日本サッカー協会(JFA)は4日に都内で記者会見を行い。今月カタールで行われるU23アジアカップに臨むU-23日本代表メンバー23人を発表した。会見では大岩剛監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが質疑に答えた。
U23アジア杯はパリ五輪アジア最終予選を兼ねており、同大会の上位3か国がパリ五輪出場権を手にする。日本はグループリーグでB組に入り、16日の初戦で中国、19日の第2戦でUAE、22日の第3節で韓国と対戦する。
以下、会見要旨
山本昌邦ナショナルチームダイレクター
「いよいよパリに向けての最終予選がスタートする。本来は1月に予選が決まっていたわけで、イレギュラーな形で、前例のない時期で、しかも中東で予選があるということで、厳しい予選が想定される。各クラブ、Jリーグ、大学連盟、さまざまな関係者にご協力いただき、選手を招集できた。クラブ、連盟の皆さんに感謝申し上げる。Jリーグも、大学もシーズン中に予選があるということで、サポーターの皆さんは自チームの心配もあると思うが、選出させていただいた選手たちに力を注いでいただけたらと思う。中東での開催ということでエモーションの部分で、アジア杯もそうだし、政治的な情勢もあり、本当のアウェーの厳しい戦いが待っている。日本から、現地から、五輪チームをサポートしていただき、エネルギーをいただけたらと思っている」
大岩剛監督
「本日メンバーを決め、カタールでのアジア最終予選に向かうことができる。山本ダイレクターからも各クラブにお礼の言葉をいただいたが、私からも各クラブ、選手の派遣に協力していただき大変感謝している。そういう責任も踏まえて、パリ五輪出場に向けて、しっかりとカタールで出場権を得るために戦い、皆さんに喜んでもらえるグループで戦いに臨んでいきたい。メディアの皆さんにも注目していただいて、このグループを国民の皆さんにしっかり認識していただけるようにしていただければと思う」
──開催時期の変更など招集制限の中で23人を選んだ。23人で勝ち抜く自信と、アジアの難しさで考えていることは何か。
「アジアを勝ち抜く難しさ、最終予選を勝ち抜く難しさを理解したなかで、発足当初からいろんなものを積み重ねてきた。積み重ねてきたものへの自信と、選手23人を招集したが、この選手たちでタフに戦い抜く自信を持って大会に臨む気持ちでいる。選手たちにもそういうことを伝えながら、グループでチーム一丸となって一戦一戦を戦う気持ちでいる」
──勝利につながるキーマンを挙げるなら誰になるか。
「今の時点で誰というコメントをすることはできないが、一試合一試合を中2日でやっていくので、その試合のなかでキープレーヤーが出てほしい。大会が進むにつれてラッキーボーイとか、チームを前進させる選手が出てくることを望んでいる」
──どんな世代と認識しているか。
「どんな世代……大変難しいですね(笑)。U-23世代は日本サッカー界では五輪を目指すチームと認識していただいているなかで、東京五輪は自国開催で大変盛り上がったが、コロナ禍ということで国民の皆さんがスタジアムで選手を応援することができなかったので、われわれパリを目指している選手たちがもっともっと国民の皆さんにスタジアムで応援していただけることを望んでいるし、彼らがJリーグ、海外のクラブで活躍するシーンを映像等で目にする機会が多いと思うが、スタジアムに来て躍動感あふれるプレーを見てほしい。選手も望んでいる。そういうグループでいてほしいし、皆さんもそういう認識でいてほしいと希望している」
──この23人で確定したタイミングはいつだったか。ベースは3月親善試合のメンバーだが、不参加だった山田大樹、木村誠二、内野航太郎の決め手は何か。
「昨日Jリーグがあったのでその試合を見ながら、その試合後の選手の状況、そしてスタッフ間の情報交換も含め、昨日の夜にすべての選手の決断をした。3月からのメンバーだが、初めて今回呼ぶわけではない。各選手、我々のグループで活動したことがある選手なので、活動ごと招集が叶わない状態でもリサーチしていた。3人もこの最終予選で、タフな大会になると思っている。活躍してくれると、しっかりと彼らのプレーを見て決断した」
──今回の主将は決まっているか。大会においてリーダーは必要と考えているか。
「主将については前回の活動でも言ったが、現時点では決めていない。各クラブで主将、副主将を務めている選手もいるし、選手全員がキャプテンのできる選手たちだと思っている。グループを引っ張る部分では選手それぞれに才能を発揮してほしい。われわれのグループの中では、数多く招集に参加してくれている選手がいるので、各ポジションでリーダーになりうる選手たち。スタッフ間で決めることでも、監督が決めることでもなく、各選手が責任を負いながら、各選手やスタッフに信頼してもらうことが重要。そういったところを発揮してくれている選手が何人もいるので、そういった選手に期待したい」
──アジア大会や、鹿島時代もタイトルを逃した経験をしている。その経験を踏まえて何が足りなかったから勝てなかったかという整理をしているか。監督自身に変化はあるか。
「監督をやりながら立場を変えながらいろんな経験を積んできているつもり。現場の指導や采配をいろいろと勉強したり、経験を積んできたつもりでいる。経験をこの大会に合わせてやっていきたいと思う」
──今回の選考でいろんな悩みのポイントはあったと思われる。人数制限の中でFC東京から3人という悩みもあったと思うが、どう考えていたか。
「人数制限などの悩みは選手を選ぶということにおいては起こりうること。その上で23人を選んだ。各クラブ、ひとつのクラブだけでなく、同じような条件のもとで選手を派遣してくれる状況。どこのクラブを優先するしないではなく、われわれはお願いベースなのでコミュニケーションを取ったうえで、各クラブに協力していただいて選手を選んでいただいた認識でいる。このメンバーで戦い抜けるという気持ちでいるので、感謝とともに責任を果たす気持ちで大会に向かいたい」
山本「昨年9月にJリーグ、各クラブと強化部会、技術委員会、しっかりと全体にバランスを取って、皆さんに協力いただかないと、A代表のように大陸チャンピオンを決める大会であればIWで拘束できるが、叶わないのが五輪種目が男子サッカーの育成年代の大会である難しさがあり、現場の監督、コーチングスタッフに負担をかけているのは間違いない。自由に選手を選べないので。そのなかで落ち着いていい準備をして、昨日も深夜まで悩んでいた。外さないといけない選手も出てくる中、何が正解かわからない中、いい準備をしてきてここに辿り着いたと思う。監督が自分の力を信じて挑んでくれれば、必ずいい結果がついてくると期待している。全クラブが合意に基づいていい対応をしてくれた。感謝しかない。この力をカタールに持っていって、みんなの力を結集したいと思う」
──3月の会見では危機感しかないと言っていた。どのようなプレッシャーを感じているのか。
「厳しい戦いになるのは間違いない。危機感というワードが正しいかはわからないが、しっかり準備していろんなものを想定して、われわれの強みを発揮して、しっかりひとつずつ戦うという気持ちしかない。そこをブラさず揺るがさず、チームをグループとしてひとつにして戦っていきたい気持ちでいる」
山本「危機感という言葉にいろんなインパクトがあったようだが、この世代はU-20の世界大会がコロナの影響で中止になった。育成年代から経験と成長と自信、選手たちを成長してお預けする形になっていたが、この世代だけがU-20の世界大会もなく、2023年のU-20W杯がグループリーグ敗退に終わった。過去の積み上げてきた経験、成長、自信が経験不足ということで、足りない世代になっている。経験がうまく積み上げられなかったことを指して危機感と申し上げた。また4月に環境や気候も含め、前例のない予選を行わないといけないということで簡単ではない予選だと思っている」
──FWの選考で重要視したポイントは何か。
「抽象的だが、総合的に判断したという言葉が率直なところ。得点を奪うところもそうだし、グループのFWのタスクも含め、グループ内で選手にどう信頼されるか。得点を取るところなのか、チームのために守備をするところか、ほかの選手の組み合わせも含めて、3月だけじゃなく今まで積み重ねたところも含めて選手を選んだ」
──Jリーグの選手は今週末も試合がある。どういったパフォーマンスを期待しているか。
「メンバーに選ばれたという目で選手たちは見られるし、いろんなプレッシャーの中でプレーすることになると思うが、思い切ってプレーしてくれることが一番。各クラブのためにプレーするのがまず一番。その姿勢がわれわれの大会に引き継いでいけることができるだろうし、選手にはそういう姿勢でわれわれのグループにも参加してほしい。まずは各クラブで活躍することを望んでいる」
──内野航太郎は最年少で大学生からの選出。そのポイントは何か。
「FWの話でも言ったが、3月の活動だけでなく、ずっと継続してきた中で彼の姿勢、オン・ザ・ピッチでのプレーの内容や彼のパーソナリティー、いろんなことを考慮したなかで現在の彼の活動も追っているし、われわれのグループで活躍できると、チームメイトに信頼されると期待して招集した」
──A代表も含めてヨーロッパ、東アジアのサッカーには結果を出すことが多いが、そうではないチームに苦戦することも多い。そういう相手に対していかに勝ち抜いていくか。
「アジアの中でもさまざまな対戦相手がいるので、その国の特徴、戦術を分析した上でわれわれの強み、相手を消すことを、各試合で分析して一試合一試合向かっていきたい」
──五輪はロンドン、東京で4位になったが、パリでのメダルへの思いはどうか。
「われわれの目標はパリに出場して、勝ち抜くことにある。まずは最終予選をしっかり勝ち抜くことにフォーカスして準備を進めている。目の前の試合に向かっていくグループでありたい」
──木村誠二は怪我で苦しんでいた。コンディションをどのように把握しているか。それでも呼ぶというのは重要な選手だと考えていると思うが、選考理由は何か。
「今季の序盤に怪我をした情報があり、復帰過程もコミュニケーションを取りながら追っている。ここ最近の出場時間は少ないが、彼が今までの活動の中で発揮してくれたプレーとグループの中での立ち振る舞いを期待した中で招集した」
──メンバーを選ぶ上で最終的に大切にしたことや、同じようなレベルの選手がいたときに重視したことは何か。
「われわれは一極集中開催で予選を戦うので、中2日で試合を行う。選手にはタフでいてもらわないといけない。肉体的にもメンタル的にも、結束力の面でもタフでいてもらわないといけない。そういうことを期待して23人を選ぶことになった」
──佐藤恵允、荒木遼太郎の評価する点は何か。
「2人とも得点にものすごくフォーカスされがちだが、得点も含めてポジションの役割を理解してくれている。チームメイトから信頼されている。その部分も含めて評価されているということで招集させていただいた」
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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