後半42分の同点弾で阪南大高とドロー。選手権準Vの近江は2024年度のスタイル構築へ

近江高の中盤でアクセントとなった中盤でアクセントとなったMF伊豆蔵一惺(右)
[4.21 プリンスリーグ関西1部第3節 阪南大高 1-1 近江高 阪南大高見ノ里G]
 
 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024関西1部は21日に第3節を実施し、阪南大高(大阪)と近江高(滋賀)の一戦は両者譲らず、1-1となった。

 先制されながらも同点に持ち込み、勝ち点1を得る形となったが、近江の選手とスタッフから満足した様子は見られない。「阪南のプレスに屈していた。前半の元気なうちにフルパワー同士でぶつかった時には、個人の力で負けていた」と口にするのは前田高孝監督だ。

 言葉通り、立ち上がりは阪南大高のペースだった。「近江は上手いので今週1週間はプレスの掛け方をしっかり練習してきた」(MF福本一太、3年)という阪南大高の術中にハマり、自陣から繋ごうとしても前線にボールを運べない。「受けられる選手、時間が作れる選手がいなくて、全員がプレーするだけで精一杯だった」と前田監督は振り返る。

 奪ってからサイドに展開し、サイドを起点にショートカウンターを狙った阪南大高に押し込まれる場面が散見。前半7分にはMF柏大輝(3年)に左を崩されると、ゴール前に上がったクロスが近江の選手に当たってオウンゴールとなった。

 以降もボールロストから一気に自陣へと持ち込まれる場面が続く。25分、阪南大高は前線でボールをおさめたFW弓場潤哉(3年)のスルーパスからFW伊藤成康(2年)がフリーでシュート。27分には高い位置でボールを奪った福本がそのままGKとの1対1を迎えたが、近江が何とか踏ん張り、2失点目を与えない。「オウンゴールという形で失点してから全員で気持ちを切り替えて、追加点を与えなかったのが大きかった」とMF伊豆蔵一惺(3年)は振り返る。

 近江は攻撃を活性化させるため、怪我明けで後半からの出場予定だったFW山本諒(3年)を29分に投入。キープ力に長けたエースを入れることで前線での起点を作る。後半に入ってからは阪南大高の攻撃陣に対する対策を講じつつ、選手交代や配置転換で反撃を試みた。

「自分たちのペースに持ってくるために時間を作って前に当てたり、侵入しなければいけないと思っていた」。そう話す伊豆蔵もボールに触る回数が増え、流れが近江に傾くと後半21分には山本クロスの右クロスに反応したファーサイドのMF河野翔空(2年)がシュート。36分には伊豆蔵のスルーパスから、山本がゴール前を抜け出したが、同点弾は生まれない。

 それでも諦めずに攻め続けると、42分には河野のパスから、MF清田陽大(3年)が左サイドの高い位置へと侵入。ゴール前に入れたパスをMF市場琉祐(2年)が決めて同点に追いつく。44分にも決定機を作ったが逆転までは持ち込めず、1-1でタイムアップを迎えた。

「自分たちのペースになった時にもう1点決めることができたら勝ち点3を取れた。そこは日頃の練習で積み重ねていくものだと思うので、自分たちで突き詰めていきたい」。伊豆蔵のコメント通り、白星を逃した悔しさとともに近江がプリンス1部で戦っていくためには更なるレベルアップが必要だと感じている。「位置と選手を変えた後半に向こうが少し疲れてきて、スペースが空いた中ではできたけど、近江らしさを出すためにはあと30%ぐらいマイボールにしないといけない」。そう続けるのは前田監督だ。

 レベルアップを求めるとともに、指揮官は思い切りよくプレーして今年の代の特徴をピッチで表現して欲しいと考えている。選手権で準優勝した昨年の世代とどうしても比べられるが、選手は違う。高校サッカー最後の年である3年生の持つ力を信じる前田監督は彼らの良さを引き出そうと試行錯誤を繰り返している。

 キャプテンを3人体制にしたこともその一つ。今年の3年生は29人と例年よりも一学年の人数が少ない分、一つにまとまりやすい。「金山耀太に任せた昨年とは違う。今年は一人に背負わせるよりも、3人でやった方が力を出せる気がした。3年生が主役だから、みんなでやろうというスタンスでやりたい」(前田監督)。選手が自信を持って伸び伸びとプレーしやすいよう、これまで以上に励ますコーチングも増やしているという。悔しい結果となった今節の引き分けも糧にしながら、2024年度の近江スタイルを築き上げていく。

(取材・文 森田将義)


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Source: 大学高校サッカー

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