[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.6 プレミアリーグEAST第1節 市立船橋高 0-2 青森山田高 千葉県フットボールセンター]
先発組に加わったのは3日前のこと。「いきなりセットプレーの練習の時に、スタメン組やって。(その時は)めっちゃ嬉しかった。(先発で出たら)とりあえずゴールに絡みたい。目に見える結果残すってのを目標に」臨んだMF川口遼己(3年=大阪市ジュネッスFC出身)が、青森山田高(青森)に先制点をもたらした。
前半14分、青森山田は左ロングスロー。こぼれ球に反応した川口が右足ダイレクトで狙う。「来たら迷わず枠に入れようっていうのを意識してて、いい感じにいきました」。ボールは混戦のゴール前を抜け、ゴールラインを越えた。
「サッカー人生で過去イチ、嬉しかった。マジで自分が点取れるって思ってなかったんで。狙ってたんですけど、マジで最高でした」というプレミア初ゴール。川口は事前に決めていた通りにコーナー方向へ走り出し、チームメートと喜びを爆発させた。
川口はチーム屈指のテクニシャン。だが、小柄で細身なMFはフィジカル面を不安視されていた。新チームでは一時先発起用されていたものの、3月のサニックス杯はメンバー外。Bチームのいわき・金沢遠征に回っていた。
だが、「そこで主力でチームを動かして頑張ってきました。ゴール決めたり、チームのやるべきことだったり。自分がリーダーシップ持ってやるということを意識してやっていました」とアピール。すると、正木昌宣監督は開幕直前に「直感です。『何でですか』って言われたら直感です」と先発起用を決断した。
指揮官の期待にゴールで応えた川口はこの日、守備面でも「先制点だけじゃなくて、後半とか守備も頑張ってた」(正木監督)と評価される動き。その川口は「山口君がおるんで、自信持って前に行きますし、常にゴールに狙ってました」と振り返ったように、大阪市ジュネッスFC時代のチームメートであるMF山口元幹(3年)の支えを受けながら、アグレッシブな守備とボールを収める部分でも健闘していた。
足元の技術力と判断力、プレースキックも武器。MF松木玖生(現FC東京)ら3冠世代への憧れと、強度の高いチームの中で自分がチームを動かすという目標を持って青森山田へ進学した。昨年の10番MF芝田玲(現明治大)は、「サイズも(自分同様に)ちっちゃくて、基礎技術だったり、足元があって、そういう部分は結構、去年から見て盗む部分はありました」という存在だ。
この日、自信をつけたMFは、「まずはプレミアリーグで個人としてはスタメンに定着して、目に見える結果にこだわりながら、チームとしては3冠目指してるんで、まず、このプレミアリーグでしっかりチームとしても勝っていきたいと思っています」と意気込んだ。ポジションを失わないためにも、チーム内競争で常にアピールすること。そして、中心選手としてチームを2冠へ導いた先輩のように、ゴールやアシストでチームを勝たせる選手になる。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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