日本サッカー協会(JFA)前会長で、国際サッカー連盟(FIFA)とアジアサッカー連盟(AFC)の理事を務める田嶋幸三氏が20日、東京都内で報道陣の取材に応じ、2031年の女子ワールドカップ日本招致に向けた展望を語った。同大会では27年大会の開催から急遽撤退したアメリカ・メキシコも立候補を表明しており、招致実現には高いハードルが立ちはだかっている。
田嶋理事は今月中旬、タイ・バンコクで立て続けに開かれたAFC、FIFAの総会に出席。FIFA総会では2027年の女子W杯開催地の投票が行われ、ブラジル単独開催案がドイツ・オランダ・ベルギー(BNG)3か国共催案を119対78で上回り、史上初めて南米大陸での開催が決まった。日本もブラジルに投票していた。
田嶋理事によると今回、両者の評価点の「大きな差は政府保証」だったという。近年の国際大会の開催にあたっては、各国政府に施設整備、ビザの発給、周辺警備、ファンの入国への積極的支援が求められており、日本でも東京五輪の際に各省庁が入念に対応していたが、女子W杯でも開催国評価における重要なファクターとなっていたようだ。
もっとも政権からのトップダウンで各省庁の合意を取り付けられる国々とは異なり、日本では合意形成に時間がかかる上、国会での決議や特別法の整備が必要となる。そのため「手続きは簡単ではない」と田嶋理事。31年大会のホスト候補国には今後、FIFAから政府保証の条件を記したリストが送られてくるというが、早急な対応が求められそうだ。
こうした状況を受け、田嶋理事は「簡単に(政府保証に)サインする国もある中、そこで差は出てきてしまう。日本が出るとしたらそこの差をどう埋めるか。違うところでしっかりと差がつくように準備していきたい」と説明。「難しさもあるが、まずは(JFA)理事会で本当に31年の立候補をするという意思決定をしていただき、組織委員会・招致委員会を立ち上げるステップを踏んでいかないといけない」と先を見据えた。
なお、31年大会の開催に向けては4月下旬、アメリカ・メキシコも立候補を表明。両国は当初、27年大会の開催に立候補していたが、31年大会にスライドする形で撤退していた。すでに27年大会に合わせた入札資料は完成しており、日本にとっては強力なライバルとなりそうだ。
田嶋理事は「アメリカでは26年の男子W杯、25年のクラブW杯もあり、そういう中でまた女子W杯はトゥーマッチではないかという批判がずいぶん出ていたのも確か」と撤退の背景を分析しつつ、現状では締切が決まっていない招致レースに向けて「31年の開催国は27年大会の前に決めるんじゃないと予測している。それに向けて日本もできる限りの準備をしていかなければならない」と早急な準備の必要性を訴えた。
(取材・文 竹内達也)
Source: サッカー日本代表
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