[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.16 中国高校新人大会準決勝 玉野光南高 1-2 岡山学芸館高 広域補助]
スピードとテクニックを兼ね備えたドリブルはそう簡単に止められない。岡山県勢同士の対決となった中国高校新人大会準決勝で、岡山学芸館高のレフティーMF万代大和(1年=ハジャスFA)が他との違いを見せつけた。
「スピード感があるし、ボールが足から離れないので局面のアクセントにはなれる選手」と評するのは高原良明監督で、昨年は入学前からAチームの大阪遠征にも帯同してきた実力者。1年目からプリンスリーグでも出場経験を積み重ねてきたが、今大会は「後半から出場させて、悔しい想いをさせてきた」(高原監督)という。
うっ憤を晴らすかのように1回戦の鳥取城北高(鳥取2)戦では自らが奪ったPKを決めて、チーム2点目をマーク。この日の午前に挑んだ高川学園高(山口2)との準々決勝でも後半から出場機会を得ると、1点目と2点目に絡んだ。迎えた準決勝は待望のスタメン出場とあって気合十分。試合開始と共にスピーディーかつ滑らかなドリブルで右サイドを果敢に仕掛けて、見せ場を作る。
前半10分に先制点を与え、追い掛ける展開を強いられたこともエネルギーになったのは間違いない。「先制されたので、自分が取り返そうという気持ちでした」と振り返る万代は、14分に相手エリアの右中間をドリブルで前進。一旦、後方のMF岡野錠司(2年)に預けて、ゴール前でもらいなおすと、冷静に右足でゴールネットを揺らした。
「僕が(岡野)錠司にパスを出して、抜けてゴールという形は練習試合でも多くて、普段通りにできた」。そう振り返る一撃で同点に持ち込んでからも、積極的な仕掛けは止まらない。26分には、FW太田修次郎(2年)のパスをPA内で受けると、GKをかわしてクロスを上げるなど玉野光南に脅威を与え続けた。また、後半2分には高い位置で相手の組み立てを奪って、右足でミドルシュート。試合終盤までピッチで違いを見せつけ、決勝進出に貢献した。
幼少期から岡山県内では知られた選手で、高校に進学する際はJクラブのアカデミーや県外の強豪からも声がかかったが、中学時代の指導者の勧めや、熱心な誘いを受けたこともあり、岡山学芸館への入学を決めた。
当初はオフ・ザ・ボールの動きが課題だったが、高原監督の指摘もあり、受ける前に背後への飛び出しを相手に意識するなど改善は進んでいる。また、フィジカルでの差を感じた昨夏以降は練習後にフィジカルトレーニングにも励み、当たり負けする回数も減ってきたという。
持ち前のドリブルは日進月歩で進化を続けている。今大会でのパフォーマンスを継続できれば、より多くの注目を集める選手であることは確かだ。本人も今年はブレークスルーを狙っており、「代表か高校選抜に選ばれたい。代表を見ても自分が勝っている部分もあると思うので、結果を出し続けるしかない」と鼻息は荒い。決勝でもピッチを躍動し、その名を轟かせる。
(取材・文 森田将義)
Source: 大学高校サッカー
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