[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.12 プリンスリーグ関東1部第6節 桐蔭学園高 1-1 鹿島学園高 桐蔭学園多目的グラウンド]
昨年はBチームやCチームに所属。Aチームへ上がったのは、新チームがスタートしてからだという。そのボランチが、「『頑張る』っていうのが自分のポイント。全体にいい流れを持っていけるように」意識した取り組み、プレーで強豪・鹿島学園高(茨城)の主将に就任。怪我明けで初先発となったこの日、MF濱口聖(3年=C.Aアレグレ出身)は「頑張る」ことを貫き、チームに勝ち点1をもたらした。
濱口は、背にいる相手2トップを消すことと前へ出てのプレッシング、相手にとって嫌な立ち位置で止まることを意識。桐蔭学園高(神奈川)の選手に前を向かせず、後退させるなどゴールから遠ざけた。そして、厳しいチェックによって、敵陣で相手ボールを強奪。濱口の存在もあり、桐蔭学園はなかなか中盤を活用できなかった。
濱口はショートカウンターの起点となったほか、前線の選手をサポートしてポケットへ侵入。決定的なクロスを上げるシーンもあった。「(声も含めて、)自分が前で引っ張っていければいい」という主将は特に前半、鹿島学園が主導権を握る原動力に。初先発で「やってやろう」の思いも持って臨んだMFは後半、相手に主導権を握られ、体力的にキツイ中でも「頑張る」を貫徹して走り切った。
U-16日本一世代の2年生など鹿島学園の選手層は厚い。特にボランチは激戦区だ。この日、存在感のある動きを見せたMF西川大翔(2年)に加え、U-16日本代表MF木下永愛(2年)らもいる。この日、木下は怪我を抱えていることもあってベンチ。その中で、濱口は彼らに負けないようなパフォーマンスを見せた。
濱口は「(木下の存在は刺激に)なりますね。最近は代表行って、色々な経験で変わってきてるとは思うんで、自分も頑張ろうと。ボランチの層が厚いっていうのは自分たちの強みでもある。ボランチでの競争が練習の中でもあって、一番強度を出せる選手が出れると思うんで、そこは負けじとやっています」。初先発で奮闘した主将は、今後もポジションを譲るつもりはない。
昨年まで、一度もAチームに上がったことはなかった。当時から「人がやらない時にやる」ことにこだわってきた。「自主練だったり、朝練だったり、人がやんないところでやるっていうことを意識していて。新チームなって、新チームに一番足りないものだと思った時には、やっぱ全員を鼓舞することやったり、そこは自分が一番っていう気持ちを持ってやってったら、少しずつ慣れていくこともできたし、技術面でもまだまだですけど、周りと一緒ぐらいにはなりたい。(もっと成長し、)いい守備からいい攻撃につながる1個のポイントとして自分のプレーを上げたいです」。技術面はまだまだ課題。貪欲にレベルアップすることを目指していく。
背負っている「13番」について、「代々の先輩の『13』っていうのは、全員を盛り上げていける選手がつけてるイメージを自分の中では思っていて、13番に誇りを持ってやっています」。自分が評価されているポイントも「声」だと分析。這い上がってきた主将は誰よりも声を発し、「頑張る」ことを続けて鹿島学園を引っ張る。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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