昌平で入学直後から先発、代表でアジアも経験。大怪我を乗り越えて来た昌平DF上原悠都は課題と向き合い、1年後の選手権で輝く

昌平高の注目DF上原悠都(2年=FC LAVIDA出身)は課題を一つ一つクリアし、選手権で輝く
 2006年生まれ世代注目のSBが、本来の力、成長した姿を示す。昌平高(埼玉)DF上原悠都(2年=FC LAVIDA出身)は、「この1年、プレミアでできる貴重な機会もあるし、積み重ねていって、選手権やインハイで自分が貢献できるようにしていきたいです」と力を込めた。

 上原は1年時から強豪・昌平でスタメンを奪取。抜群の守備能力と空中戦の強さも備えたDFは、U-16日本代表としてU17アジアカップ予選を戦い、U-17日本高校選抜入りするなど高校1年目から活躍していた。
 
 だが、昨年3月、U-17日本高校選抜の活動中に左膝前十字靭帯を負傷。怪我の状態は想定していたよりも重く、復帰まで9か月間を要してしまう。U-17日本高校選抜の活動で課題の攻撃面に手応えを掴み始めているタイミングでの長期離脱。上原は「こうやってやるんだっていうコツを掴んで、周りから見ても『良いんじゃない?』みたいに言ってもらえてる時だったんで、イメージできてる時に、全部崩れちゃったっていう感じだった」と悔しがる。

 受傷から1か月後に手術を行い、約2週間の入院。離脱中は精神的にキツかったという。「早くサッカーをやりたい」という思いから、「やんない日々が当たり前になっちゃって……」。チームメートのトレーニング、試合を見るたびに不安が募った。

「(怪我を)やった直後とかは、『早くやりたいな』とか思ってたんですけど、ちょっと時間が経つと、気持ちの持ち方とか、みんなの練習や試合を見てると、『自分、ここで入れてできるのか?』みたいな、そういう不安とかがどんどん重なっちゃって。1年生の時に積み上げてきたものが『自分じゃできないのか』とか、崩れちゃう感じがして、ちょっと夏とかはキツかったと思います」。それでも、夏にCB石川穂高主将(3年、関東学院大進学予定)が同じく膝を負傷して長期離脱。上原は一緒にリハビリする主将の存在を励みとし、努力を重ねて12月のプレミアリーグEASTで公式戦復帰を果たした。

 そして、長期離脱後にも関わらず、選手権で先発出場。「怪我の心配もあったし。いきなり全国っていうプレッシャーとか、試合勘とか、イメージとかもまだ作る途中の段階で、本番って感じだった」。ベストコンディションではなかったものの、上原は信頼してくれたチームに何とか応えようと必死に戦った。

 チームは米子北高(鳥取)、大津高(熊本)というプレミアリーグ勢との激闘を乗り越え、ベスト8へ進出。上原はチームメートに感謝する。「周りのみんながプレーで支えてくれたりとかしたので、1人でやってる感はなかったです。周りに上手い人がいて、助けてくれる。それが心強かったと思います」。これまでならば一人で守れたような局面でも、身体が動かず、奪い切れないところがあった。それでも、仲間たちがカバー。だが、上原は選手権で今度は左腕を負傷し、1か月間の離脱を強いられてしまう。

「感覚戻ってきたなって思った時に……」と上原は悔しがるが、2月下旬に復帰。「(3年生のシーズンは)始まったら一瞬ってみんな言っている。徐々にって思ってたらもう終わっちゃうんで」とピッチを上げてコンディション、プレーの質を向上させようとしている。

「自分の長所は守備だと思っていて、その長所を伸ばしていくのは大事だけど、弱点が自分の中で結構大きいと思っていて。攻撃参加とか、ビルドアップだったり、ボールの扱いとかが多分、他の人より劣っていて、そういう面を一般的なくらいにしないと、これから続けてく中で、やっぱどっかで消えちゃうと思う」

 上原は「守備がなかったら自分何が残るの、ってなっちゃうと思っている」というほど守備へのこだわりを持っている。約9か月間の離脱直後もシュートを打たせない、抜かせないというところを意識しながら守っていた。

 一方で、本人も、村松明人ヘッドコーチらコーチ陣も、攻撃面の成長の兆しが見えていたタイミングでの長期離脱を残念がっていた。だが、後悔するよりも、目の前の一日一日を大事に。現在、膝の怪我は問題ないという。まだ質の部分での不安、焦りもあるが、上原自身、楽しみにしている部分もあるようだ。

「プレミア(リーグ)もほぼ初めてなので、自分がどれくらいプレーできるのかとか、どういう相手といっぱいできるのか楽しみだし、そこで自分の守備力とか見せて、大学とかに見つけてもらえればいいし、自分にも自信がつけば。(24年は)チームも勝って3冠取れれば良いけれど。選手権には絶対に出たいと思います。1年の時も直前で怪我していて、復帰明けの選手権で、それも不完全燃焼、全然ダメだった。100%で選手権を戦いたいです」。課題と向き合いながら一年間を過ごし、必ず選手権で輝く。

(取材・文 吉田太郎)
Source: 大学高校サッカー

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