主力中心編成でW杯2次予選に臨む森保監督「休ませてあげたい気持ちもあるが…」東京→パリ五輪活動の変化も影響

森保一監督
 すでに北中米ワールドカップアジア最終予選進出を決めている日本代表だが、2次予選の残り2試合も常連組中心のメンバー編成で戦う形となった。森保一監督は24日のメンバー発表会見で「すでに2次予選の突破は決めているが、9月に始まるアジア最終予選を戦っていく上で良い準備につなげられるよう6月の2試合を戦いたい」と普段どおりに意気込みを語った。

 日本代表は昨年11月に始まった北中米W杯2次予選で、アウェー北朝鮮戦の没収試合も含めて4戦全勝を収めており、すでに今年9月開幕の最終予選進出が決定。2次予選の残り2試合は事実上の“消化試合”となっている。

 そうした中で注目が集まっていたのはメンバー編成の行方。コロナ禍で行われた3年前のカタールW杯2次予選終盤ではMF鎌田大地やMF守田英正が序列を上げたほか、初招集直後のDF山根視来やFW古橋亨梧も台頭しており、前回同様に大幅なメンバーの入れ替えが行われる可能性も浮上していた。

 ところが結果的には、常連組中心のメンバー編成に至った。

 森保監督はこの日の会見で、欧州組の現状に触れつつ「自国リーグで非常にタフな戦いを1年通して続け、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに出て、連戦を戦いながらシーズンを過ごしてきて、選手たちも疲労が溜まっていると思う。ここで少し休みを入れてもらって、いろんな選手を招集させてもらうことも選択肢の中では持っていた」と明かしながらも、次のように選考理由を語った。

「選手たちはこれまでも自国リーグとヨーロッパの戦い、さらに日本代表として長距離移動等々も含めてシーズンを通して戦ってきた中、タフにずっと戦い続けることで成長してきている。休ませてあげたい気持ちもあるが、彼らも日本のために戦う気持ちを非常に強く持っている。6月シリーズもフラットな状態で招集を考えて、これまで招集してきた選手を継続して招集させていただいた。競争がある中、ベストなメンバーということで招集させていただいた。シーズンをタフに戦っていく中、ボロボロの状態になりながら成長を遂げてくれているし、選手たちの日頃のハードな戦いでそういった成長があるんだなということを多くの日本代表サポーターの方々にも見ていただきたいと思う」

 9月には前回苦戦を強いられた最終予選の開幕を控える中、限られた代表活動の機会を活かしていく構えだ。指揮官は「6月の活動内容がより濃くなることを考えると同時に9月の最終予選に向けてどうつなげていくかを考えている。実際にどれだけの選手を起用していけるかはわからないが、より多くの選手をこの2試合で起用させてもらいながら、戦術の浸透を図り、さらなるレベルアップをしていくことを考えている」と展望を述べた。

 またこうした常連組中心のメンバー編成が目新しく映る背景には、同時期に活動を行っている五輪代表の変化もある。

 2021年の東京五輪直前の6月シリーズでは、すでにA代表の常連だったDF冨安健洋、MF堂安律、MF久保建英の五輪参加が早々と決まり、U-24日本代表の活動を優先。またDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航のオーバーエイジ組も五輪組に合流し、U-24日本代表の一員として国際親善試合などを戦った。そのため、並行して行われたA代表のW杯2次予選では新たな顔ぶれを抜擢するための余地があった。

 その一方、今回はパリ五輪世代ながらも所属クラブの意向で五輪参加が難しくなった久保、FW鈴木唯人がA代表の活動に参加することが決定。またオーバーエイジ組の交渉が現状まとまっておらず、候補として名前が挙がっている選手もU-23日本代表のアメリカ遠征に合流するのではなくA代表にとどまる形となったため、結果的にA代表の陣容が分厚くなったと言える。

 森保監督は会見で「東京五輪の時には所属クラブが自国開催の五輪ということで非常に協力的にしてくださったが、今回は状況が変わっているところがある」と苦しいメンバー編成を強いられる大岩ジャパンの現状に配慮を示しつつ、「たくさんの選手がヨーロッパの舞台でプレーするようになった中、強化の仕方等々も変わっている。日本の五輪に向けたチームづくりもその変化に対応していかないといけないところに来ていると思う」と提言も述べた。

(取材・文 竹内達也)


●北中米W杯アジア2次予選特集
Source: サッカー日本代表

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