[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.21 神奈川県サッカー選手権準決勝 桐蔭横浜大3-1YS横浜 レモンS]
桐蔭学園高出身コンビの連続弾で見事に試合をひっくり返した。前半を1点ビハインドで折り返した桐蔭横浜大だったが、後半5分にFKのこぼれ球をDF飯島大地(2年=桐蔭学園高)が押し込んで同点。さらに同10分にはMF遠藤貴成(4年=東福岡高)の右クロスからDF武田拓磨(4年=桐蔭学園高)が頭で決めて逆転に成功した。
左SBで先発した武田と対面のSBには、お顔なじみの選手もいた。Y.S.C.C.横浜の右SBで出場していたDF大竹悠聖は、大学の2学年先輩。仲もよかったという先輩の一人で、試合前には握手をして健闘を誓いあっていた。武田は「だいぶ警戒されていた」と振り返るが、「その中で点を取れたのは大きい」と頷いてみせた。
大学に入って公式戦でゴールを決めたのは初めてだという。昨年まで関東1部リーグを戦うセカンドチームの桐蔭横浜大FCに登録されていた武田だが、そこでもなかなか出場機会を掴むことができていなかった。
しかし最終学年のシーズンを迎える前に大きなチャンスが訪れた。同学年のDF五十嵐聖己(4年=尚志高)が25シーズンのいわきFC入りを内定。今季の特別指定選手登録がされると、第4節の熊本戦から8試合連続でフル出場を果たすなど、完全にレギュラーを獲得した。
そこで“五十嵐が抜けた穴”を埋めるべく抜擢されたのが、武田だった。今季の大学リーグ開幕戦でトップチーム初出場を果たすなど、その後も左SBの一番手として定着。そして“初ゴール”まで決めてみせた。「まさか点取れるとは思っていなかった」という武田も、「取れる匂いがしたというか、取れるところに行けると思ったらボールが来たという感じです」と充実の表情を浮かべた。
2年前の天皇杯で本大会に出場した桐蔭横浜大は、2回戦でJ1の北海道コンサドーレ札幌と対戦。延長戦の末に3-4で敗れたが、当時無名だったFW白輪地敬大(現いわきFC)が2ゴールを記録し、一躍Jクラブが注目する選手になった。
武田にとっては白輪地が高校の先輩にもあたることからも、運命を変えるにはこれ以上ない大会であることは分かっている。「自分も続きたい」と意識を十分にすると、「出来るだけ上の舞台でサッカーを続けたい思いはある。Jリーガーになれればいいなと思っています」。決勝のSC相模原戦も名前を売る舞台にしてみせる。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 国内リーグ
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