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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