[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.1 インターハイ福島県予選準決勝 尚志高 6-1 学法石川高 Jヴィレッジスタジアム]
尚志高の11番、MF千住澪央(3年)は誰よりも走る。豊富な運動量でサイドをアップダウンし、高い位置でチャンスに絡んだかと思えば、自陣の深い位置まで戻って守備をこなす。指揮官も仲間もその姿に賛辞を惜しまない。
「運動量が多いし、流れを作ってくれる」(仲村浩二監督)
「千住はキャプテンとして声とかプレーで見せてくれる。今日の先制点もそうですし、守備でもめちゃくちゃ走って貢献してくれる選手。そこに引っ張られて、みんながいい刺激を受けている」(DF西館優真/3年)
仲間のために汗をかく。決して目立つことはないが、チームには欠かせない。「和を作ってくれる」という仲村監督の言葉からも存在の大きさが見て取れる。そんなキャプテンが大一番でヒーローになった。
6月1日に行なわれた学法石川高との準決勝。今年から福島で全国大会が開催されるため、勝利すればインターハイの出場権が手に入る。U-18高円宮杯プレミアリーグEASTに参戦している関係でスーパーシードとしてこの準決勝が初戦となる難しい状況下で、千住が躍動した。
右サイドハーフで先発出場した背番号11は開始早々の前半3分に見せ場を迎える。左サイドでボールを受けた左SB板垣大翔(3年)からクロスボールが入ると、高打点のヘッドでネットを揺らした。
「板垣と目が合って、ここに欲しいというアイコンタクトを送った。(明確に声で)要求したわけじゃないけど、練習とかでも同じような形があったし、いいところにボールが来たので、GKの上から叩いてしっかりボールを飛ばせた」(千住)
値千金の先制点。「本当にやりづらかった」と仲村監督が振り返ったように、予選の初戦が出場を決める大一番とあって、少なからずチームにはプレッシャーがあった。さらにチームは直近のプレミアリーグで3連敗を喫しており、そうした嫌な雰囲気を吹き飛ばす上でも価値あるゴールだった。
千住の先制点で弾みがついたチームは前半だけで5得点。後半にも1点を追加し、終わってみれば6-1の完勝で14大会連続16回目のインターハイ出場を決めた。
自身も先制点だけに留まらず、チームの3点目と6点目をアシスト。得意のドリブル突破からラストパスをゴール前に送り、武器である運動量に加えてチャンスメイクの部分でも仕事を果たした。
高校サッカー選手権でベスト4入りを果たした2018年度のチームに憧れ、尚志の門を叩いた千住。FW染野唯月(現・東京V)らが織りなす攻撃的なサッカーに魅了されて胸を躍らせながら福島の地にやってきたが、最初は仲間たちのレベルの高さに圧倒された。しかし、地道な努力を重ねてキャプテンを任されるまでに成長。技術面でもこの2年間で積み上げ、「ゴール前で冷静にプレーできるようになった」と胸を張る。
献身的なプレーに加え、ゴール前で決定的な役割を果たせるようになったリーダーは更なる飛躍を目指して戦い続ける。
(取材・文 松尾祐希)
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Source: 大学高校サッカー
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