2-2で迎えた後半終了間際、U-23日本代表はカタールにカウンターを仕掛けられた。しかし、相手のスルーパスにスライディングでカットしたのはMF平河悠(町田)。「通されていたら、時間的にもかなり危ないシーンだった。いち早く反応できて本当によかった」と振り返った。
ベンチスタートの平河は後半38分に出場。1人退場のカタールに対し、平河は積極的にドリブルを仕掛けた。その一方、守備にも目を光らせた。
後半アディショナルタイム6分過ぎ、MF荒木遼太郎(FC東京)がボールを奪われ、カウンターを仕掛けられる。左サイドの空いたスペースをめがけてスルーパスを出されると、軌道を予測した平河がスライディング。パスが通っていたら自陣PAまでがら空きのスペースを突かれていたピンチを未然に防いだ。
「自分たちのボールのところで取られて、相手のSBが一瞬で上がっているのが見えた。ここにボールが来るだろうという予測のもと、スプリントで戻った」。高い守備意識と持ち前のスピードはFC町田ゼルビアでも大きな武器だ。今大会では攻撃の時間が長く、町田で見せているハイプレスの場面は少ない。それでも平河は「守備のストロングがある分、サボらず自分のタスクで自分の価値を見出せたら」と守備意識も強調した。
U23アジアカップ4強入りを果たした日本は、あと1勝でパリオリンピック出場が決まる。準決勝の相手はイラクだ。準々決勝・ベトナム戦では右サイドのMFアリ・アルモサウェのプレーが目立った。平河が左サイドで出場すればマークする相手だが、「たしかにボールを扱うのは上手かった」と印象を語り、自身の役割を挙げた。
「自分があの人とマッチアップするならプレスバックのところ、得点を取らせないプレーをすることが一番。相手のやりたいことをやらせない。町田でもそれは言われているが、ストロングを出させないためのことはいくつか持っている。そこはイメージしながら入りたい」
昨年6月の欧州遠征で、U-22日本代表に初招集された。出発10日前にパスポートを申請したことは、いまや語り草だ。「6月に呼ばれた日のことは忘れない。そこからここまで来れるというイメージはできていなかった。だけど、着実に自信もつけてきた」。今シーズンはJ1リーグ上位を走る町田の躍進を支えている。
先発入りやパリ五輪メンバー入りも意識しながらも、一番はチームへの貢献。「自分の価値を出すことがチームにつながるし、チームのために走ることが自分の価値を見出す」。着実に速度を上げながら、大舞台へと駆け上がっていくつもりだ。
(取材・文 石川祐介)
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Source: サッカー日本代表
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