今季より初めて関西学生リーグ1部に昇格した京都橘大が待望の初勝利を挙げた。26日に行われた第7節の同志社大戦で、前半で数的優位になった京都橘大は、前半終了間際にFW松村尚樹(3年=鹿島学園高)のゴールで先制すると、後半も松村の2点目などで突き放す。相手の反撃を後半38分の1点に凌いで、勝ち点3を掴んだ。
2016年から本格強化をスタートさせた新興チームだ。もともとは女子大だったが、2005年に完全共学化され、京都橘女子大から京都橘大へと名称変更された。運動部では女子バレーボール部が強化クラブとなっていたが、2016年に男子サッカー部も強化クラブに指定。系列校の京都橘高が全国的なサッカー強豪校として知名度を広げる中で、大学も強化に乗り出すことになった。
サッカー部自体は2005年に創部していたが、強化を始めた当初は部員を揃えるのがやっと。京都橘高のOBで同校でコーチをしていた橋詰広太郎氏を監督に迎える形で強化を始めたが、「最初はもちろん土のグラウンドでしたし、強化しているのかも分からないレベル」だったという。ただ3部チャレンジリーグ(現4部相当)からのスタートだったが、18年に2部B(現3部相当)、20年に2部A(現2部相当)に昇格。順調に階段をのぼると、昨季の2部リーグで2位の成績を残し、初の1部昇格を果たしていた。
強化を始めた当初はスカウトにも苦戦したが、2019年ごろから徐々に県外からも選手が集まるようになったという。また22年には人工芝グラウンドも完成。午前中を大学生が練習で使い、夕方を高校生、そして夜に京都橘がバックアップするジュニアユースチームのWizards FCが使用する環境が出来上がった。「スカウトは毎年いい選手が来てくれるようになった。ただ今年は4年生がスタメンに残っている。チームとして新たに深みが出てきたなと感じています」(橋詰監督)。
現実的に今年の目標はまずは1部残留になる。今年は昨季の2部で得点王を獲得したFW甲元大成(現ソニー仙台)のような爆発力のある選手がいない分、チーム全体での底上げが求められることになる。「残留?まずはそこですね。ここでやることが経験になっていく。長くいればいるほど、来てもらえる選手も変わる。長くいればいるほどトレーニングの強度も変わる。残留が大きいのかなと思います」。強化9年目で掴んだ1部の舞台。7戦目での初勝利をきっかけに更なる上昇気流に乗る。
(取材・文 児玉幸洋)
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Source: 大学高校サッカー
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