[3.18 J-VILLAGE CUP U-18決勝 川崎F U-18 2-2(PK6-5)前橋育英高 Jヴィレッジスタジアム]
身長160cmほどと小柄な1年生が、第6回 J-VILLAGE CUP U-18(福島)の大会MIPを受賞した。前橋育英高(群馬)MF白井誠也(1年=バディージュニアユース横浜出身)は1-1の後半27分、右サイドでSB瀧口眞大(1年)とワンツー。リターンを受けると、ゴール方向へのドリブルで一気に加速した。
「初速の部分だったりとか、そういうところは普段から強化したりしているので、並んだらそこから前に入る自信はあります。ジャンプとかで一歩一歩のところのパワーを出すっていうトレーニングとかをして、一歩目っていうのを強化しています」という言葉通り、一歩目のパワーを出し、並走した相手選手の前に潜り込むようにして前へ。PA外側から続いた競り合いで簡単には倒れず、PKまで粘ったことがPK獲得に繋がった。
このPKをMF石井陽主将(2年)が右足で決めて勝ち越し。この後、追いつかれてPK戦で敗れたものの、白井は強豪・川崎F U-18との戦いで、PA近くでのテクニックや一瞬のスピード、アイディアを発揮していた。
前橋育英で100名以上のプロサッカー選手を育てた名将・山田耕介監督が、「面白いですよ。良い選手だと思います。“ジャックナイフ”のようなキレ味がある」と評する注目株。選手権の登録メンバー入りは逃したものの、新チームの県新人戦で先発出場して活躍するなど、着実に立ち位置を変えてきている。
ただし、慢心した様子は見られない。「個人としては、まだまだ守備の部分とか、他の選手に劣ってる部分っていうのはまだまだある。ただ、自分の強みである攻撃の部分は、チームとしても一つの強みになっていけてる部分はあると思うんで、このまま気を抜かずにやっていきたい」と力を込めた。
小柄だからこそ、足元の技術や連動性の向上にこだわって取り組んできた。バディーサッカークラブに所属していた小学生時代に、全日本U-12サッカー選手権で優勝。高校進学時には、その特長が活きると考え、神奈川県から群馬の名門校へ進学を決断した。「サッカーに集中できる環境があるっていうのと、寮生活で自立して、一人の大人としてやっていけるようになりたいっていうので選びました」というように、自立したいという思いも前橋育英への進学を後押ししたようだ。
昨年は同期のタレントたちを追う立場だった。「去年は(同じ1年生の)平林(尊琉)とか、大岡(航未)が活躍するのをベンチ外とかから見ててやっぱり悔しいなっていう気持ちはありましたし、自分もそこに追いついてやろうってずっと努力してきたので、最近試合出れるようになってきて良かったなと思います」。試合に出続けるために、より守備も工夫して体格面の差を埋めていく考えだ。
目標とする選手は、FWエデン・アザールやFWリオネル・メッシのような1対1で仕掛けられる選手や一人で状況を変えられる選手だ。そのMFは2年目のシーズンへ向けて「インターハイや選手権、プレミアリーグで点取りたいですし、活躍して、色々な人に見てもらって、楽しんでもらえるような1年にしたいと思っています」。今回のMIP受賞は素直に「嬉しいです」。一つの自信にして、飛躍に結びつける。
(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー
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