[3.15 中国高校新人大会準々決勝 立正大淞南高 2-2(PK4-5)米子北高 広島皆実高G]
第16回中国高等学校サッカー新人大会(広島)は16日午前、準々決勝を行い、立正大淞南高(島根2)と米子北高(鳥取1)が激突。2-2で突入したPK戦の末、米子北が5-4で勝った。
インターハイで2度の準優勝、現在プレミアリーグに挑戦中の米子北と、選手権3位1回、インターハイ3位3回を経験している立正大淞南。山陰で力を磨き、全国上位と渡り合ってきた2校によるライバル対決は、見応え充分の70分間となった。
米子北FW鈴木颯人(2年)、立正大淞南MF三島拓人(2年)とともに新チームのエース格が欠場したものの、球際の「バチン」という音が聞こえてくるような激しい攻防戦。強度が高く、カウンター、セットプレーからゴールを奪い合う好勝負だった。
勝者は2度のビハインドを取り戻した米子北。この日、本来のボランチではなく、CBとして先発したMF柴野惺(2年)は、「今日の試合は失点しても全員が最後まで諦めなかった。昨日は勝ったんですけど、走り勝つってことができなくて。今日は米子北らしい走り勝つっていうことを徹底してやろうってチームで話していました」と振り返る。拮抗した戦いで自分たちの特長を発揮し、勝ち切った。
先制したのは立正大淞南だった。前半3分に自陣から高速カウンター。MF豊田寛太(1年)のスルーパスでFW郷原巧実(2年)が左へ抜け出す。そして、中央へ折り返すと、FW若槻大雲(1年)が1タッチでゴールへ押し込んだ。
立正大淞南はボールを奪うと、郷原と若槻の2トップが切り替え速く相手DF間、背後のスペースを強襲。また、右SH山田都愛(2年)が鋭いドリブルで相手を押し下げた。一方の米子北は立ち上がり、後手となる部分が多かったものの、柴野が落ち着いたカバーリングを続けるなど徐々に修正。そして、球際の攻防で勝る回数を増やして試合の流れを引き寄せた。
17分、MF山崎涼(1年)がセカンドボールを収めてラストパス。MF山下一圭(1年)のシュートがゴールを脅かす。24分には、中盤の攻防で山崎がタックルを決めてインターセプト。素早く前線へ繋ぐと、180cmの俊足右SH西尾潤星(2年)が右サイドを抜け出し、ラストパスを通す。これをFW佐野聖也(2年)が右足ダイレクトで合わせて同点に追いついた。
米子北はその後もセカンドボールを前向きに回収し、MF熊谷弾(1年)らが鋭くアタック。クロスまで持ち込んだ。だが、立正大淞南はCB高麗空飛(2年)が試合を通して高さを発揮。CB三島典征(2年)が抜群のスピードを活かしたカバーリングで要所を封じていた。
また、159cmのMF西田樹(2年)が秀でた読みとセカンドボールの回収力を発揮。逆に豊田のクロスなどからチャンスを作ると後半2分、MF山田涼斗(2年)の左CKをファーサイドの高麗が頭で合わせる。ボールはクロスバーを叩いてほぼ真下に落下。これがゴールラインを越えたという判定で立正大淞南が再び勝ち越した。
米子北は失点後、勢いを失いかけていたが、10分に3枚替え。注目左SB樋渡蓮音(2年)とCB藤田航輔(2年)、右SH石飛五光(1年)が加わり、柴野が本職のボランチへポジションを上げると迫力、活動量が向上した。
柴野は山崎のサポートを受けながら幅広い動き。米子北はセカンドボールを回収して連続攻撃へ持ち込み、佐野の抜け出しや石飛のシュート、藤田のロングスローなどで相手に圧力をかける。立正大淞南は良く凌いでいたものの、後半28分、米子北が同点に追いついた。
セットプレーの流れから、PA左の左SB花田涼惺(2年)がオーバーヘッドキックで繋ぐ。ファーへ飛んだボールを柴野が頭で押し込んだ。「花田が良い感じにクロスを上げてくれて、ちょうど自分がいた感じです。負ける訳にはいかなかったんで、めちゃくちゃ気持ち込もっていました」という執念の一撃で2-2。米子北は一気に飲み込みにいったが、立正大淞南も譲らず、勝敗の行方はPK戦に委ねられた。
PK戦は、互いに4人が成功して迎えた5人目、先攻・立正大淞南のシュートを米子北の188cmGK広川武寛(2年)が左へ跳んでストップする。最後は米子北の藤田が決めて決着。準決勝へ進出した。
立正大淞南は山口県鴻城高との初戦で苦戦したが、複数の選手が前日とは全く異なるようなパフォーマンス。だが、三島典は「日々の練習から全然勝ちにこだわるっていうところに全然こだわれてなかったってところがあって。あと、最後甘さが出た」と首を振る。
一方の米子北は、柴野が「ずっと先生方から言われているのもあるんですけれども、ピッチ内も、ベンチの人たちも全員声掛けしてくれて、チーム一丸となって戦えていると思います」と説明したように、一丸となっての戦いで勝ち切る力が身についてきている。
ただし、16日午後の準決勝で瀬戸内高(広島1)にPK戦で敗戦。今年、悲願の日本一を実現するために柴野は「先生のいないところでの行動だったり、一人ひとりが自覚を持ってやることだったりが必要」という。個人としても、チームとしてもまだまだこれから。一人ひとりが目標達成のために自覚を持って行動し、レベルアップを続ける。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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