AFC U23アジアカップを制したU-23日本代表のMF平河悠(町田)が4日深夜、大会開催地のカタールから羽田空港に帰国し、報道陣の取材に応じた。今大会は3試合の先発を含む全6試合に出場し、攻守の献身性でチームを支えたが、0ゴール0アシストという結果を「課題」と受け止めた。
今大会のU-23日本代表は招集可能なウインガーが少なく、「ドリブルで優位性を持つ選手が少ない分、自分はそこで違いを作れたらと考えていた」と自負していた平河。大会初戦から左右のサイドで出番を掴み、五輪出場権を獲得した準決勝イラク戦(○2-0)でもフル出場するなど、攻守に一定の存在感を発揮した。
しかし、自身の現状に満足はなかった。「ゴール前の質だったり、ひとつ落ち着くところだったり、個人戦術で自分の良さを出しつつ、数字をつけられたらより怖い選手になれると思うし、一つ上のレベルに立てると思う」。そう現在地を見つめた23歳は「前線の選手で数字がついている選手もいたし、自分も負けない武器を持たないといけないと思う」と力を込めた。
山梨学院大時代の2021年に町田でJ2デビューを果たし、昨季の正式加入を経て今季は初挑戦のJ1リーグでブレイク。佐賀東高卒業後は一度就職を考え、大学時代を関東大学リーグ1部・2部に続く東京都リーグでプレーしていた立場から、狭き門である五輪世代の中心選手としてアジア制覇に導くまでになった。
今大会中にはDAZN中継で解説者を務めた元東京大監督の林陵平氏から都リーグ時代の対戦で前半だけで4ゴールを記録した出来事を紹介され、そのキャリアは再び脚光を浴びていた。
「林さんと対戦したことも覚えているし、あの時から考えたら想像もできなかったことが起きているけど、やり続ける努力とか、若さ特有の伸びが想像よりも上に行くことがあるんだなと感じる」
やや客観的な口ぶりで自身の出世物語を振り返った平河だが、「でもその自信を過信にすることなく、地に足をつけて一歩一歩レベルを上げていけば自分の目標に辿り着けるのかなと思う」と覚悟をにじませた。
世代別代表の経験がない平河にとって、予選から参加していたAFC U23アジア杯が初の国際舞台。ゴールに絡む結果こそ出せなかったが、国を背負う重圧の中でプレーした経験は今後の糧となるはずだ。
「今回の代表だと(準々決勝)カタール戦は特にこの国の重圧というか、責任はこれまでに感じたことのない感覚があった。逆に出場権を獲得した時の反響も大きなものがあった。日本代表という存在が本当にすごいんだなと感じた」
パリ五輪本大会に選ばれれば、そうした経験はさらに深まるはず。本大会では今回招集できなかった欧州組の参加が見込まれているため、さらなるアピールが必要となるが、“追う立場”は慣れたものだ。
平河らがチームを離脱していた間も町田は首位を保っており、チームメートからは「もうポジションはない」という親しみを込めた声も挙がっている中、「それは間違いない」と真っ向から受け止めた平河。「出る保証のない争いの中でプレーしていたので、また戻ってスタメン争いに勝ちたいなと思う」と力強く語った。
(取材・文 竹内達也)
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Source: サッカー日本代表
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