[6.1 インターハイ宮崎県予選決勝 宮崎日大高 1-3 日章学園高 いちご]
全国大会での躍進を狙う日章学園が宮崎制覇。令和6年度全国高校総体(インターハイ)宮崎県予選決勝が1日、児湯郡新富町のいちご宮崎新富サッカー場で行われ、日章学園高が3-1で宮崎日大高に勝利。2大会ぶり18回目の全国大会出場を決めた。
宮崎決勝は波乱の幕開けとなった。前半6分、日章学園は左サイドからMF三田井宏生(3年)がダイレクトで前線へ配球。バウンドしたボールをFW水田祥太朗(3年)が競ると、こぼれ球をU-19日本代表FW高岡伶颯主将(3年)がスピードに乗った状態で回収する。DF1人をかわして一気に抜け出そうとしたところをファウルで止められ、決定機阻止の判定で宮崎日大DFにレッドカードが提示された。
宮崎日大は貴重な3バックの一角を欠くことになり、数的優位を得た日章学園がボールを支配する。だが、原啓太監督は「開始6分の退場で数的優位になるっていうのはあんまり経験してないので、ボールは動かすけど、最後真ん中固められてとか、相手のセットプレーになったらチャンスの雰囲気になったりしていました」。守りを固めた宮崎日大を攻めあぐねる時間が続いた。
21分、日章学園はMF小峠魅藍(3年)の展開から注目レフティーのMF南創太(3年)がクロス。これを高岡が頭で合わせる。連係面が向上しだした日章学園は22分、小峠の左ロングスローでサイドを変え、CB吉川昂我(3年)が素早く右SB野口昊平(2年)へボールをつける。そして、南とのワンツーでインナーラップした野口がクロス。最後はGKが弾いたところを高岡が右足ダイレクトで蹴り込み、先制した。
24年高校サッカーの主役候補の一人、高岡のゴールによって日章学園がリード。その後も、長短のパスを繰り出す攻撃的ボランチMF川越廉斗(3年)、小峠を中心とした組み立てから、南のドリブルや左SB宝徳悠誠(3年)のクロスでゴール前へボールを運ぶ。だが、宮崎日大は10人とは思えないような頑張りを見せた。
DF渡瀬順大(3年)が身体を投げ出して相手の攻撃を食い止めるなど、DF三木崇央(3年)やDF四本和輝(2年)を含めたDF陣が1点差を維持。また、巧みな身のこなしを見せる10番MF秋末翔也(3年)やMF渡邉星渚斗主将(3年)、FW山岡俊之(3年)がボールを収めて攻め返して見せた。38分には右の秋末がDF背後へアーリークロスを入れ、山岡が走り込む。
日章学園はこれをCB藤山真(2年)が処理したものの、2トップと両SHが前掛かりになったことでスペースができてしまい、セカンドボールを拾われるなど噛み合わない部分があった。後半立ち上がりには南がカットインから左足シュートを打ち込むが、宮崎日大GK岡崎真斗(3年)がセーブ。高岡のヘッドがクロスバーを叩くなど、なかなか2点目を挙げることができない。
後半、宮崎日大は田野矩大監督が「ハーフタイムに『どうする?』と聞いて、彼たちの思いもありました」と前に出る選択。渡瀬やMF清水璃一(3年)が思い切って攻め上がるなど、勝負に出る。徹底した走り込みの成果も表現し、渡邉の左足ロングシュートなどが相手ゴールを脅かす。
だが、日章学園は的確なキャッチングを続けるGK有薗大樹(3年)や吉川を中心に安定。また、高岡が「(この予選に向けて取り組んだことは)球際、切り替え、運動量にプラスして強度だったので、 その強度という部分を自分たち1人1人で求めあったり、そういうところしっかりしてたんで、その部分はできたのかなと思っています」と説明したように、際のバトルで負けず、決定打を打たせなかった。
そして、南のドリブルや前線から左サイドへ移った水田の力強いボールキープ、高岡の抜群の運動量をポイントに攻め続ける。すると32分、小峠の奪い返しから高岡がスルーパス。PAへスプリントした小峠のシュートは止められたが、こぼれ球を交代出場FW佐久川友杜(3年)が右足でゴールへ流し込んだ。
待望の2点目に歓喜の日章学園イレブン。さらに35分、小峠の展開から右の水田がクロスを上げると、高岡が左足ダイレクトで合わせて3-0とした。宮崎日大は35+5分、交代出場MF小濱良英(3年)がカットインからの素晴らしい右足シュート。敗れたものの、意地の1点を奪い、今後に繋げた。
日章学園は昨年決勝の逆転負けの悔しさを晴らす優勝。今年はプリンスリーグ九州1部で無敗首位に立っているほか、高岡や南の存在もあって注目度が高い。原監督は「子供たちも少なからず負けれないプレッシャーとか感じながらやってるので、そういう中、最低限優勝っていうことだけは良かったので。もう本当、そこは褒めてあげたいなと思います」と語る。
ただし、今年度の目標である選手権で国立4強以上、プレミアリーグ昇格のためにはまだまだ改善しなければならないことが多い。この日は3-0となった後に浮ついたところが出て、失点。また、原監督は「守備のタレントが前に比べるとちょっと少ないような気がするので、全員で悪い時間帯とか守る、粘り強くやるっていうのがトーナメントで勝ち上がってくところで必要だと思うので、ディフェンスラインとかだけじゃなくて、全員で守備がしっかりできるようにトレーニングしていきたいなと思います」と引き締めた。
U-17ワールドカップやU-19日本代表、日本高校選抜の海外遠征など経験値豊富な高岡は、「チームが勝ったことが一番嬉しいです。自分が色々な全国のレベルというのをみんなにアウトプットして、チームとしてまた全国優勝を目指して頑張りたい」とコメント。昨年はプレミアリーグプレーオフで敗れ、期待された選手権も初戦敗退に終わっている。その悔しさも糧にインターハイを戦い、上を狙う。
(取材・文 吉田太郎)
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Source: 大学高校サッカー
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