“サッカーの街”長岡でプレミア初開催。ホーム観衆の前で躍動の帝京長岡が4-0で神村学園を下し、初勝利!

帝京長岡高の選手たちがプレミア初勝利を喜ぶ
[4.14 プレミアリーグWEST第2節 帝京長岡高 4-0 神村学園高 長岡NT]

 帝京長岡がホームでプレミア初勝利! “高校年代最高峰のリーグ戦”高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WESTは14日に第2節を行い、プレミアリーグ初参戦の帝京長岡高(新潟)と神村学園高(鹿児島)が激突。帝京長岡がFW新納大吾(3年)の3得点とFW安野匠(3年)の1ゴールによって4-0で勝ち、プレミアリーグ初白星を飾った。

 帝京長岡は新潟県中南部、人口25万人ほどの長岡市に位置している。19、20年度の全国高校選手権で2年連続3位。23年U-22日本代表のMF谷内田哲平(現京都)ら地元出身のJリーガーやFリーガー、年代別日本代表、高校選抜選手を輩出し、昨年には6度目のプレーオフ挑戦でプレミアリーグ初昇格を果たした。また、系列の長岡ジュニアユースFC(長岡JYFC)などの活躍もあり、地元の長岡市は“サッカーの街”として徐々に定着中。その長岡市でプレミアリーグが初開催された。

 この日、試合会場の長岡ニュータウン運動公園には主催者発表850人、「もっといたのでは」という声もあったほどの観衆が来場。先発選手と共に入場するエスコートキッズを長岡JYFCの小学生(親が長岡JYFC出身という2世代組も)たちが務め、ボールボーイは長岡JYFCの中学生たちが担当していた。帝京長岡の谷口哲朗総監督は試合前、選手たちに「今日は、プロになった気でやれ!」と短くメッセージ。地元の小中学生や家族、友人の前で、帝京長岡の選手たちが躍動した。

 帝京長岡と神村学園の3年生の多くは、当時1年生だった22年12月にU-16の全国大会「ミズノチャンピオンシップU-16 ルーキーリーグ」決勝で対戦し、帝京長岡が勝利している。当時の選手も数多く出場した再戦は前半6分、帝京長岡が先制する。ルーズボールの競り合いでMF水川昌志(3年)が相手のクリアを阻止。新納がDFライン背後へこぼれたボールに反応し、右足シュートをゴールへ突き刺した。開幕戦で前年王者の広島ユースに0-2で敗れた帝京長岡にとって、プレミアリーグ初得点。小学生を含めた観衆が祝福する中、新納たちが喜びを爆発させた。

前半6分、帝京長岡高FW新納大吾が先制ゴール

新納の先制点を地元の小学生たちも祝福

 互いに選手同士の距離感を縮めた形でのパス交換が特長。神村学園はパスを繋ぎながら押し返し、左SB井村知也(3年)がクロスまで持ち込んでいた。だが、帝京長岡の守りは堅い。日本高校選抜MF名和田我空(3年)にボールが入ると、帝京長岡は長岡JYFC出身で憧れの思いを持って谷内田世代らのプレーを見てきたというMF遠藤琉晟(3年)が必ずプレスバック。守備面で特に利いていた遠藤や幅広くカバーリングしていたMF香西大河(3年)、U-17日本高校選抜CB山本圭晋主将(3年)をはじめ、各選手のアプローチが速く、強度も高い。鳥栖U-18との開幕戦でシュート11本を放っている名和田に試合終盤までシュートを打たせなかった。

 帝京長岡の古沢徹監督は、「守備の球際のところでリズムができたかなと思います」。プレシーズンには沖縄遠征でFC琉球のJリーガーたちと実戦を重ねたほか、FC東京U-18などと対戦して強度を向上。この力を発揮し、また広島ユースとの開幕戦から改善した相手ゴール前での距離感、1タッチシュートで神村学園を突き放した。

 前半26分、安野のパスで新納が抜け出し、GKとの1対1から右足で2点目。さらに33分にも、MF柳田夢輝(3年)のパスで新納が右サイドを抜け出す。最後はGKを引き付けて出したラストパスを安野が1タッチで決めて3-0とした。

 神村学園はDFラインが乱れ、背後のカバーリングも不足して3失点。主将のU-17日本高校選抜MF鈴木悠仁(3年)をボランチから最終ラインへ下げ、立て直そうとする。36分には、U-17日本高校選抜DF新垣陽盛(3年)が決定的なヘッド。だが、帝京長岡DFにゴールライン上でかき出され、追撃することができない。

 神村学園はエース名和田が崩しに係ってチャンスを創出する。だが、最後の精度を欠くなど前半は0-3で終了。後半開始から23年U-17日本高校選抜で、左膝半月板手術を経て昨年6月以来の公式戦復帰となるFW金城蓮央(3年)をピッチへ送り出した。金城は長期離脱明けだったが、抜群のスピードは健在。後半19分にはU-17日本高校選抜候補FW日高元(2年)のラストパスが通り、決定機を迎えた。

 金城はGKをかわそうとしたが、ここは安定感の高い動きを見せていた帝京長岡GK小林脩晃(3年)がストップする。逆に帝京長岡は24分、「結構知ってる人とかも見に来てくれたりしていて、あとはチームの応援。去年はリーグ戦とか、みんなで応援っていうのはなかったですけど、今年はプレミアで、みんなの応援もあって、凄い力になりました」という遠藤が敵陣でインターセプトし、ショートカウンターを発動。安野の抜け出しから新納が1タッチで決めてハットトリックを達成した。これで新納は3得点1アシストとし、安野も1得点2アシスト。古沢監督が「2枚看板」「相手にとって嫌な2トップ」と評した2人で4ゴールをもたらした。

 神村学園もこのままでは終わらない。この日はドリブルや仕掛けのパスでボールロストが散見されたが、ミスしても繰り返しチャレンジ。名和田が個の力でシュートまで持ち込み、金城も周囲との連係が向上してチャンスに絡んでいた。だが、帝京長岡はCB山本を中心に、CB下田蒼太朗(3年)、右SB稲垣純(2年)、左SB永井仁之(3年)という4バックが最後まで相手に身体を寄せ続ける。攻撃面ではロングボールが増加。前線で強さを発揮する安野らが5点目を狙い続けた一方、セカンドボールを拾われ、攻め込まれてピンチもあった。

 だが、最後までコースにシュートを打たせず、4-0で快勝した。試合後、帝京長岡の選手たちは応援席へ。祝福を受け、控え選手たちと一緒に勝利を喜んでいた。山本は「ほんとに応援に助けられたというか、応援で自分たちも勇気づけられた時もありますし、ほんとに4点取れてゼロで終われたっていうのは、これからのリーグ戦に繋がっていくと思います。(今日、)良いプレーとか出たら、歓声とか、『オオッ』みたいな声も聞こえましたし、ほんとに自分たちのプレーでちっちゃい子とかが、憧れてくれるっていうのは長岡にしかないというか。こういう場を設けてもらったからこそやと思うんで、また再来週ホームでもありますけど良い試合ができるように、まずは(来週のアウェー)米子北戦をやりたいです」と力を込めた。

 古沢監督はまず選手たちの奮闘を称賛。そして、プレミアリーグ初開催となったホームの雰囲気、感想について、「長岡を“サッカーの街”にっていう、(谷口)総監督とともにやらしてもらってた部分が少しこう見えてきてるというか、凄くいい絵というか。もっともっと魅力的なサッカーをすれば人は集まってきてくれると思うので。継続してウチらしく、心美しくプレーしていきたい」。この日の試合後、神村学園の注目FW名和田がアウェーの地でファンのサインや写真撮影に一人ひとり真摯に対応していた。帝京長岡は今後も「(サッカーが特別詳しくなくても)見たことのあるようなユニフォームを着た」(谷口総監督)のJクラブユースや強豪校の名のある選手たちと長岡で対戦。「また、見たい」「帝京長岡でサッカーをしたい」と思われるような戦いを続けていく意気込みだ。

 プレミアリーグでは、「1試合1試合がほんと全国大会」(古沢監督)という戦いが22試合続く。より良い試合をするための睡眠や食事の摂り方など、ピッチ外含めて選手たちの成長が見えるという。このステージでの戦いを来年以降も継続させることは、絶対の目標。指揮官は「(初勝利は)嬉しいですけど、次の準備をもう始めないとな、と思いました。ほんと、これを見て、ウチに来たいっていうジュニア、ジュニアユースの子がもっと増えていって欲しいなっていうのが、あります」と期待した。

 チームの視線は次のゲームへ。山本は「後半の最後の方とかも、みんなちょっと運動量が落ちちゃってたんで。もっと走らないといけないかなって思いました。(また、クリアなど)今日は長いボールが多かったんで、(帝京長岡らしく)もっと近くでボール動かして、下から作って、自分たちのペースでもっとボールを持つ時間が長くなればいいかなと思います」。プレミアリーグの日常を当たり前のものにするためにも、1試合1試合成長を続けること。まずは1週間後の強敵・米子北高(鳥取)戦でプレミアリーグ初の連勝にチャレンジする。

エスコーチキッズは同じ帝京長岡高グラウンドで練習する長岡JYFCの小学生たち

長岡市初開催のプレミアリーグに多くの観衆が訪れた

(取材・文 吉田太郎)


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Source: 大学高校サッカー

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